
若い男女四人が始めた密室での共同同棲生活、その彼らのうっ屈した心情と歪んだ青春を描く(映画.comより引用)。1973年公開のにっかつロマンポルノ作品。監督は藤田敏八で、出演は桃井かおり、高橋長英、伊佐山ひろ子、谷本一、山谷初男、川村真樹。
桃井かおりが、にっかつロマンポルノに出演していました。きちんと「湯上がりたまご肌」を見せる濡れ場シーンもあります。ロマンポルノとAVを同視する人もいますが、この事実だけで、それは誤りだと分かります。本作の濡れ場シーンは、それほど激しくありませんからね。
監督が藤田敏八で、脚本が大和屋竺である『八月の濡れた砂』、『八月はエロスの匂い』と本作は、エロス三部作と呼ばれています。70年代における「しらけ世代」の空気感を表現した作品群とされています。当時、リアルタイムで観ていない私が気になったのは、今だったらダサい台詞の言語センスです。このダサさは、本作の助監督を務めた長谷川和彦が、後に監督した『太陽を盗んだ男』における「ブタブタジョッキー」に継承されています。
主人公たちの住居は米軍基地の近くで、星条旗と日の丸が屋根に付いた犬小屋を燃やしたり、家屋の内壁に描かれた星条旗を白く塗り潰したりします。これらには、大和屋が脚本を書いた『セックス・ハンター 濡れた標的』と同様、日米関係についての政治的見解が込められています。
同棲する4人の男女のうち、男2人(高橋長英、谷本一)は夢ばかり大言壮語しながら、まだ何者でもないヒモです。彼らは悶々とした毎日を送り、結局夢を叶えることはできません。こうした男の情けなさを描くのが70年代的なのでしょう。
★★★☆☆(2019年4月26日(金)DVD鑑賞)
藤田敏八は俳優としても活動していました。