トランプ大統領からの宿題 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

“非核化”費用は日韓で支援を~トランプ氏

 
初の米朝首脳会談を終えたトランプ大統領が会見し、北朝鮮の非核化にかかる費用はアメリカではなく韓国と日本が支援すべきとの考えを示した。
 
―Q.非核化への費用は誰が支援する?
トランプ大統領「韓国と日本が支援するだろう。彼らは支援しなければならないと分かっている。アメリカが支援する必要はない」
 
トランプ大統領はこのように述べ、北朝鮮の非核化には韓国と日本の積極的な関与が必要との考えを示し、アメリカはその費用を支援しないと述べた。
 
北朝鮮の非核化をめぐりトランプ大統領は会見で、北朝鮮はミサイルの発射場をまもなく破壊するだろうとの見通しを示している。その一方で、「いろいろ検討したが完全な非核化には時間がかかる」とも述べている。
 
トランプ大統領は日本時間の午後6時半過ぎ、会場を後にしている。
 
 
【ここから私の意見】
 
歴史的出来事となった米朝首脳会談ですが、当事国ではない日本が大きな宿題を抱えることになりました。北朝鮮非核化のための費用を日本と韓国で支援しろと、トランプ大統領が言ったからです。
 
北朝鮮の非核化にかかる費用は、非核化後に経済安定させるための支援も含め、10年がかりで2兆ドル(約200兆円)もかかるという試算が一部で出ています。日韓で折半するとしても、各国が1年につき10兆円を支出することになります。
 
韓国の場合、朝鮮戦争終結からの南北統一という悲願を果たす足掛かりになるので、その負担は受け入れられる苦痛かもしれません。しかし、そのような目的もなく、既に1000兆円を超える借金を抱える日本政府にとって、毎年10兆円を支払い続けるのは受け入れ難い苦痛です。
 
北朝鮮非核化の費用については、急に出た話ではなく、先に行われた日米首脳会談でも出されていたはずです。両国にとって明らかな重要案件ですから。その時、安倍首相は「アメリカも負担すべき!」とビシッと言えなかったのでしょうか。言えなかったのでしょうね。対等の友人ではなく、絶対服従のポチ犬強者にはNOと言えず、弱者には冷血にNOを突き付ける男。それが日本のリーダー安倍晋三です。
 
更に日本には、もう一つの宿題があります。日本人拉致問題解決のための日朝交渉です。米朝首脳会談において、トランプ大統領は拉致問題について提起しましたが、米朝共同声明の文中には何も盛り込まれていません。「俺は約束を守ったのだから、後はお前らで何とかしろ」というのが、トランプ大統領の安倍首相に対する返答でしょう。
 
これまでの日本は、北朝鮮に対して経済制裁などの圧力をかけ続けることで、拉致問題を解決しようとしてきました(それで解決できると本気で思っていたのか不思議ですけど)。しかし、これからは二国間の交渉によって解決せざるを得なくなりました。何しろキム朝鮮労働党委員長は、トランプ大統領にとってホワイトハウスに招待してもいい関係の人物です(社交辞令でしょうが)。万が一、武力行使で拉致被害者を奪還しようとすれば、トランプ大統領の顔に泥を塗り、怒りを買うことになるでしょう(日本からの輸入品だけ高率の関税をかける?)。
 
まず高官レベルでの協議から始めるのが通例です。そうなると、これまでマスコミを通じて「北の脅威」を煽り、Jアラートまで鳴らして、安倍政権の支持率上昇に利用してきたこととの整合性を図るため、総括するのが筋でしょう。「これまでの圧力路線は誤っていた。これからは対話路線で行く」と、従来の政策を転換することを明言するのです。これまでの圧力路線に乗っかっていた支持者は、どんな屁理屈をこねて政権擁護するのでしょうね。
 
それで高官レベルの協議から、最終的には日朝首脳会談まで至って拉致問題の解決は達成できそうです。しかし、その前に北朝鮮から第二次世界大戦(大東亜戦争)の戦後補償を提起されるでしょう。韓国との戦後補償問題は、(未だに蒸し返されることはあっても)日韓基本条約で解決済みという主張が可能ですが、国交の無かった北朝鮮とは全くの未解決問題です。
 
安倍政権支持層には「日本の戦争は正しかった」という立場の者が多いので、政府が戦後補償問題に応じることは支持率低下を招くおそれがあります。しかし、日本が戦後補償問題に応じなければ、北朝鮮は拉致問題に応じないと主張されたら、拉致問題は解決しないままです。勿論日本が戦後補償を認めた場合、北朝鮮に巨額の賠償金を払うことになります。安倍政権にとって、ひどく難しい交渉になるでしょう。
 
安倍首相は自民党総裁を続投し、政権維持しようと目論んでいますが、それではトランプ大統領からの宿題も抱えたままになります。トランプ大統領が辞めれば、チャラになるというものではありません。次期アメリカ大統領はトランプ政権の反動が強ければ強いほど、民主党からリベラル人権派の人間が選ばれる可能性が高いです。それでは、非核化も拉致問題も戦後補償も日本政府がゴネているとなれば、アメリカからの圧力が高まるでしょう。安倍政権にとって苦難の道は続くのです。
 
少年時代の安倍晋三は、学校から出された宿題に全く手を付けず、家政婦に代わりに解かせることを平然と行っていたそうです。あれから時は経ち、安倍少年は63歳の大人になりました。いい歳なのだから、宿題をやらないなんて許されませんよ!
 
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