大塚家具「御家騒動」について思う | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

経営権を巡って父である会長と娘の社長が激しく対立し、3月27日に開かれた株主総会で社長側が勝利した大塚家具「御家騒動」。勝利した久美子社長の単独インタビューを読んでみました。
 
文中の「昨年12月末で10.13%を持っていた米国の投資会社『ブランデス・インベストメント・パートナーズ』が早い段階で支持を表明」や「機関投資家に大きな影響を持つ米『インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)』や米『グラス・ルイス』といった議決権行使助言会社が、相次いで久美子社長側を支持する意見書を出した」が気になります。社長の強い後ろ盾となったのは、アメリカの投資会社だったということです。国内株主も、それらの声に追随して社長支持に回ったと考えられます。
 
マスコミは会長と社長の対立を親娘ゲンカのように“装飾”して伝えましたが、実際の株主総会で争われたのは、どちらが業績回復し、より多くの株主配当を増額できる案を提出したかです。結果として社長側の提案を選択しました。これで社長は業績回復し、約束どおりの株主配当をできなければ、アメリカの投資会社ら株主たちに梯子を外されることになります。
 
大塚家具は、競合他社のニトリやイケアの攻勢により、ここ数年の業績が思わしくありません。社長案がビジネスタイプを他社に寄せるものであれば、後発の弱みで業績を急激に伸ばすのは困難です。約束を守れなかった経営陣は、株主たちによって引きずり下ろされ、アメリカの投資会社ら株主たちの思いどおりの経営陣が置かれます。そして、彼らは会長ら先代がコツコツと築いてきた技術や商売のノウハウを労せずして手中に収めます。中小企業の弛まぬ努力により蓄積された日本の技術を、金融資本主義の力でアメリカが易易と我が物とすることになります。
 
マスコミは、本件における、この側面について伝えたでしょうか。ほとんど伝えていません。感情的な親娘ゲンカというホームドラマ的側面をクローズアップしただけです。それで大衆も満足していたようです。分かりやすい話ですからね。NHK朝の連続テレビ小説で「嫁いびり」の要素を入れるのと同じです。そうすれば、大衆受けして、視聴率が取れますから。
 
郵政民営化における「抵抗勢力」との対立構図、TPPにおける製造業と農林業との対立構図、JA改革におけるJA全中との対立構図も、マスコミによって感情的で分かりやすいドラマに仕立て上げられた図式です。郵政民営化によって郵貯や簡保の資産が、JA改革によってJAバンクやJA共済の資産が、アメリカの金融市場という狂乱賭博場に流出します。TPP参加によって日本が築き上げてきた創意工夫は「非関税障壁」としてアメリカに破壊されます。
 
そうした危機に直面していながら、マスコミが(意図的に隠蔽するため?)安っぽいドラマに加工したニュースを垂れ流し、それに国民が一喜一憂しているのが、日本という国なのです。