
仲良しの二人が別々の女子大に入り、レスリング部に入部してライバルとして戦う姿を描く(映画.comより引用)。1984年公開のロマンポルノ作品。監督は那須博之で、出演は山本奈津子、小田かおる、渡辺良子、佐藤ちの。
那須監督は『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズをヒットさせましたが、実写版『デビルマン』で大酷評を浴びたまま、名誉回復することなく、2005年に53歳で亡くなりました。本作は那須監督のにっかつロマンポルノ時代の作品です。
音楽をスペクトラムが手がけているので、スタン・ハンセンの入場テーマ曲「サンライズ」を歌詞入りの原曲で聴くことができます。プロレスファンには嬉しいです。
プロレスとエロを融合させた本作ですが、現代のプロレス観では、1980年代のプロレスに対する偏見を知ることができるという結果になっています。本作では、選手による枕営業や選手同士のレズ関係という女子プロレスならではのタブーに加え、試合結果を対象としたトトカルチョ(賭博)や「負ける筋書き」(八百長)というプロレス界のタブーも描いています。女子プロレスに対する好奇の目は、1990年代にブル中野、アジャ・コング、北斗晶らが男子プロレス顔負けの技術と緊張感ある試合を展開したことで大きく変わりました。八百長問題は、アメリカの団体WWEの高度なエンターテインメント性に影響され、試合結果より試合内容を重視する成熟したファンが育ったので、あまり騒がれなくなりました(八百長で騒ぐのは野暮なことです)。本作でタブー視されていることは、もはや昔話にすぎないのです。
那須監督は数々の自作にプロレスラーや格闘家を出演させるほど、プロレスに理解がある人だったと思われます。それなのに、本作のようなプロレス愛に乏しい作品を撮らざるを得なかったことは、何か切ない思いを残すのです。
★☆☆☆☆(2016年5月21日(土)DVD鑑賞)
ファイティング・ディレクター兼出演の佐藤ちのは元全日本女子プロレス所属です。