【映画評】地球は女で回ってる | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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ハリーは、私生活をネタにした小説ばかり書いてベストセラーをものにしてきた小説家。だが、最近は切り売りすべき私生活もなくなり、スランプに陥って新作を書くことができなくなっていた。そんな彼を、元恋人や友人たちが容赦なくひっかきまわしてゆく(Yahoo!映画より引用)。1998年日本公開作品。監督と主演はウディ・アレンで、出演はキャロリン・アーロン、カーティス・アレイ、ボブ・バラバン、ジュディ・デイヴィス、エリザベス・シュー、デミ・ムーア、トビー・マグワイア、ビリー・クリスタル、ロビン・ウィリアムズ、スタンリー・トゥッチ、マリエル・ヘミングウェイ、ヘイゼル・グッドマン。
 
ウディ・アレン監督作品にしては、出演者が多いです。アレン作品は会話劇中心なので、登場人物が多過ぎると会話の交通整理ができなくなるので、出演者は比較的少なめです。それなのに出演者が多いのは、主人公ハリー(アレン)の小説や妄想を劇中劇にしているからです。
 
それにしても、ビリー・クリスタルやロビン・ウィリアムズというコメディアン出身俳優に対し、同業者であるアレンは如何なる気持ちで演出していたのでしょうか。演出しづらい部分もあったような気がします。北野武は自分の監督作で本職の俳優にコメディ演技をやらせ、同業者にシリアス演技をやらせる傾向があります(たけし軍団は除きます)。演出に対して、同業者に「へえ、それが面白いんだあ」と内心で思われたら、笑いにプライドがある者としては嫌だからでしょう。
 
スランプに悩むハリーは現実と妄想の区別が付かなくなり、小説の登場人物たちと絡み出します。ハリーの小説の登場人物たちは、ハリーの分身でもあります。従って、ハリーと小説の登場人物たちが絡むのは、ハリーの内面世界での葛藤を映像的に表現したものです。終盤でハリーは小説の登場人物たちに囲まれ、拍手を浴びます。これもハリーの内面世界でのことですから、テレビ版『新世紀エヴァンゲリオン』最終回における碇シンジみたいなものです。
 
私生活をネタにして小説を書くハリーには、アレン自身が反映されています。アレンは当時のパートナーだったミア・ファローとの私生活がギクシャクしていた頃、夫婦の離婚危機を描いた『夫たち、妻たち』を作りました。ハリーとやっていることは同じです。ハリーの苦悩とは、アレン自身の苦悩でもあり、それを自己分析したのが本作だと解します。フェデリコ・フェリーニ監督の『81/2』や北野監督の『監督・ばんざい!』と同じ種類の作品なのです。
 
★★★☆☆(2019年2月12日(火)DVD鑑賞)
 
お笑い芸人のボンざわーるど(元カナリア)はウディ・アレン似です。楽天市場

 

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