パン屋「郷土愛不足」で和菓子屋に 道徳の教科書検定
初めての小学校道徳の教科書検定が終わり、8社の24点66冊が出そろった。本来、「考え、議論する」を掲げたはずなのに、文部科学省が検定過程で付けた数々の意見からは、教科書作りに積極的に関与しようとする姿勢が浮き彫りになった。高校の地理歴史や公民の教科書でも、集団的自衛権や南京大虐殺などの記述が、文科省の指摘に従って横並びになった。
「しょうぼうだんのおじさん」という題材で、登場人物とタイトルを「おじいさん」に改め、挿絵も高齢の男性風に(東京書籍、小4)▽「にちようびのさんぽみち」という教材で登場する「パン屋」を「和菓子屋」に(同、小1)▽「大すき、わたしたちの町」と題して町を探検する話題で、アスレチックの遊具で遊ぶ公園を、和楽器を売る店に差し替え(学研教育みらい、小1)――。
いずれも文科省が、道徳教科書の検定で「学習指導要領の示す内容に照らして、扱いが不適切」と指摘し、出版社が改めた例だ。
おじさんを修正したのは、感謝する対象として指導要領がうたう「高齢者」を含めるためだ。文科省は「パン屋」についても、「パン屋がダメというわけではなく、教科書全体で指導要領にある『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着をもつ』という点が足りないため」と説明。「アスレチック」も同様の指摘を受け、出版社が日本らしいものに修正した。
「ここまで細かいとは……」。各社の編集者は道徳教科書の初の検定に戸惑う。
検定に臨んだ8社は、2015年に告示された指導要領が学年ごとに定める「節度、節制」「感謝」「国や郷土を愛する態度」など、19~22の「内容項目」を網羅することを求められた。
学校図書(東京)の編集者は指導要領やその解説書を読み込み、出てくる単語をリスト化。本文や挿絵、設問に漏れなく反映されているか入念に点検したが、それでも項目の一部がカバーされていないという検定意見が数カ所ついた。別の出版社の編集者は「単語が網羅されなくても、道徳の大切さは伝えられる。字面だけで判断している印象だった」と不満げだ。
最終的に、検定では8社の計24点(66冊)の教科書に誤記や事実誤認を含めて244の意見がつき、このうち43が指導要領に合わず、「本全体を通じて内容項目が反映されていない」などの指摘だった。
各社は指摘に沿って本文やイラストを修正したが、これまで検定の対象外だった副読本より、「横並び感」が強まった。
【ここから私の意見】
まるでパン屋が郷土愛に欠ける非国民であるかのような扱いです。パン屋は明治時代からある伝統的な仕事で、地域の生活に根付いている店もありますよ。もしパン屋が伝統的でないとすれば、明治神宮も靖国神社も伝統的でなくなりますけど(どちらも明治時代以降に国家が作った宗教的施設ですから)。職業差別の匂いすらあります。表で差別はよくないと綺麗事をぬかしながら、裏では差別を認めるのですかね。しかも道徳の教科書で。
森友学園問題で政治家に対する役人の忖度が事件の重要な鍵になっています。政府や大阪府は、そんな馬鹿なことをするわけがないと否定しています。しかし、この教科書検定の件で分かるように、役人は政治家の顔色をうかがって異常なことを平気でやらかすのです。日本や国民の未来などどうでもよく、自分の(一般国民より優遇された)地位が安定していれば、それでいいと思っています。役人なんて自己保身が服着て歩いているようなものです。
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