
メアリー・シェリー原作小説を基に、野望に燃える狂気の科学者と、彼が想像した怪物が起こす悲劇を描く怪奇映画(1931年公開作品)。監督はジェームズ・ホエールで、出演はボリス・カーロフ、コリン・クライヴ、メイ・クラーク。
皆さんお馴染みのフランケンシュタインの物語です。フランケンシュタインは科学者の名前で、怪物には名前が無いということは、あまり知られていません。尺は70分程度で丁度良く、最近の映画が無駄に長いということを改めて実感します。
怪物のビジュアルが一般に定着しているように、本作が後世の作品に与えた影響は大きいです。ティム・バートンは『シザーハンズ』のみならず、『フランケンウィニー』でその傾倒を表明しています。『フランケンウィニー』は実写版とストップモーション・アニメ版の二種類を作って、しかもコピーの完成度が高いです。本当に好きなことが伝わります。
日本だと、漫画家の手塚治虫が影響を受けています。『鉄腕アトム』の天馬博士とアトムの関係や、『ブラックジャック』のブラックジャックとピノコの関係が、本作のフランケンシュタインと怪物の関係に似ています。アトムやピノコの可愛さは、怪物のビジュアルと似ても似つきませんが。
他にも本作をモチーフにした作品は多々あります。何故に本作が後世のクリエイターに影響を与えるかと言えば、死体という無生物に生命を宿らすというフランケンシュタインの姿が、自身の創作活動と重なり、共感できるからではないでしょうか。特に映画の場合、フィルムという無生物を継ぎ接ぎ(編集)し、電気の力で(映写することで)生命の躍動があるかのような作品を創造するところまで重なります。昔も今も「後継者」がいることから、本作は映画史におけるマスターピースと言えます。
★★★☆☆(2015年2月1日(日)DVD鑑賞)