【映画評】異常性愛記録 ハレンチ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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斜陽産業の気配がしつつあった映画界で、東映がセンセーショナルに勝負を仕掛けた異常性愛路線の一作(1969年公開)。監督は石井輝男で、出演は橘ますみ、若杉英二、賀川雪絵、吉田輝雄。
 
若杉の変態ストーカー演技が印象に残ります。間違いなく彼の代表作ですが、本人はどう思っているか分かりません。
 
その若杉演じる深畑にストーキングされる典子を橘が演じます。黒目がちで可憐な面影の橘は、苦悶の表情を浮かべた時に光る「責められ上手」です。『徳川いれずみ師 責め地獄』でも、その能力を発揮していました。バーのママ役を演じる橘は、撮影当時まだ23歳です。昔の日本人が大人びていたのでしょうか? それとも今の日本人が幼くなったのでしょうか?
 
目、鼻穴、口腔、乳首という身体パーツのアップや、ストロボ撮影には、「見るドラッグ」と言うべき幻惑効果があります。「性の解放」を肯定するかのようなSMや同性愛の性描写もあり、1969年という時代背景を考慮すれば、前衛的アート作品にも見えます
 
男性向けエロ映画の皮を被っていますが、ストーリーの根幹は男女関係を描いた女性映画的な作品です。石井監督が師と仰ぐ成瀬巳喜男監督作品の影響でしょう。撮影所システムの下、時代の空気を取り入れながら、自分の撮りたいテーマを映画にする石井監督の職人芸です。流行に乗っただけの空虚な映画や、商売無視の自己満足映画が出回る、最近の映画界が回顧すべき作品だと思います。
 
★★★☆☆(2015年1月3日(土)DVD鑑賞)
 
こちらの記事を参考にしました。
Yahoo!ブログ「多趣味で週末は多忙」http://blogs.yahoo.co.jp/hi6chan2001/67454254.html
 
「羊の皮をかぶった狼」のような作品を見つけましょう。
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