第十二課 時計。 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

明治二十年発行の『普通讀本四編上』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
 
   第十二課 時計。
 
茲の時計の針は、何時を指すや。短き針はⅪとⅫの間にありて、長き針はⅧの處にあり、卽ち十一時四十分なり。短き針を時針と云ひて、運ること遅く、長き針を分針と云ひて、旋ること疾し、卽ち分針は、時針より十二倍速く運行するなり。又別に秒時を示す針あり、此は一分時に、六十たび轉ずるものなり。時計は戞々として、晝夜運りて息まず、毎時に必ず錚然自ら鳴りて時を告ぐ。人はこれによりて起き、これによりて寝ね、以て朝食に就くべく、以て晝飯晩餐の期を定むべし。其他、學校、官衙、昇降の時間より、萬時の期會に至るまで、率ねこれによりて定めざるものなり、誠に日用缺く可らざるの要具なり。抑も時計は、何故に自ら鳴りて息まざるや。此は内に、種々の装具ありて然るなり。先づ鐵の發條あり、自ら運動を起して、一の齒輪に傳へ、此齒輪、又遞次に他の多くの齒輪に傳へて、其運動を適宜にし、遂に指針を動かし、又鐘を打ち鳴らすにも至るなり。時計には柱時計、懐中時計などあり、懐中時計は、金側或は銀側の製多く、また「ニツケル」を以て造りたるものあり。都て時計は、歐州の瑞西國にて製したるものを、最も良しと云へり。
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【私なりの現代語訳】
 
この時計の針は、何時を指していますか。短い針は針はⅪとⅫの間にあって、長い針はⅧのところにあり、すなわち11時40分です。短い針を時針と言って、動くのが遅く、長い針を分針と言って、回るのが速く、すなわち分針は、時針より12倍速く運行します。また別に秒時を示す針があり、これは1分間に60目盛り回るものです。時計はカチカチと音を立て、昼夜動いて休むことなく、1時間毎に必ず鐘を独りでに鳴らして時を告げます。人はこれによって起き、これによって寝て、それで朝食を食べ、それで昼食と夕食の時間を定めるでしょう。その他、学校や役所の登下校(登退庁)の時間から、万事の期会に至るまで、だいたいこれによって定めないものはなく、本当に日常生活に欠かすことができない大事な道具です。そもそも時計は何故に独りでに鳴って休まないのでしょうか。これは内部にいろいろな仕掛けがあって、そうなるのです。まず鉄のバネがあり、独りでに運動を起こして、一つの歯車に伝え、この歯車がまた次々と他の多くの歯車に伝えて、その運動を適宜にし、遂に指針を動かし、また鐘を打ち鳴らすに至るのです。時計には柱時計、懐中時計などがあり、懐中時計は金縁あるいは銀縁の製品が多く、また「ニッケル」で作られたものもあります。すべて時計は、ヨーロッパのスイスで作られたものを、最良だと言われています。
 
【私の一言】
 
寒暖計と同様、時計もデジタル表示が多くなっています。アナログ時計の読み方も「失われつつある古(いにしえ)の技」でしょうか。
 
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