異能の伊藤潤二 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』を読みました。
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ホラー漫画家J(=伊藤潤二)が婚約者A子の希望で2匹の猫(よん&むー)を飼うことになり、犬派であるJが猫たちと仲良くなろうと苦闘する物語です。
 
ペット漫画は通常ほのぼのするものですが、ホラー漫画家の中でも特にクセがすごい伊藤のフィルターを通せば、唯一無二の異色作になります。活字のフォントや擬音語がホラー漫画特有のおどろおどろしいタッチです。Jの顔色は常に青ざめ、A子はいつも白目をむいています。
 
たかが猫を飼う行為でも、初体験する者にとっては不安で仕方なく、それが伊藤によるデフォルメで恐怖にまでレベルアップされています。そして、そのデフォルメの強力さが笑いと紙一重どころか、笑いの域に達しているのです。この「恐怖と笑いの紙一重」感は、恐怖漫画(『おろち』『赤んぼ少女』)とギャグ漫画(『まことちゃん』)を両立させる楳図かずおの作品に通じるものがあります。
 
さて、そんな伊藤のホラー漫画の人気は高く、「人気漫画の実写化ならば一定の集客を見込める」と安易な算盤勘定をしがちな日本映画の作り手は、過去に伊藤漫画を実写化してきました。『富江』や『うずまき』が、そうですね。
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『富江』は魔性の女である富江と、彼女に狂わされる男たちの姿がメインです。その後、シリーズ化されますが、出来不出来は監督の演出力と俳優の演技力によるところが大きいです。結果的に原作の色は薄められることになります。
 
それに対し、『うずまき』は“うずまき”に呪われた町の禍々しいビジュアルがメインです。そのため、原作のビジュアルをVFXで再現することに力を注ぎ、ストーリーや演出が疎かになっている感を否めません。これは原作に囚われ過ぎた例です。
 
このように伊藤作品の実写化は難しいのです(それは楳図作品にも言えることです)。そして、それは伊藤がホラー漫画家として異能であることの証明でもあります。
 
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