マタギ社の指定管理、2施設に絞る 赤字脱却目指し経営スリム化
秋田県北秋田市は27日、市出資第三セクター「マタギの里観光開発」(上杉二三男社長)が策定した経営改善計画を明らかにした。現在指定管理する市営5施設のうち阿仁熊牧場「くまくま園」など3施設の運営から手を引く内容。指定管理は「打当温泉マタギの湯」「道の駅あに」に絞り、経営のスリム化により赤字脱却を図る。市は「計画に沿ってマタギ社の経営立て直しを進めたい。3施設の運営形態は今後検討する」としている。
マタギ社の累積赤字は約1億7千万円。運営する5施設の指定管理期間はいずれも今年3月末で満了する。市は運転資金として最大6千万円の貸し付けを決めており、貸し付けに当たり、コンサルタント会社の指導を受けた経営改善計画の策定を求めていた。
改善計画は、同日の市議会運営委員会で示された。計画では、くまくま園をはじめクウィンス森吉、太平湖グリーンハウスの3施設の運営から離れる方向性を打ち出した。施設の特殊性が高いことや改修が必要なことなどを理由とした。
打当温泉と道の駅については、引き続き指定管理者として営業強化や経費見直しを図るとし、2施設の来年度の最終収支を、2014年度比で1351万円プラスの670万円の黒字と見込んだ。
転載元:秋田魁新報web
【ここから私の意見】
観光産業に力を入れている北秋田市ですが、観光施設は赤字続きで、今回「くまくま園」など5施設を運営している「マタギの里観光開発」が3施設から手を引くことになりました。経営のスリム化で赤字脱却を図り、打当温泉と道の駅2施設の来年度最終収支を黒字と見込んでいます。しかし、これは市が貸し付ける最大6千万円の運営資金も計上する数字上のトリックで、実際の経営状態は苦しいままです。
5施設のうち、黒字を出している「くまくま園」を手放すというのも、よく分かりません。指定管理者がいなくなれば、直営施設になります。新装オープンから時が経ち、集客力が落ちてくるであろう「くまくま園」を、どのように黒字経営にするかの明確なプランを市は考えているのでしょうか。何でもかんでも民営化をすれば上手くいくという「官から民へ」の風潮に私は否定的です。その代わり、官による直営施設の運営には民間以上の経営感覚が必要だとも考えます。
旧阿仁・森吉地区の観光施設が苦境にある状況で、旧鷹巣地区に市が農産物等直売所を整備する計画があります。場所は道の駅たかのすの敷地内です。これは意味があるのでしょうか。単純に道の駅たかのすで農産物を直売すればよく、新規に施設を作る必要があるのでしょうか。道の駅たかのすからそれほど遠くない、いとくショッピングセンターやイオンタウンでも地元の農産物が出品されていますが、競合して勝ち目はあるのでしょうか。そもそも鷹巣駅前市街地にある、既存の農産物等直売所「のーそん」の経営はどうなるのでしょう。既存施設で大した結果が出ていないのに、新規施設に手を広げるのは無謀ではないですか。市民の税金で作るのですから、慎重に着手すべき事案だったのではありませんか。
新規に整備される農産物等直売所の指定管理者は「鷹巣町農業協同組合」です。一方、既存施設である道の駅たかのすの指定管理者は「鷹巣観光物産(株)」です。すなわち、道の駅たかのすで地元農産物等の直売をされても、鷹巣町農協に利益は無く、市に作らせた新規施設で地元農産物等の直売を引き受けてこそ、鷹巣町農協の儲けになるという思惑が見えてきます。市と農協のズブズブ癒着の匂いすら感じられます。
北秋田市のような過疎地域は、金も人も外に流出していきます。国の「地方創生」など掛け声ばかりで、結局は地方自治体が流出を阻止する手立てを真剣に考えなければなりません。そのためには、積極的に外へ打って出る姿勢が効果的で、外へ流れた金も人も奪還しようとするほどの気概で挑むべきです。それなのに、とりあえず赤字を出さなければいいという守りの姿勢や、限られた利権を奪い合うような内向き志向では、北秋田市がより良くなるとは、到底思えませんけどね。
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