【映画評】マーニー | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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会社を経営するマークのもとに、マーニーという女性が仕事を求めて面接にやってくる。マークは、彼女が知り合いの会社の金庫から大金を盗んで消えた女であると見抜くが、気づかぬふりをしてそのまま雇うことにする。やがてマーニーに心ひかれたマークは、彼女を犯罪から救い出すためにも半ば強引に結婚する。赤色や雷、そして男を異常なまでに嫌い、盗癖を抑えることができないマーニーを見たマークは、彼女自身が意識していない過去になにか原因があるのではと考えるが……(映画.comより引用)。1964年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はティッピ・ヘドレン、ショーン・コネリー、ダイアン・ベイカー、マーティン・ガベル、アラン・ネーピア。
 
アルフレッド・ヒッチコックが『』の次に監督した作品です。『鳥』の主演女優であるティッピ・ヘドレンが、本作にも続けて主演しています。『鳥』の恐怖演技がヒッチコック監督に認められたからでしょう。
 
ショーン・コネリーが出演しています。どうにも『007』のジェームズ・ボンド感を拭えません。コネリーが脱ボンドを果たすのは、頭髪が薄くなってからですね。そう思うと、現在ボンド役を務めているダニエル・クレイグは、イメージチェンジに苦労するだろうと、ちょっと心配になります。
 
ヒッチコック監督なので、所々のサスペンス演出が巧みです。マーニー(ヘドレン)がマーク(コネリー)の会社で金庫破りをするシーンは、画面を二分割しているような構図を用い、犯行中のマーニーと廊下にいる掃除婦を見せることで、観客の緊張感を煽ります(この画面分割という手法は、ブライアン・デ・パルマなどのフォロワーに継承されています)。
 
トラウマを抱えたマーニーは、赤い色を目にすると激しく動揺します。そのシーンで画面を赤くする視覚的演出とバーナード・ハーマンの音楽が相まって、非常に効果を上げています。ハーマンは、ヒッチコック監督の『サイコ』におけるシャワー室惨殺シーンでも、あの有名な旋律で観客を怖がらせてきました。
 
本作でマーニーが抱えたトラウマは、マーニーが幼い頃、母娘が起こした忌まわしい過去が原因です。母子関係が精神的桎梏となるという点で、『サイコ』と共通性があります。
 
羊たちの沈黙』がヒットした1990年以降、サイコ・スリラー、サイコ・サスペンス、サイコ・ホラーなど「サイコ○○」がジャンルとして確立し、優劣はあれども多くの作品が世に出ました。しかし、『羊たちの沈黙』の価値を貶める気は毛頭ありませんが、『サイコ』や本作によって、1960年代にヒッチコックが時代を先取りしたジャンルであるのは確かだと思うのです。
 
★★★☆☆(2017年12月28日(木)DVD鑑賞)
 
万引き常習犯の主婦なんかはマーニーの縮小版みたいなものですな。
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