【映画評】ゾンビ伝説 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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学者のデニスは死者を甦らせる秘薬を求めて南米ハイチを訪れる。秘密警察が暗躍する中、デニスは禁断の領域へと足を踏み入れ、やっとのことで人をゾンビに変える薬を手に入れる。しかしブードゥの呪いが人々を死へと至らしめ、やがてデニスも生きながら葬られることに……(映画.comより引用)。1988年日本公開作品。監督はウェス・クレイヴンで、出演はビル・プルマン、キャシー・タイソン、ゼイクス・モカエ、ポール・ウィンフィールド。
 
逝ける映画人を偲ぶという訳ではありませんが、今年8月30日(現地時間)に亡くなったクレイヴン監督のホラー映画です。この『ゾンビ伝説』という題名は、本作以外に使用されてはいません。ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』以降、多数のゾンビ映画が作られていながら、誰もが思いつきそうな、この題名を使用していなかったことは意外な事実です。
 
また多くのゾンビ映画と異なり、生きた人間を襲い、人肉を喰らうゾンビは登場しません。ブードゥー教の秘薬で生き返った死者という、正しい用法のゾンビです。実話に基づく映画ですから、それほど常識外れで突拍子もない事件は起こらないのです。
 
主人公デニス(プルマン)は、かなり酷い目に遭わされます。秘密警察の拷問でアソコに釘を打ち込まれたり、仮死状態で生きたまま埋葬されたりします。そんな苦難を克服した彼がアメリカ大統領にまで出世し、宇宙人の侵略に立ち向かうのですね(それはプルマン出演の『インデペンデンス・デイ』ですよ!)。
 
デニスは薬物による幻覚で、現実世界と悪夢世界を彷徨います。この展開を演出するため、『エルム街の悪夢』で実績のあるクレイヴン監督が起用されたのでしょうか。しかし、悪夢世界の支配者=ドリームマスターが、強烈な個性を持つカリスマ殺人鬼、フレディ・クルーガーではなく、ただの呪術師のオッサンである本作は、魅力不足という結果になっています。
 
本作の時代背景に、1986年に起こったハイチ・クーデターがあります。長きに渡って秘密警察の暗躍により国民に圧政を敷いていた、デュヴァリエ大統領の軍事独裁政権がクーデターにより崩壊した事件です。現実の支配者に対して民衆が立ち向かう構図と、悪夢の支配者に対してデニスが立ち向かう構図は、個人の意思の力に焦点を当てているという点で一致します。『エルム街の悪夢』でも、フレディは悪夢世界=精神世界の住人なので、個人の精神力で退治することになります。物凄く良いテーマではあるのですが、そんな理屈っぽくまとまるより、単純に破天荒なホラー映画を観たかった私がいます。
 
★★☆☆☆(2015年10月6日(火)DVD鑑賞)
 
昔アメリカにパパ・シャンゴというブードゥー教の呪術師キャラのプロレスラーがいました。
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