鶴亀製菓が新商品・ハッスルコーラを開発した。社員の田中太郎に飲ませたところ、やる気の無い彼がたちまちモーレツ社員に大変身。会社はこれを売り出そうとするが、販売差し止めを受け、大赤字を抱えてしまう。そこで鶴亀製菓は、ハッスルコーラ販売用の子会社を設立、ダメ社員たちを出向させ、赤字をかぶせて倒産させる計画を立てる。そんな計画を全く知らない彼らは、はりきってコーラ販売にハッスルするが……(Yahoo!映画より引用)。1963年公開作品。監督は坪島孝で、出演は植木等、谷啓、ハナ肇、犬塚弘、桜井センリ、安田伸、石橋エータロー、浜美枝、藤山陽子、北あけみ、淡路恵子、上原謙、山茶花究、東野英治郎。
クレージーキャッツが全員出演している作品は、本作以降「クレージー」シリーズと呼ばれます。題名を「くたばれ!無責任」としたことで、『ニッポン無責任時代』『ニッポン無責任野郎』と続いた「無責任」シリーズを終わらせ、シリーズの方向転換を図ろうとしたのでしょう。しかし、その後に『無責任遊侠伝』や『無責任清水港』が作られているので、題名に大したこだわりはないとも言えます。
監督は坪島孝で、「無責任」シリーズを手掛けた古沢憲吾より展開のスピーディーさを欠いています。しかし、代わりに演出テクニックを工夫しています。例えば、田中(植木等)がショボクレ社員の時はモノクロで、ハッスルコーラを飲んでモーレツ社員になった時はカラーに変わるというものです。
二枚目のイメージが強い上原謙が、東北弁のエロ社長役を演じています。「無責任」シリーズでは由利徹が演じていた役です。実は、上原は世間に流布している二枚目のイメージと異なり、洒落やジョークが好きな人物で、東北弁を使うキャラクター設定は上原からの発案だそうです。意外ですね(そう考えると、上原のカツラ着用カミングアウトも笑いが欲しかったからではないでしょうか。おかげで息子の加山雄三は長年カツラ疑惑をかけられていますけど)。
水戸黄門でお馴染みの東野英治郎が、回春を欲する銀行頭取役を演じているのも意外です。トルコ風呂シーンまでありますから。こうしたアダルト感があり、毒気もある脚本は、「無責任」シリーズの田波靖男によるものです。田波にとっては題名の「くたばれ!無責任」に意味があり、本作でアナーキーな「無責任」路線のやり納めをしたそうです。そして、本作以降の植木主演作品は健全な作風に変わっていくことになります。
★★★☆☆(2017年11月10日(金)DVD鑑賞)
淡路恵子がすごく大人っぽいですが、当時まだ30歳です(今の石原さとみと同じ……)。