第七課 正直。 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

明治二十六年発行の『新撰小學讀本巻五』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
 
第七課 正直。
 
毎日果物をになひて、市中を賣り歩く、二人の子供あり。或日の夕方、二人は途中にて出遇ひたり。何れもかごの内に、賣れのこりの、しぶ柿を持てり。其時一人の客ありて、甲吉の柿の價を問ひたり。甲吉は、「此柿は、しぶきが故、明日良き柿を持ち來るべし、」と云へり。
客は又乙吉の持てる、柿の味を問へり。乙吉は、「此れは皆甘き柿なり、」と答えしかば、客は欺かれて之を買へり。
其後乙吉は甲吉に向ひ、「汝はあまり正直過ぎたり、」とわらひしに、甲吉は乙吉の人を欺きしをいやしみ、一言も答へざりき。
其後二人は、毎日果物を賣りに出でしが、人々皆此話をつたへきき、甲吉の正直なるをほめて、其果物をを買いしが、乙吉の人を欺きしを悪みて、誰も買ふものなきに至りたりとぞ。
イメージ 1
 
【私なりの現代語訳】
 
毎日果物を担って、市中を売り歩く、二人の子供がいました。ある日の夕方、二人は途中で出会いました。二人とも籠の中に、売れ残りの、渋柿を持っていました。その時一人の客が来て、甲吉の柿の値段を尋ねました。甲吉は、「この柿は、渋いので、明日良い柿を持って来ましょう」と言いました。
客はまた乙吉の持っている、柿の味を尋ねました。乙吉は、「これは全部甘い柿です」と答えたところ、客は騙されて柿を買いました。
その後乙吉は甲吉に向かい、「お前はあまり正直過ぎる」と笑ったことに、甲吉は、乙吉が人を騙したのを卑しみ、一言も答えませんでした。
その後二人は、毎日果物を売りに出ましたが、人々は皆この話を伝え聞き、甲吉の正直さを褒めて、その果物を買いましたが、乙吉が人を騙したのを嫌って、誰も買う者がいなくなるという結果になりました。
 
【私の一言】
 
詐称したり、捏造したり、改竄したり、隠蔽したり、嘘を吐いたり、詭弁を弄したりして国民を騙す政治家も支持してはいかんのですよ。
 
にほんブログ村に参加しています(よろしければクリックを!)
イメージ 1