【映画評】帰らざる河 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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酒場の歌手ケイに預けていた息子を引き取って新しい農場の開拓を始めたマット。ある日ケイと彼女の婚約者ハリーが激流“帰らざる河”を漂流しているところを救う。しかしハリーはマットの忠告も聞かず馬と拳銃を奪って逃げてしまった。農場は盗賊の襲撃に遭い、マットと息子、そしてケイの3人は“帰らざる河”を下ることになるのだが…(DVDジャケット解説より引用)。1954年日本公開作品。監督はオットー・プレミンジャーで、出演はロバート・ミッチャム、マリリン・モンロー、ロリー・カルホーン、トミー・レティグ、マーヴィン・ヴァイ、ダグラス・スペンサー。
 
マリリン・モンローが華やかな衣装を纏った酒場の歌手と、白シャツにジーンズの荒々しいアウトドア姿を演じる“一粒で二度美味しい”映画です。当時のモンローはジョー・ディマジオと結婚したばかりで人生の絶頂期を迎えていました。女盛りのモンローが激流下りのシーンでビショ濡れになり、シャツが透けたのを見て、周囲の男性スタッフは総”勃ち”だったことでしょう。
 
セクシーな体だけで売れたイメージの強いモンローですが、本作では気丈な女の喜怒哀楽をしっかりと演じています。モンローは本当のところ、こうした演技のできる女優を目指していたのでしょう。しかし、他の作品での頭の軽い金髪女のイメージとモンロー本人を同一視する者は多く、それがモンローの女優人生における苦悩の原因になります。
 
西部劇ということもあり、北米の広大な自然の風景は見物です(ロケ地はカナダ)。背景に過ぎないテント村は、きちんと生活感が出るように作られ、本気の映画作りを見せられます。しかし、映画としての分かり易さの要請から、原住民を“言葉の通じない野蛮人“としてステレオタイプ的に描いているのは残念ながら仕方ないことですね(上記解説で原住民を「盗賊」と表現しているのも何だか)。
 
マット(ロバート・ミッチャム)には消せない暗い過去があります(終盤でマットの息子も同じ過去を背負うことになります)。貧しかった過去を持つハリー(ロリー・カルホーン)は、そこから成り上がるため、欲に目が眩んで狂騒します。彼らの在り方から、各々の人生は止まることなく流れて行き、過去に戻って修正することはできないということが、“帰らざる河”という言葉で表現されていると思うのです。そして映画のラストから、過去を修正できなくても、現在幸福に生活できる“帰るべき家”を作ればいいという前向きなメッセージを感じ取ることもできるのです。
 
★★★☆☆(2017年11月8日(水)DVD鑑賞)
 
マリリン・モンローの3サイズは、だいたい井上和香のそれと同じです。
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