走ることについて語るときに僕の語ること~フルマラソンを走る小説家ってだけでもすごいのに | 圭一ブログ

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走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)/村上 春樹


村上春樹は長編小説を書き続けるために、早寝早起き、小食、定期的な運動、といった健全なライフスタイルを建設していて、太宰治をはじめ無頼のイメージが染みついた小説家、というイメージをことごとく破壊してくれるのであった。

私としては、小説は小説そのものだけでなく、作者の生い立ちや執筆当時の生活、取り巻く時代背景なども考慮して読むことを心がけているわけであって、村上春樹のそういった姿勢を無視することはできないのである。この本は、そんな疑問に真摯に応えてくれる一冊である。

「考える人」のインタビューで村上春樹はこんな風に語っておりました。曰く 僕は机に向かっているとき以外はなんら代わり映えのしない普通人であるけれど、小説を書いているときだけは特別な存在になる、特別といってもそれは誰しもが持ち合わせている能力についてちょっと優れているだけであって、それは自分を掘っていくことだ、と。

村上春樹は、飄々としたイメージ、いいとこの子供みたいなイメージがあるけども、学生結婚して喫茶店を経営して29歳まで仕事に明け暮れるとか、結構苦労をしていて、小説家になってからも将来の保証はないけど店をすっぱり閉めるとか、ライフスタイルを一変させるとか大変努力をしていて、1分の才能と9分の努力、という定型句を連想してしまうんだけど、素直にすごいと言おう。