ミュージシャンのあり方について思う | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

矢沢永吉『アー・ユー・ハッピー?』を読みました。
 
『成りあがり』以来の矢沢本です。『アー・ユー・ハッピー?』の文庫本は角川書店から出ていますが、初出の単行本は日経BP社から出ています。出版元から分かるように、この本は音楽論というよりビジネス論としての色合いが強いです。これから起業する人や、事業で悩んでいる人の良き指南書になるかもしれません。
 
この本を読み、あるエピソードを思い出しました。矢沢のコンサートでは、定番グッズのタオルが販売されています。複数のデザインが用意されており、曲を盛り上げるアイテムとしても使えるので、来場客は購入します。矢沢本人もコンサート中に肩に掛けますが、実は当日の売上げが一番悪いデザインのタオルを選ぶそうです。そうすることによって、「永ちゃん本人が使っていたタオル」として、来場客がそのデザインのタオルも帰りに購入するのです。ビジネス感覚に長けた商法ですが、『アー・ユー・ハッピー?』を読むと、信憑性を増して納得できます。
 
私はミュージシャンがビジネス感覚を持つことは全く否定しません。むしろ持ってほしいくらいだと思っています。ミュージシャン自身が自分の音楽を守るため、またファンの期待を裏切らないためにも、音楽ビジネスに無関心ではいられないはずです。音楽事務所やレコード会社が利潤追求に走り、ミュージシャンの意に背く売り方や、ファンを騙すような売り方をすれば、ミュージシャンもファンもハッピーになれませんから。
 
音楽業界に限らず、日本では「清貧の思想」が根強く、金の話をする芸術家は汚れているかのように見られます。「純真無垢なアーティスト」像が大衆に好まれ、それを演じているミュージシャンもいます(ゲスな裏の顔を隠しながら)。しかし、この考え方は絶対ではないでしょう。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに通っていた、ミック・ジャガー自身がギャラや印税も経営管理しているローリング・ストーンズは、本物のアーティストではないとでも言うのでしょうか。いち早く鋭敏なビジネス感覚を身につけた矢沢が、未だ人気を保ち、ロックのカリスマ視されていることが、「清貧の思想」の欺瞞を暴いているのです。
 
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