【映画評】ムカデ人間3 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

イメージ 1
 
暴動数、医療費、離職率が全米ワースト1になってしまった刑務所の所長ビル・ボスは、州知事から解雇通告を受けてしまう。囚人たちをうまく手なずけることができず困り果てていたビルに、忠実な部下ドワイトがあるアイデアを提案。それは映画「ムカデ人間」をヒントにしたもので、囚人たちに究極の罰と抑止力を与えるばかりか食費さえも節約できる夢のようなアイデアだった。ビルとドワイトは、500人もの囚人たちをつなげて「ムカデ囚人」を作り出そうとする(映画.comより引用)。2015年日本公開作品。監督はトム・シックスで、出演はディーター・ラーザー、ローレンス・R・ハーヴェイ、エリック・ロバーツ、北村昭博、ブリー・オルソン。
 
人間の口と肛門を繋げて“ムカデ人間”を作ろうとする鬼畜変態グロ映画シリーズ完結編です。グロ描写に耐性が無い人には、鑑賞をお勧めしません。
 
1作目の『ムカデ人間』でハイター博士を演じた、ディーター・ラーザーが刑務所長ビル・ボス役で、2作目の『ムカデ人間2』でマーティン役を演じた、ローレンス・R・ハーヴェイがビルの部下ドワイト役で再登場します。しかも、二人は劇中で前2作を観ているというメタ映画的構造になっています。
 
更に、1作目で“ムカデ人間”にされる日本人を演じた北村昭博が囚人役で、全3作を監督したトム・シックスが本人役で登場します。シックスは紳士的な態度であり、こんな変態映画を作った人間には見えません。
 
1作目では3人だった“ムカデ人間”は、回を重ねる毎に増え、本作で500人にも達します。味よりも量を増やせばいいというデカ盛り食堂の店主のような発想です。
 
しかし、本作の主役は”ムカデ人間”ではなく、刑務所長のビルです。小心者のくせに征服欲の強いサディストで、反抗的な囚人に対しては腕をへし折ったり、顔に熱湯をかけたり、麻酔無しの睾丸摘出手術を施したりします。人種・民族差別主義者で、黒人もヒスパニックもアジア人もユダヤ人もイスラムも平等に差別し、ヘイトスピーチを吐きます。パワハラもセクハラも常習犯で、セクシーな秘書デイジー(ブリー・オルソン)に勤務中でも口淫を強要します。独りよがりな刑務所の改善策が失敗しても、他人に責任転嫁して自己保身するナルシストです。簡単に言えば、最低最悪のクソ野郎です。
 
そのビル役のラーザーが、1作目のハイター博士と全く異なる、クレイジー過ぎるハイテンションな演技を見せてくれます。ハイター博士と比較することによって、変態の多様性を実感できます。
 
本作は単なるB級ゲテモノ映画のようでありながら、政治や社会に対する風刺も込められています。権力者が完全なる支配を目指し、かつコスト削減を徹底すれば、グロテスクな地獄絵図が実現するのです。
 
因みに、ビルは祖父がドイツ人のドイツ系アメリカ人という設定ですが、ドナルド・トランプ大統領も祖父がドイツ人のドイツ系アメリカ人です。本作の製作時期はトランプ大統領就任より数年前ですから、全くの偶然ですけどね。
 
★★★☆☆(2018年6月6日(水)DVD鑑賞)
 
ビルが銃を乱射するのはアメリカ銃社会批判のようでもあります。
イベントバナー

 

にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)