ヨルタモリ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

ヨルタモリ」は、毎週日曜日23時15分~23時45分にフジテレビ系列で放送されているバラエティ番組です。
 
番組ホームページによると、「東京の右半分、湯島あたりにあると言われるバー『ホワイトレインボー』。ここは毎週日曜日だけやっている。ママは宮沢りえ。今週もこのバーにふと立ち寄ったお客さまたちとママは、お酒を傾けながらなにやら語り合っている。時には、ママがはまっているということで、この界隈でしかみられないテレビ番組を見ることに。」というものです。
 
昨年10月の番組開始当初は、こんなことを書かれていました。
 
「笑っていいとも」終了後、タモリさん初のレギュラー番組として鳴り物入りで始まった「ヨルタモリ」(フジテレビ系、10月19日開始)。筆者も楽しみにしていて、録画ではなく生で見たのですが、ふたを開けてみると、超絶ガッカリ……。
(中略)
視聴者の方がネットでコメントしていたように、フィクションのコントショーとして見ても、この部分は中途半端。どうせなら、ちゃんとした台本を作って、トーク部分もタモリさんのコアファンを満足させるように振り切ってほしかった。筆者などは、途中から完全に上の空状態。タモリさんが、日本エレキテル連合の“小平市の細貝さん”に見えてきて、「タモリさんが“細貝さん2号”になって、“細貝さん”と“未亡人朱美ちゃん3号”と共演したら面白いだろうな」と妄想しながら、見ておりました。
(中略)
「笑っていいとも!」のファンを取り戻すか、全編フィクションにしてコアファン向けにするか。「ヨルタモリ」が戦略的な方針を固めて、試作品から卒業する日を一視聴者として楽しみにしています。永遠の試作品で終わりませんように……。
 
 
番組が始まってから半年が過ぎましたが、番組内容を変更することなく、同時間帯の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」(日本テレビ系)と視聴率争いをする優良コンテンツになっています(視聴率がテレビ番組評価の全てではありませんけど)。
 
長い間、「笑っていいとも!」司会者としてのタモリを見てきた視聴者は、確かに「ヨルタモリ」で脇役としてのタモリを見ることに違和感を抱くかもしれません。しかし、「笑っていいとも!」でのタモリも、進行役ではなく脇役(例えばクイズの回答者)としてコーナー出演することもあり、時にはタモリが全く出演しないコーナーもありました。それも「笑っていいとも!」終了近くではなく、何十年も前からです。それも知らず、「笑っていいとも!」が終了すれば、「タモロス」などと騒ぎ、「ヨルタモリ」を見てはガッカリするなど、浅はかなバカ視聴者のわがままに付き合ってられるかという話です(「タモロス」と騒いでいる視聴者が熱心に見ていれば、視聴率低下を理由とする番組打ち切りはなかったはずです。何とも無責任な連中です)。
 
そもそも「ヨルタモリ」の舞台であるバーという設定は、「笑っていいとも!」から解放されたタモリの原点回帰です。もともとプロの芸人ではなく、面白い素人だった森田一義は、福岡時代、ジャズミュージシャンの山下洋輔に気に入られ、漫画家の赤塚不二夫の誘いで上京し、30歳にして芸能界デビューを果たすことになります。それまで森田が数々の文化人を虜にした素人芸を披露していたのが、博多や新宿ゴールデン街のバーなのです。
 
少し話が逸れますが、タモリがバーを舞台にした素人芸をベースにしているのに対し、とんねるずは部室を舞台にした素人芸がベースになっているとも言えます。タモリととんねるずは先輩芸人に弟子入りすることなく、伝統的な芸人システムから無縁であるという共通点もあります。「笑っていいとも!」打ち切りが発表されると、とんねるずが急遽期間限定レギュラーに名乗りを上げたのは、そうした背景を考えると、意味ありげになります。
 
「ヨルタモリ」が架空のバーのカウンターでトークをする形式であることは、ある往年のテレビ番組を思い出させます。1992年から1996年まで日本テレビ系列で放送されていた「たかじんnoばぁ~」です。やしきたかじんがマスター役で、マネージャー役のトミーズ雅が進行しながら、バーの客としてやって来たゲストと共に本物の酒を飲みながらトークをするというスタイルの番組です。たかじんをタモリに、トミーズ雅を宮沢りえに置き換えれば、「たもりんnoばぁ~」ならぬ「ヨルタモリ」になります。
 
ただ、たかじんがマスターであるのに対し、タモリが客の一人であるという役割の違いに、両者の芸風の違いが出ています。この「ヨルタモリ」=「たもりんnoばぁ~」という仮説によれば、「ヨルタモリ」第1回でタモリが「大阪から来た社長」を演じたのは、亡き先人に敬意を払ったという見方もできます。
 
ここまで書いておきながら何ですが、「ヨルタモリ」は、ある日突然架空のバーという設定を止めてしまうかもしれません。番組名が「ヨルタモリ」で「たもりんnoばぁ~」などではないので、内容変更に支障はありませんから。形式にこだわらず、即興で自由な番組作りをする姿勢こそ、タモリが演じる「岩手でジャズバーを経営している吉原さん」の口癖である「ジャズだね」を体現したものです。「ヨルタモリ」は日曜夜にそんな気楽な姿勢で見る番組なのだと思います。