【映画評】団地妻 昼下りの情事 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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都内近郊の団地の朝。今朝も律子は充たされぬまま夫良平を送り出した。隣室の陽子は、夫が海外出張していることをさいわいに、趣味と実益をかねた様な人妻たちの売春の仲介をして、高価なダイヤや衣裳で自分の虚栄心を充たそうとしていた。そして、秘かに律子を自分の仲間に引き入れようとしていた。夫の出勤中、友人の桐村から電話がかかってきた。それは充たされぬ人妻律子の転落を暗示する様なベルの響きだった(映画.comより引用)。1971年公開のにっかつロマンポルノ作品。監督は西村昭五郎で、出演は白川和子、浜口竜哉、南条マキ、関戸純方、美田陽子、前野霜一郎。
 
本作が、にっかつロマンポルノ第1作です。かつて石原裕次郎や吉永小百合が活躍していた日活が、ポルノ路線に変更したのですから大事件です。その後の展開を思えば、日本映画界における伝説の第一歩と呼んでも過言ではありません。
 
監督の西村昭五郎は、ポルノ路線変更前に監督デビューしており、一般映画も手掛けています。私が観たことがある西村監督の映画は、石原裕次郎主演の『波止場の鷹』です。裕次郎映画からロマンポルノまでという、振り幅の大きな映画人生を送ってきた西村監督です(しかも監督したロマンポルノ作品数は最多ですからね)。
 
作品内容は、その後のロマンポルノ作品と比べても、オーソドックスな出来になっています。にっかつロマンポルノ誕生よりずっと前から独立系のピンク映画があり、大手映画会社では東映が既にポルノ路線を手掛けていたので、創作の見本になるものはありましたからね。主演の白川和子もピンク映画からスカウトしています。
 
そんな本作が終盤で急展開を迎えます。売春していたことが良平(浜口竜哉)にバレた律子(白川)は、その恨みから陽子(南条マキ)を殺し、桐村(関戸純方)と心中するのです。ラストシーンは、ドライブ中で運転している桐村を律子が口淫し、絶頂を迎えた桐村の運転ミスにより車は崖下に転落して爆死というものです。ヌーヴェル・ヴァーグやアメリカン・ニューシネマを思わせる唐突なラストです。
 
にっかつロマンポルノは、それまで助監督だった若手監督が自由に才能を開花させることで、数々の奇抜な作品を生みましたが、その萌芽は本作にあったと言えるでしょう。また「イって逝く」と言うべき本作の結末は渡辺淳一原作の『失楽園』と同じで、同作は文芸の皮を被ったポルノなのだと再確認できました(『失楽園』を監督した森田芳光は、にっかつロマンポルノ監督経験者ですから)。
 
★★☆☆☆(2018年3月8日(木)DVD鑑賞)
 
白川和子が現在ワハハ本舗所属と知ってビックリ!
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