【映画評】リング | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

イメージ 1
 
遊園地のさびれたボクシングの見せ物小屋のボクサー、ジャック。彼はそこでヘビー級チャンピオンに見出され、彼の練習役として働くことになる。しかしチャンピオンは同じ見せ物小屋の受付嬢でジャックの妻である女性と恋に落ち、彼女もまた彼に好意を抱いてゆく。そんな二人を後目に嫉妬に燃えるジャックは彼と戦い、妻を取り戻すため快進撃を続け、いつしか二人はリングで決着をつけることに……(Yahoo!映画より引用)。1927年製作のイギリス映画で2017年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はカール・ブリッソン、リリアン・ホール=デイヴィス、イアン・ハンター。
 
タイトルだけだと、呪いのビデオのやつを思い出します。しかし、本作はアルフレッド・ヒッチコック監督の初期作品で、ボクサーが主人公のラブ・ロマンスです。タイトルはボクシングの「リング」と、結婚指輪の「リング」がかかっているのです。
 
本作は白黒サイレント映画で、色を使えず、台詞がない(台詞字幕はありますが)という表現方法の縛りがあるにもかかわらず、ヒッチコック監督は才能の片鱗を見せてくれます。台詞字幕の挿入を少なくし、画だけで物語を伝えようとしているのです。そのため、二重写しなどのテクニックまで用いて、登場人物の感情を表現しています。こうした演出のテクニカル志向は、後に作ったサスペンス映画で発揮され、ブライアン・デ・パルマなどのフォロワーを生み出してきたのです。
 
本作はラブ・ロマンスで、誰も死なない話です。しかし、ジャック(カール・ブリッソン)が、妻であるネリー(リリアン・ホール=デイヴィス)とチャンピオンであるボブ(イアン・ハンター)に対して抱く嫉妬の感情や、ネリーがジャックとボブの間で揺れ動く感情は、観客をハラハラさせる緊張感があり、一種のサスペンス映画です。そして、本作を監督した経験が、後の『スミス夫妻』で活かされたのだと思うのです。
 
★★☆☆☆(2018年4月14日(土)DVD鑑賞)
 
本作のボブは今ならゲス不倫野郎としてバッシングされます。
イベントバナー

 

にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)