
「昭和残侠伝」シリーズのうち、最高傑作の呼び声も高い第7作(1970年公開)。監督はマキノ雅弘で、出演は高倉健、藤純子、山本麟一、長門裕之、池部良。
マキノ監督の任侠物なので、娯楽性が高く、分かりやすく出来ています。加藤泰監督の任侠物だと独特の美学が強いので、構えて観てしまいます。それに比べ、本作は肩の力を抜いて観ることができます。
マキノ監督の身内である長門と津川雅彦が出演しています。確か叔父と甥の関係のはずです。両者とも健さんを引き立てるためのコメディ担当の扱いです。長門は良いとして、津川があの程度の出演なのに、キャストロールの扱いが大きいのは納得が行きません。
クライマックスの殴り込みシーンでは、健さんの着物が開け、「背中(せな)で泣いてる唐獅子牡丹」の刺青がスクリーンいっぱいに映ります。歌舞伎にも通じる様式美があります。健さんが任侠映画から足を洗った理由の一つとして、加齢による衰えのため、お客さんに肌を見せるのが失礼に当たると思ったからだと推理しますが、どうなのでしょう?
スポーツ選手のタトゥーでどうのこうの騒ぐ世知辛い現代に、唐獅子牡丹の刺青が入った背中を見せ、観客を熱狂させた健さんの偉大さを知るべきです。
★★★☆☆(2015年2月22日(日)テレビ鑑賞)
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