宮崎労働局、残業代の不払い判明 会見で局長が謝罪
宮崎労働局は2日、2014年4月~15年2月にハローワークの非常勤職員や正規職員の超過勤務手当の一部が支払われず、不払い分が延べ198人の計約442万円にのぼったことを明らかにした。すでに全員に支払ったという。非常勤職員に残業の申告制度などを十分に周知していなかったため、と説明している。
労働局によると、14年12月末に職員から「非常勤が超過勤務しているが、手当が支給されていない」と指摘があり、15年2月に正規と非常勤の職員計約300人の14年4月~15年2月の勤務状況を調査。非常勤の47人が残業を自己申告し、約618時間分の約118万8千円の不払いが判明した。多い人で延べ77時間分の約16万9千円が不払いだったという。
また、五つのハローワークが朝礼で5~10分早く職員を出勤させていたため、この分も改めて超過勤務とみなし、非常勤109人に計約211万5千円、正規職員42人に計約111万8千円を支払ったという。
これらは労働局が指導監督の対象とするサービス残業にあたる。昨年4月に厚生労働省の大臣官房地方課から早急な是正を指示されていたといい、佐藤俊彦局長は記者会見で「働き方改革や、過重労働解消キャンペーンを行っている中、こうした事態が起きて申し訳ない」と謝罪した。(土舘聡一)
【ここから私の意見】
ハローワークがサービス残業で超過勤務手当不払いという、いわばブラック公務の実態が露わになりました。国民に安定した雇用の機会を確保する公共機関として、示しがつかない格好になります。法令違反の労働環境で働いている者が、適法な労働環境の仕事を紹介できるのかと疑いの目を向けられます。
先日、「『公務員天国』の実態」という記事で、こう書きました。「ハローワークの『常勤職員11,140人に対し非常勤の相談員が16,737人』」、「『小さな政府』の志向性が高まる中で、正規公務員は増やせない。だから、公務員の定数にカウントされない非正規公務員を増やし、これに代替させ、増大する仕事に対処してきた」、「その結果、ワーキングプア層が拡大し、自治体の税収減が加速し、福祉行政サービスの仕事量も増加するという悪循環」、「非正規公務員は住民を抑圧する加害者ではなく、政府やマスコミが旗を降る「小さな政府」志向や「官から民へ」の風潮が育て、経済的に厳しい生活を強いられている被害者」と。
「小さな政府」志向による支出削減の徹底化は、残業代不払いのようなブラック公務を発生させるという実例が、今回の件です。改めて書きますが、政府やマスコミが絶対善のごとく流布する、「小さな政府」志向や「官から民へ」の風潮に対し、疑念を抱かざるを得ません。
当然のことですが、公務だけでなく、民間業務の労働環境についても、より一層の厳しい監視が必要です。ブラック企業はワーキングプア層を拡大させ、消費減退により日本経済悪化を加速させ、それでも働きたい人を食い物にするブラック企業も増加させるという悪循環を発生させる点で、重大な社会的害悪だからです。
にほんブログ村 ニュース批評に参加しています(よろしければクリックを!)