【映画評】13人連続暴行魔 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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倒産して人影もない町工場で19才の少年が改造ピストルを作りあげた時、一人の凶暴な連続暴行殺人犯が生まれた。ひたすら殺戮とレイプを繰り返す少年の姿に当時の世相が不気味に浮かび上がる(若松孝二公式サイトより引用)。1978年公開の成人映画。監督は若松孝二で、出演は馬津天三、日野繭子、杉佳代子、高島亜美、荒木クミ子、山下エミ、高木マヤ。
 
主人公の少年は、ぽっちゃり体型でTシャツにオーバーオールを着ており、どこか芸人のガリガリガリクソンに似ています。程度の違いはあっても、犯罪者という点で共通しています。
 
少年は今で言うところの非リア充であり、改造ピストルと股間にある「銃」の二丁拳銃でレイプと殺人を繰り返します。ドラマ性を無視し、ただ淡々と犯して殺し続ける様は、『悪の教典』後半での大殺戮シーンを見ている感覚に近いものがあります。
 
若松孝二作品なので、エロ映画としての「実用性」は低いです。レイプシーンでパンツを下ろした少年の尻をアップで映すのは、殿方の期待を裏切り、ゲンナリさせる所業です。
 
映画の中で警官をぶっ殺すため、ヤクザから映画監督になった若松なので、本作のメインテーマはエロではありません。社会の底辺に生きる若者が、鬱屈した感情を社会に向けて暴発させる姿を描きたかったのでしょう。
 
しかし、若松は単なる暴力好きテロリストとは違います。レイプシーンを長めにせず、美化しない演出は、レイプを嫌悪するフェミニストのようです。また、社会に暴力で反抗した少年が、社会の暴力によって抹殺される結末は、暴力の虚無性を説く平和主義者のようでもあるのです。
 
★★☆☆☆(2017年6月17日(土)DVD鑑賞)
 
2012年に事故死した若松は、次回作で東電を題材にしようと構想していたそうです……。
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