【映画評】暴行切り裂きジャック | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

イメージ 1
 
殺人によってしか快楽を得られなくなった若い男女の異常な生きざまを描く(映画.comより引用)。1976年公開の日活ロマンポルノ作品。監督は長谷部安春で、出演は桂たまき、林ゆたか、山科ゆり、八城夏子、岡本麗。
 
長谷部安春は、ロマンポルノ以前の日活で『野良猫ロック』シリーズを手がけ、テレビでは『あぶない刑事』など刑事ドラマを演出した、アクション派の映画監督です。それゆえ、本作はバイオレンス色の強い、異色のポルノ映画になっています。
 
セックスの快楽を高めるために殺人を繰り返すユリ(桂)とケン(林)のカップルは、美男美女とは言えません。二人の標的となる女性はユリより美人で、ケーキナイフで殺されます。作品の冒頭で、下っ端菓子職人であるケンが作ったケーキに、ユリがイタズラでケーキナイフを刺すシーンがあることから、美女=綺麗なケーキというイメージの繋がりが生まれます。
 
また、二人が殺人後のセックスを楽しんだ後、スパゲティを貪るように食べるシーンがあります。その他にセックスの最中にコーラを飲んだり、サンドウィッチを食べたりするシーンがあり、本作は殺人とセックスと食だけで構成されているように感じます。そして平凡な日常を送る二人にとって、それらは秘めたる欲望の発露です。
 
更に深読みすれば、本作は欲望の発露は暴力的であることを表現したのではないでしょうか。殺人とセックスだけが暴力的ではありません。菜食主義者であっても、植物の生命を奪う暴力を(間接的に)行使しているのですから。
 
★★★☆☆(2016年8月20日(土)DVD鑑賞)
 
二人がセックスするのが廃墟、墓地、病院というのは「死」を連想させます。
イベントバナー

 

にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)