【映画評】手紙 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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直木賞作家・東野圭吾によるロングセラー小説を映画化。工場で働く20歳の青年・直貴には、刑務所に服役中の兄がいる。弟の学費を手に入れるため強盗に入った家で、誤って人を殺してしまったのだ。そんな兄のせいで人生が狂わされ、夢さえも諦めてしまう直貴。そして愛する女性との幸せまでもが脅かされた時、直貴はある決断を下す……(映画.comより引用)。2006年公開作品。監督は生野慈朗で、出演は山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ、吹石一恵、尾上寛之。
 
山田が職を転々とする役なので、山田孝之七変化が見られます。某缶コーヒーのCMみたいです。沢尻も作品中で変身します。登場時の純情娘ぶりを観て、『ヘルタースケルター』を観ると驚きますね。私生活で性悪ビッチでも、映画やドラマで純情な役を演じられる方が役者として腕がある証拠ですが(逆もまた然り)。
 
東野圭吾は基本がミステリー作家ですので、どの作品においても、ミステリー要素(謎解き)を入れ、読者の興味を引くという手法を取っています。「あらゆるテーマもミステリーというジャンルで展開する」と言えば、松本清張という偉大なる先達がいます。
 
その松本清張原作作品で「差別」をテーマにした名作『砂の器』と比較すれば、本作は重みの無さが目に付きます。社会的なテーマやプロットは私の好きなものですが、それを表現するには画の力が弱いと感じました。全体的に画が小綺麗で不幸が不幸として伝わりません。貧乏な境遇を描くなら、スクリーンから匂い立ってくるような貧乏の画が欲しいのです。
 
またクライマックスで、演者を泣かせて観客を泣かせる「もらい泣き作戦」を用いるのは、稚拙な演出家がやることです。その上、BGMに小田和正の「言葉にできない」を流すのは、楽曲の力に頼った恥の上塗りです。どうにもテレビ演出家の限界というものを感じてしまう作品でした。
 
★★★☆☆(2014年11月30日(日)DVD鑑賞)
 
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