【映画評】地獄の掟に明日はない | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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長崎を舞台に暴力団抗争の狭間で揺れ動く、一人のやくざの姿を描くギャング物。1966年公開作品。監督は降旗康男で、出演は高倉健、十朱幸代、南田洋子、佐藤慶、国景子、串田和美、今井健二、河津清三郎、三国連太郎。
 
後に定番コンビとなる降旗と高倉が、監督と主演の関係で初めて組んだ作品。小林稔侍も少ない出番ながら出演しており、『鉄道員(ぽっぽや)』を観ていると三人の絆の深さを感じます。
 
狼と豚と人間』や『飢餓海峡』など、高倉と共演するとハズレ作品が少ない三国が、外道弁護士役を演じます。やくざ同士を争わせて私利を得るという、『アウトレイジ』において小日向文世が演じた悪徳刑事と似た役です。慇懃無礼というか、インテリじみた丁寧な口調や態度が、むしろ不快感を強めます。他の東映悪役俳優とは異なる質の「悪」を表現しています。
 
そう言えば、当初『仁義なき戦い』の山守組長役は、三国を予定していたそうです。結局、熱心に名乗りを上げた金子信雄に決まり、彼の当たり役になったので、幻のキャスティングになりました。もし三国が演じたら、愛嬌のない本気で嫌な山守組長になっていたような気がします。
 
高倉演じる主人公は、長崎で被爆した戦災孤児出身で、原爆症に苦しむ「古い時代の男」です。そんな古い人間が、戦後という新しい時代の法律やマスコミが振りかざす「正義」によって滅びへの道を歩まざるを得なくなります。これは任侠映画的でありながらも、やがて来る実録路線への萌芽でもあるのです。
 
★★★☆☆(2016年7月12日(火)DVD鑑賞)
 
当時任侠映画のスターだった高倉が、新しい方向性を模索していたとも言えます。
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