
アメリカ合衆国建国200周年記念映画で、クリント・イーストウッド監督の第5作。アメリカ南北戦争末期。家族を北軍ゲリラに殺され、復讐の旅に出た南部の農民ジョージー・ウェールズの粘り強い戦いが描かれる(映画.comより引用)。1976年公開で、出演はクリント・イーストウッド、チーフ・ダン・ジョージ、ソンドラ・ロック。
お尋ね者となった主人公ジョージーの仲間は、未熟な若者、先住民の老人、先住民の娘、犬などです。犬、猿、キジがお供の桃太郎よりは心強いですが、頼りなさは残ります。しかし、法の庇護を受けぬ者(アウトロー)になった主人公が心を通わせられるのは、マッチョな白人男性が優位なアメリカ社会において枠外にある者なのかもしれません。『グラン・トリノ』でイーストウッド演じる老人が心を通わせるのは、異民族の少年少女でした。
イーストウッド監督作品なので、暴力描写は非情です。射殺体に噛みタバコで濁った唾を吐きかけまくります。アメリカ合衆国建国200周年記念映画であるにもかかわらず、お祭りムードは皆無です。しかし、それがアメリカ社会に冷徹な批判を投げかけるイーストウッドらしさだと思います。
アウトローが主人公で、非情な暴力描写と言えば、北野武監督が思い浮かびます。北野監督デビュー作の『その男、凶暴につき』は、「和製ダーティハリー」と称されてもいました。そして、先日亡くなった高倉健は、その訃報が海外に知られる際に、「日本のクリント・イーストウッド」と紹介されていました(Yahoo!ニュースより)。もし北野監督で高倉主演作品が実現していれば、それはイーストウッド作品に最も近い日本映画になったであろうと思ってしまうのです。
★★★★☆(2014年11月21日(金)テレビ鑑賞)
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