
トリノで外国人女性ばかりを狙う残忍な誘拐殺人事件が続発。行方不明になったセリーヌの姉リンダに依頼されて捜査を開始したエンツォ警部は、被害者が遺した「彼は黄色い(ジャーロ)」というメッセージをヒントに、殺人鬼の正体に迫っていくが……(映画.comより引用)。2010年日本公開。監督はダリオ・アルジェントで、出演はエイドリアン・ブロディ、エマニュエル・セニエ、エルサ・パタキー。
「ジャーロ」とは、イタリア語で「黄色」の他、「ミステリ小説、犯罪小説」を意味します(それらのジャンルが黄表紙のペーパーバックに装丁されたことが由来だそうです)。本作は、後者の意味でも「ジャーロ」です。
主演のブロディは、ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』で一躍有名になったので、風貌も相まって芸術系インテリであるかのようなイメージがあります(ちなみに本作に出演しているセニエは、ポランスキー監督の奥さんです)。しかし、『キング・コング』や『プレデターズ』に出演し、そのイメージを覆すかのような作品選びのセンスを見せます。
また、本作ではプロデューサーも務め、撮影当時、交際中だったパタキーを起用するという、やり手の業界人みたいな面もあります。ブロディは、意外と面白そうな人です(パタキーと破局したのは、本作で酷い目に遭わせたからでしょうか)。
アルジェント監督の代表作は『サスペリア』で、「美女をいたぶるスリラー映画」という点で一貫性はあります。しかし、『サスペリア』で見せた独特の色彩センスや音楽は影を潜めています。更に謎解きミステリーとしては雑で、残虐描写に突出したものがない(眉間に注射を打つとか、指を切断するとかはありますけど)ので、中途半端な普通の映画という印象を受けます。
★★☆☆☆(2015年8月25日(火)DVD鑑賞)
アルジェント監督は娘にアーシア(Asia)と名付けるほどアジア好きという説があります。