【映画評】トッポ・ジージョのボタン戦争 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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ある晩トッポ・ジージョは狭い部屋から街に飛び出し、赤い風船と出会う。仲良く散歩する2人は偶然ギャングが世界を破壊する威力を持ったボタンを奪略する場面に出くわし、必死で阻止しようとする(Yahoo!映画より引用)。1967年公開作品。監督は市川崑で、出演は中村メイコ(声)、冬城五郎、根上忠、園八雲、布施紘一、須永恒、大平透。
 
記録映画『東京オリンピック』の次に市川崑が監督した人形劇(正確には人形と人間のコラボ)です。大作を仕上げた後は、こじんまりとした作品を手掛けて気分転換したくなるのでしょうか。
 
トッポ・ジージョ(声:中村メイコ)のトッポは、イタリア語で「ねずみ」を意味します。すなわち、ねずみのジージョが主人公であり、これは世界一有名な「ねずみのミッ○ー」に対抗したのです(某D社は権利関係にうるさいので、名称の一部を伏字にします)。
 
ジージョと○ッキーはシルエットこそ似ていますが、残念なことにルックスはジージョの方が可愛くありません。しかもイタリア生まれなので、やたらと「マンマ・ミーア」などイタリア語を連発し、「お前はパンツェッタ・ジローラモか?」とツッコミを入れたくなります。
 
人形使いの姿を消すため、ジージョの背景は黒幕になっています。また一夜の出来事ですので、ギャング団の姿は闇に覆われています(何故か靴下だけがカラフルです)。それゆえカラー映画であるにもかかわらず、画面が白黒になることがあり、市川監督による光と影の芸術を楽しむことができます(市川監督は『おとうと』でも、銀残しという手法を用いて白黒映画のような画質を作り上げています)。
 
銀行の金庫に隠された核ミサイルの発射ボタンを盗み出そうとするギャング団だけでなく、世界の危機を救ったジージョを冷たくあしらい、ジージョの唯一の友達である赤い風船を踏み潰した国防軍をも本作は非難しています。この軍隊批判=平和主義は脚本の永六輔によるテイストでしょう。
 
ファシズムが台頭しているイタリアが舞台で、戦争に参加したくないために魔法をかけて豚になったのは、宮崎駿監督のアニメ映画『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソです。それならば、イタリア生まれで赤い風船を友とし、平和を愛するジージョは「紅の鼠」と呼ぶこともできるのです。
 
★★★☆☆(2018年4月5日(木)DVD鑑賞)
 
主題歌は永六輔作詞&中村八大作曲の黄金コンビですよ!
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