【映画評】白い肌の異常な夜 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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南北戦争の末期。南部の林の中にある女子学園の生徒が重傷を負った北軍の兵士マクバーニーを見つけ、園内に運び込む。教師のエドウィナや女子生徒たち、そして院長マーサによってかくまわれたマクビーは次第に回復していく。しかし生徒が彼を誘惑。エドウィナがそれに嫉妬し……(映画.comより引用)。1971年公開作品。監督はドン・シーゲルで、出演はクリント・イーストウッド、ジェラルディン・ペイジ、エリザベス・ハートマン。
 
題名がポルノ臭を発しています。見始めると、イーストウッドが少女から熟女までに囲まれてのハーレム状態です。「羨ましいぞ、この野郎!」という思いを抱きます。
 
しかし、その思いは女同士のドロドロとした嫉妬争いで失せ、村上龍原作、三池崇史監督の『オーディション』のような片足切断シーンを経て、ブラックな結末を目にします。かなり怖い映画です。
 
本作は南北戦争を時代設定とし、その時代は西部劇の時代と重なります。西部劇は男社会の物語です。時としてホモセクシャルな関係に至ることは『ブロークバック・マウンテン』で描かれています。男社会では、女は嫌悪されるべき存在であり、そのグロテスク感を強調したのが本作です。南北戦争の勇ましい映像で始まる本作が、北軍兵士の惨めな死で終わるのは、西部劇的な男社会の終焉と、女社会の到来の予感を示しています。製作時の現実社会で、ベトナム戦争の泥沼化とウーマンリブ運動の広がりがあったことも、影響しているでしょう。
 
本作のシーゲル監督とイーストウッドが、次に取り組んだのは『ダーティハリー』という現代版西部劇です。ハリー・キャラハンという西部劇的男社会の遺物が冷遇されている、この作品の前に本作があったことは、非常に興味深いことです。
 
★★★☆☆(2015年2月21日(土)DVD鑑賞)
 
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