
南北戦争後の西部。横暴な牧場主とのいさかいに苦しむ開拓者ジョーとその家族の前に、シェーンと名乗る流れ者の男が現われる。一家のもとに身を寄せ、友情を育むシェーン。しかし日増しにエスカレートする牧場主の暴力に、ついに仲間の開拓者の1人が命を落としてしまう…(御成座チラシより引用)。1953年日本公開作品。監督はジョージ・スティーヴンスで、出演はアラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド。
昔DVDで観ましたが、秋田県大館市にある御成座初入館を兼ねて、スクリーンで再鑑賞しました。西部劇の名作で、山田洋次監督、高倉健主演の『遥かなる山の呼び声』の元ネタです。
「シェーン、カムバック!」というラストの名台詞が有名です。その台詞を言うジョーイ役のブランドン・デ・ワイルドが、子役なのに可愛くないところを個人的に評価します。私は大人に媚びを売るような可愛らしい子役が大嫌いですから。ちなみに先述の『遥かなる山の呼び声』で子役を演じたのは吉岡秀隆で、やはり美少年タイプではないところは本作を踏襲したのでしょうか。
牧場主ライカー(エミール・メイヤー)からの嫌がらせに耐え、限界に達したところで流れ者のシェーンが単独で決着を付けに行くという展開は、日本の任侠映画に似ています。一宿一飯の恩義、忍耐、自己犠牲という要素が、本作を日本人にも愛される作品にしています。
『西部の男』でも描かれた、在来地主と移民の対立や牛追いと農民の対立が本作にもあります。牧場主ライカーは武力によって先住民から土地を奪ってきました。その土地を彼らの流儀で管理しようとしますが、開拓者である農民の立場からすれば、その流儀は害悪でしかありません。結果的にライカーに対抗し、決着を付けるのはシェーンですが、流れ者である彼もまたライカーと同じ流儀に生きる者です。一件落着してから、シェーンは農民一家から去って行きます。「勝ったのは儂達ではない。あの百姓達だ」とばかりに。実は、本作と黒澤明監督の『七人の侍』は似たところがあり、それも日本人に好まれる理由の一つかもしれません(『七人の侍』は1954年に公開され、本作の翌年に当たります。製作期間を考慮すれば、本作をパクったとは言えません。原作から何らかの影響を受けた可能性はありますが)。
★★★☆☆(2017年1月6日(金)秋田県大館市・御成座で鑑賞)
伊丹十三監督の『タンポポ』も本作のパロディです。
【おまけ】本作を鑑賞した御成座は、洒落っ気のある名画座です。

マスコットうさぎの“てっぴー”です。

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