パチンコ業者の介護ビジネスがヤバすぎる! 老人を無料体験で依存させ、貯金を搾り取る手口とは
パチンコ業界の介護ビジネスに反発が相次いでいる。9月24日、兵庫・神戸市議会はデイサービス施設でのパチンコやマージャンを禁止する条例改正を可決した。
この改正条例では「射幸心を煽る恐れのある遊技を常時行わせる」「賭博や風俗営業を連想させる広告を掲示する」などを禁止したもので、一部の介護施設が、系列のパチンコ店で遊技をさせていたことを問題視したもの。
神戸市では、大手パチンコチェーン店が運営する介護施設で「無料パチンコ教室」「パチンコリハビリ体験」などと称して、入所者を自社のパチンコ店に連れ出し遊ばせていたことが問題となっていた。この施設に今年2月まで入っていた70代の父親の長男(36)は、「一度もパチンコをやったことがなかった父が突然、パチンコをやるための金が欲しいと言い出した。調べたら本人が持っていた約400万円の貯金がゼロになっていて、パチンコに使ったと言われた」と話す。
「なんでパチンコなんでやらせたのかと介護施設に抗議しましたが、施設側は『連れ出したのは、あくまで無料体験サービスのときだけだ』と開き直っていました。パチンコ店がすぐ近くにあって、そこに出入りするのを止めようともしなかったんです。介護業者が意図的に父をパチンコで散財させた悪徳商法としか思えません」
こうした被害報告はいま全国的に広がっているが、現時点では神戸市以外で規制を敷いているところはなく、野放しのまま。都内のデイサービス業者も「アミューズメント型デイサービス」として、血圧や体温を測る健康チェックこそするものの、施設内では大半の時間をパチンコやマージャンで遊ばせている。ここでは架空通貨を利用しているため散財はないとしているが、施設から徒歩7分の位置に、系列のパチンコ店がある。
介護施設側はあくまで「パチンコ店とは無関係」とするが、ギャンブル依存から多額の現金を使うパチンコ店への出入りにつながる危険性は十分ある。
パチンコ問題に詳しい反対運動組織のメンバーによれば「規制強化でギャンブル性の高い機器が禁止され、客離れが深刻になっているパチンコ業界は、生き残り策になりふり構わぬ異業種荒らしが見られていて、中でも高齢者ターゲットは顕著。特に独り暮らしや介護施設にいる寂しい老人の年金が狙われている」という。
事実、北海道のパチンコ店では、従業員にヘルパー資格を取得させる計画がある。店のスタッフは「お年寄りは他店に移ったりしない常連客になることが大半で、時間があるから遊ぶ時間も長い」と顧客ターゲットとしてお年寄りを露骨に狙うために、福祉施設も兼ねた遊技場に変化させようという目論見だ。
「介護職員の研修カリキュラムは130時間程度で費用も安いし、1~2カ月あればヘルパー職員を育てられるから効率の良いビジネスにできる。ただ、介護員の時給はだいたい1,800円ぐらいなので、それより高い時給で介護資格を持つ方を採用する方が早いかもしれない」(同スタッフ)
こうした動きを受けて、群馬県のパチンコ台販売業者は、今年4月からデイサービス施設内に設置する専用の介護パチンコ機を開発、すでに一部の施設で試験的な導入を開始した。「介護台」とも呼ばれる施設用のパチンコ機は、大学教授や理学療法士ら専門研究家の「光と音を改良して、より前頭葉の刺激をさせ認知症の予防につながるものになっている」という根拠を示しているが、前出の反対運動組織メンバーは「その研究家にはパチンコ業者から多額の研究費が渡っている疑いがあって、鵜呑みにできない」という。
そもそもパチンコと合体させた施設に、正当な施設と同様の介護保険を適用させるのかという疑問もある。
「いかにも金儲けでこの業界に入らせると、必ず介護の質が落ちて大変なことになる」とメンバー。
2年前に建設をめぐって大きな反対運動が起こり、反対住民への嫌がらせ疑惑も伝えられた千葉県のマルハン習志野店では、店側の役員が建設時の説明会で「パチンコ店ができるとお年寄りの憩いの場となってみんなが喜ぶ」と胸を張った話があるが、パチンコ業者の狙いは「憩い」などではなく、お年寄りが持つ預貯金にあるのだろう。
大前提として、パチンコ店は実質、違法な賭博場にもかかわらず、政治家や警察との癒着で巧妙な抜け道をとって営業をしてきたグレーな業種。これが日本社会のデリケートな問題である介護にまで食指を伸ばしてきたことに、懸念は尽きない。
(文=片岡亮)
(文=片岡亮)
転載元:日刊サイゾー
【ここから私の意見】
ブラック企業の代表格であるワタミが介護事業に進出(後に撤退)したように、介護事業は旨みのある商売のようです。規制強化のみならず、消費者の懐が寂しい景気が続いていますから、パチンコ業界も生き残りに必死です。介護事業に手を伸ばし、高齢者をギャンブル依存にし、地道に働いて貯めた蓄えをむしり取ろうと企んでいます。
勿論健全な経営をしている介護事業者が大半でしょう。しかし、悪質な事業者のせいで、真面目に頑張っている事業者にもネガティブなイメージが付いてしまいます。怪しい事業者は申請段階で排除すればいいと対策を講じても、せいぜい暴力団構成員が経営者でもない限り、事前排除は困難でしょう。国が行政改革(橋本政権)や構造改革(小泉政権)の名で行った規制緩和の流れは、許可基準の厳格化を民業圧迫=絶対悪と看做しますから。自由競争=絶対善という市場原理が、公の仕事を蝕みます。そもそも福祉分野は利潤追求を目的としないので、市場原理が適しないはずです。
神戸市の条例改正は、悪質な事業者に対する規制強化ですから、わずかながらも思い切った改善策です。この流れが全国に広がり、悪質な介護事業者を排除すればいいのですが、難しいでしょう。何しろ国会議員も地方議員も問わず、政治家の後援会(タニマチ)にパチンコ業者がいるなんて、ざらにある話ですから。
にほんブログ村 ニュース批評に参加しています(よろしければクリックを!)