【映画評】私は二歳 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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都内の団地に住むサラリーマンの小川五郎とその妻千代。二人の間に一人息子が生まれ、太郎と名付けられる。太郎は両親の愛情をたっぷり受けて、すくすくと育っていく。やがて三人は郊外へ引っ越すことになり、祖母と同居することになった(Yahoo!映画より引用)。1962年公開作品。監督は市川崑で、出演は山本富士子、船越英二、浦辺粂子、渡辺美佐子、岸田今日子、京塚昌子。
 
乳幼児の視点から大人社会を観察します。市川監督が製作も務めています。劇中に映る牛乳瓶、牛乳箱、牛乳配達員が「森永牛乳」であるのは、タイアップでしょうか。
 
乳幼児である太郎(声:中村メイコ)は、皮肉の効いたことを心の声で発します。テレビ番組の面白映像紹介で、子供やペットに面白いアテレコをするのと同じ演出です。大人が純真無垢と信じている子供やペットが、実は内心で毒を吐いているというシチュエーションを好む私は、性格が悪いのでしょうか。
 
太郎の心の声は、脚本を務める和田夏十のクールな性格を反映したものでしょう。それどころか本作に登場する女性は、ことごとく芯の強さを見せるので、これも和田の性格が反映したものと言えます。
 
対照的に、夫(船越)は頼りなさを強調して描かれています。夫がくわえタバコのまま、長台詞を言うシーンがあり、これはヘビースモーカーである市川監督の姿を投影したものでしょう。ちなみに市川監督の『野火』で、煙草を吸う人間を馬鹿にする台詞がありましたが、これは和田から市川監督への嫌味のようにも受け取れます。
 
頼りない男が芯の強い女たちに責め立てられ、オロオロするシーンを見ると、本作と『黒い十人の女』との繋がりを感じずにはいられません。
 
★★★☆☆(2016年2月2日(火)テレビ鑑賞)
 
海外には『ベイビー・トーク』という映画もあります。
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