【映画評】ジキル博士とハイド嬢 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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不老不死の研究を続けるジキル博士は、死体安置所の死体から女性ホルモンを抽出していた。やがて研究中の薬を、自分自身で試したジキル博士は、若く美しい女性ハイドに変身してしまう。ジキル博士は研究を続けるため、自ら死体を製造するべく、夜のロンドンをさまよい始めるが……(Yahoo!映画より引用)。1971年製作のイギリス映画で、日本劇場未公開作品。監督はロイ・ウォード・ベイカーで、出演はラルフ・ベイツ、マルティーヌ・ベズウィック、ジェラルド・シム、ルイス・フィアンダー。
 
ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』を映画化した『狂へる悪魔』から半世紀も経つと、人格だけでなく、性別まで変わる怪作が生まれました。ハマー・フィルム・プロダクション製作の怪奇映画です。
 
ジキル博士(ラルフ・ベイツ)からハイド嬢(マルティーヌ・ベズウィック)に変身すると、おっぱいを見せるという観客サービスをします。『転校生』の小林聡美も同じことをしており、男が女になった場合のリアクションは、洋の東西を問わないと分かります。
 
脚本や演出によっては、ホラーではなく、エロティック・コメディになってしまうアイデアです。ハイド嬢から戻ったジキル博士の姿は、ただの女装したおっさんになります。本作では、その姿を映すことはありません(当たり前)。脚本では、同じ時代に起こった「切り裂きジャック事件」を絡めることによって、話に膨らみを持たせています。演出では、スモークを多めにして、霧が濃いロンドンの街を再現しています。これらの作り込みが本作を鑑賞に値する作品にしています。
 
本作のオリジナリティーとして、ジキル博士もハイド嬢も悪として描かれています。原作では、ジキル博士=善でハイド氏=悪という明確な対立構図になっています。しかし、本作ではジキル博士も自身の研究のために娼婦を殺害し続けるので、その対立構図は崩れているのです。
 
そして、同じ悪でありながらジキル博士よりハイド嬢の方が強くて怖いキャラクターであることに、本作が制作された当時にあったウーマン・リブ運動の影響があるのではないかと思ったりもするのです。
 
★★★☆☆(2019年1月23日(水)DVD鑑賞)
 
ジキル博士はミス・ハイド』というコメディもあります。
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