【映画評】影の車 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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愛人の連れ子に殺されるという幻想に悩まされる男が、日常のささいな出来事から次第に恐怖を増幅させていくさまを描く(Yahoo!映画より引用)。1970年公開作品。監督は野村芳太郎で、出演は加藤剛、岩下志麻、小川真由美、滝田裕介、岩崎加根子、芦田伸介。
 
原作は松本清張で、監督が野村芳太郎、脚本が橋本忍、撮影が川又昂、音楽が芥川也寸志という、後に名作『砂の器』を作った黄金スタッフが集結しています。橋本以外のメンバーで『鬼畜』も作っています。本作では小川真由美が本妻役で、岩下志麻が愛人役ですが、『鬼畜』では役柄が逆転し、岩下が本妻役で、小川が愛人役になります。本作から『鬼畜』までの間に、岩下が女優としての凄みを増したということでしょう。
 
野村監督ならではの、もはやホラーと言ってもいい悪夢的な演出に、加藤剛のシリアス過ぎる表情の演技が加わることで、観客に強烈な印象を残します。子供に観せたら、確かなトラウマを残せます。ちなみに、後半の取調べシーンで加藤が眼鏡を握りつぶす演技は、加藤から提案したアイデアだそうです。真面目に取り組む姿勢が、加藤らしいです。
 
恐怖にとりつかれた主人公(加藤)は、愛人(岩下)の子に対する殺人未遂で逮捕されます。取調べに当たった刑事(芦田伸介)は、主人公の被害妄想に基づく殺意という理に適った解釈をします。しかし、それが正解とは限りません。主人公が自分の幼少期の「潜在光景」により、愛人の子に潜む心の暗黒を察知したのが正解なのか。それとも愛人が性善説に基づき、我が子を純真無垢な存在だと信じたのが正解なのか。本当のところは分からず、観客個人の判断に委ねられます。この真相がミステリアスな脚本を書いたのは、真相が「藪の中」である黒澤明監督『羅生門』の脚本も手がけた橋本なのです。
 
★★★★☆(2016年9月17日(土)DVD鑑賞)
 
今年は有名人の(ゲス)不倫が話題になりましたね。不倫したら人生終わりですよ。
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