【映画評】ジョン・ゲイシー | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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建設会社社長として裕福な生活を送るジョン・ゲイシーは近所の人々を招き自宅でパーティーを開いていた。しかし…その床下には、彼が手を下した28人の死体が眠っているのだ。ピエロ姿で福祉施設を慰問した彼は、そのおどけた姿のまま好みの青年に声をかける。「仕事をやるから」と自宅に呼び、眠らせ、拷問、レイプ。そして…(DVDジャケットの紹介文より)。2003年製作で日本劇場未公開作品。監督はクライヴ・サンダースで、出演はマーク・ホルトン、グレン・モーシャワー、トム・ウォルドマン、アダム・ボールドウィン。
 
実在した連続殺人鬼ジョン・ゲイシーをモデルに描く実録スリラーです。ゲイシーの犯行期間は1972年から1978年までの間で、彼は1994年に死刑執行されています。
 
ゲイシーはピエロ(アメリカではクラウン)の格好で福祉施設を慰問する慈善事業家でありながら、時にはその格好で青年を殺害していました。この二面性が当時のアメリカに衝撃を与え、殺人ピエロのイメージはスティーヴン・キングの小説『IT』のペニーワイズの元ネタになっています。
 
また、ゲイシーはピエロに扮する時、「ポゴ」と名乗っており、これを今は亡き極悪レスラー、ミスター・ポーゴのリングネームの由来とする説があります(「ミスター・トーゴ―」の書き間違いという説もあります)。
 
ゲイシーの犯行を丁寧に描けば、衝撃的な作品になるでしょう。しかし、本作は尺が88分と短く、おそらく低予算で作られているので、クオリティーは低いです。せいぜいテレビ番組の『ザ!世界仰天ニュース』や『奇跡体験!アンビリバボー』の再現VTR並みです。
 
ゲイシーが死体を埋めていたのは、犯行発覚により自らがゲイであると明らかになるのを恐れたからです。1970年代のアメリカでは、今ほど同性愛について寛容ではありません。また、ゲイシーのフルネームはジョン・ウェイン・ゲイシーであり、これは男らしい西部劇スター、ジョン・ウェインにあやかって父親が名付けました。ゲイシーの父親は、ゲイシーを男らしくするために厳格に育て、それがゲイシーの人格形成に何らかの影響を与えたと思われます。
 
ゲイシーの生い立ちや犯行から、アメリカ社会のマッチョイズムから生じる歪みというテーマでも導き出せば、見応えのある作品になったでしょう。しかし、残念なことに本作はそこまで至っていないのです。
 
☆☆☆☆(2018年8月1日(水)DVD鑑賞)
 
マクドナルドのドナルドも無気味です。
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