ちば映画祭の思い出② | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

2012年1月28日(土)・29日(日)の2日間、千葉市民会館小ホールで開催された「ちば映画祭vol.4」に行きました。
 
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映画祭のロビーの様子は、こんな感じです。
 
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高校の文化祭を思わせる手作り感に溢れています。これを単にショボいと片付けるのは、何も分かっていない愚か者です。花くまゆうさく画伯のチラシイラストにもあるとおり、「初期衝動」のまま、青い心で突っ走る者たちが集うイベントだからです。イベントとしてグレードアップされることを望みながらも、ある程度のヒドさはキープしていてほしいと願う私がいます。
 
気合を入れて鑑賞した全作品のうち、私のお気に入りは『ロストパラダイス・イン・トーキョー』です。
 
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知的障害者である兄・実生と二人で暮らす幹生は、性欲処理ができない兄のために、デリヘル嬢のマリンを招き入れる。地下アイドルとして活動しながら風俗で働くマリンには、いつか自分だけの島「ファラ・アイランド」を購入したいという夢があった。奇妙で穏やかな共同生活を始めた3人だったが・・・誰もがひとりでしか生きられない。でも誰もひとりでは生きていけない。そんな普遍的なテーマを題材に、現代の社会が抱える問題を浮き彫りにしつつ、“今”を必死に生き抜く3人の姿を、厳しさと優しさの交差した独自の世界観で包み描いた、狂おしいまでに愛おしい作品(ちば映画祭vol.4上映作品一覧より)。監督は白石和彌で、出演は小林且弥、内田慈、ウダタカキ、奥田瑛二。
 
設定からギルバート・グレイプ』の現代日本版という見方もできます。向こうの舞台はアメリカの田舎ですが、本作の舞台は日本の都会です。時折映し出される東京の風景の無機質さは、主役3人の生きにくさを強調します。
 
嘘みたいな夢を頼りに現実をもがいて生きる、3人に用意されたラストは「希望」です。上映後のトークで白石監督は、「簡単に殺すのも映画なら、簡単に生かすのも映画」と言っていました。ニヒルを気取って絶望を描くより、ほんの予感めいたものでも希望を描く方が、覚悟ある表現者です。東日本大震災で日本列島が受けた、深き絶望感を憶えている者ならば、分かるはずです。それをすっかり忘れ、破滅への道を威勢良く選ぼうとしているバカには、分からないでしょう。
 
若松孝二監督に師事し、本作で「映画ならではの自由」を示した白石監督は、『凶悪』により多くの賞賛を得るまでに成長しました。ちば映画祭には、未来の逸材がいます。それを見出す楽しみを味わうため、ご来場してみてはいかがでしょうか(★★★★☆)。
 
☆ちば映画祭ホームページ http://www.chibaeigasai.com/
 
『凶悪』はDVD化されています。
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