
収容所に送られたユダヤ人の父親が幼い息子を生きながらえさせるためにとった意外な作戦をぺーソスあふれるタッチで描いた感動作(映画.comより引用)。1999年公開のイタリア映画。監督・主演はロベルト・ベニーニで、出演はニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ。
ベニーニがコメディアンであり、ナチスドイツを扱ったコメディということで、『チャップリンの独裁者』がよく引き合いに出される作品です。ベニーニの芸風は好き嫌いが分かれるところでしょう。しかし、前半の軽いノリが後半の前フリになり、そのギャップが効いてきます。
子役のカンタリーニに余計な台詞を与えず、表情中心の演技をさせている点に好感を持ちます。私は子役独特の優等生的な台詞回しが大嫌いだからです。子役が大人に媚びた演技をし、それを大人が許容するというのは、中国や北朝鮮あたりがやることで、成熟した国がやることではありません。
主人公グイドは、頭の回転が速く、笑いを好むキャラクターです。それがファシズムに対する批判になっています。ファシズムは思考停止の産物です。グイドの味方となるドイツ人医師は、なぞなぞ好き、つまり考える人です。彼以外のナチス関係者は、体制や規則に従順で、思考停止した人間として描かれています。また、笑いには物事を別の視点から見る想像力が必要です。笑いを不謹慎なものとし、大声で威圧するナチス関係者は、想像力を放棄した、つまらない人間です。
過去のファシズムへの反省と、未来のファシズムへの警鐘として、笑いを封殺するナチスの愚かさと、笑いで家族を守ったグイドの美しさは、一見の価値があります。
★★★★☆(2014年12月28日(日)DVD鑑賞)
こちらもご覧ください。
Yahoo!ブログ「atts1964の映像雑記」http://blogs.yahoo.co.jp/atts1964/11743763.html
Yahoo!ブログ「ギャラさん映画散歩」http://blogs.yahoo.co.jp/g02san/8995881.html
美しい人生を描いた映画をこちらで探しましょう