【映画評】ウディ・アレンの重罪と軽罪 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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人間の愛と欺瞞、成功と挫折をふたつのストーリーから描く人間ドラマ(映画.comより引用)。1990年日本公開作品。監督・主演はウディ・アレンで、出演はマーティン・ランドー、ミア・ファロー。
 
アレン監督作品なので、台詞は多めでBGMは少なめです(しかも、オリジナルスコアではなく、既成曲です)。会話にジョークを入れてきますが、サスペンス要素がある内容のため、笑いは同監督作品より控えめです。『マッチポイント』に近いですかね。しかも、台詞にユダヤ教の信仰に関わる部分が多いので、日本人の私には、とっつきの悪い作品です。
 
本作がユダヤ教にこだわるのは、ユダヤ人であるアレン監督の自己言及的な作品だからでしょう。映画界の成功者であるユダヤ人映画監督の自分を、成功者であるユダヤ人眼科医ジュダー(ランドー)と、売れないユダヤ人映画監督クリフ(アレン)の二人に分裂させて、自身の内面を語らせています。北野武監督の『TAKESHIS' 』と似たアプローチです。
 
本作製作時の前後に、アレン監督は私生活のパートナーであるファローから訴訟を起こされたり、ファローの養女であるスン=イー・プレヴァンと交際したりと悶着があったようです。「片付けたい」女がいるジュダーと、年の離れた姪っ子と仲良く映画を観るクリフ。巨匠が自身の内面にあるドロドロを、映画に昇華した作品を観ることができる良い機会だと思います。
 
★★☆☆☆(2015年1月26日(月)DVD鑑賞)
 

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