地震の突っ張り棒はほぼ全く役に立たないので、

地震対策した気になっちゃダメですよって話です。

アイリスオーヤマのHP見ると、

http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=H248060F

東日本震災にも耐えたって書いてあります。

棒が耐えたのは立派といえば立派ですが、

写真ではどうも鉄筋の造りの天井に見えます。

一般的な日本家屋の天井は、

木造であえて軽く作ってあり、上記写真にあるようなオフィスの天井ほど頑丈ではないんで

きっとあっというまに天井が壊れて家具が倒れるはずです。

自宅（木造）の天井です。

制作中→→→→→→→→→→→→→→→→→→出来上がり
→

左が建築中、右が完成です。

建築中の写真の天井を見てください。

垂木（4ｘ3ｃｍくらい）の木材が一方向（画面の横方向）に走っています。

この写真の赤または青の部分に家具と突っ張り棒を置くことになります。

垂木に対して垂直になる場合と平行になる場合の２つがほとんどとですので、

（まれに斜めに家具を置くこともあるのでしょうが）、

パターン２つに絞って考えます。

○パターン１　家具と垂直に桟がある場合

まず、家具に対して天井の垂木（桟）が垂直の場合です。

タテに走っている桟を探しだせて（探しだす方法はこちら）

そこに突っ張り棒を合わせているなら少しは力になりそうに見えます。

（でもこれも不十分です。後述）

そんなことを知らない方のほうが多いので、

とりあえず家具の端につけているでしょうから、

まあ図のように桟とずれている場合がほとんどでしょう。

家具は手前に倒れてほしくないので、

図のB部をしっかり支えないといけないのですが、

Aの部分の桟が力を効かせています。

これで地震が来るとまず家具がスイングします。

一般的な天井の石膏ボードは96ｍｍ。

男性ならチョップで割れる程度の耐久性です。

家具の重さから考えると、薄緑部の石膏ボードは一瞬で穴があきます。

問題はこの後です。

先のAの部分が効いているので、

突っ張り棒は弓のようにしなり、反発力が溜まります。

この力が、家具を逆に勢い良く倒すか、

突っ張り棒がすごい勢いで飛ぶはずです。

http://311daishinsai.seesaa.net/article/199363837.html

実際の東日本大震災でも突っ張り棒がぶっ飛んで大怪我になりそうになった方もいます。

多分上記の現状が起きたはずです。

この現象をボコ！　グニャ！　ビヨーン！　バタン！と命名します（笑）

家具と垂直に桟がある場合は、桟を的確に探し出せることが必要になります。

天井の桟は4ｃｍです。

この桟の中心にしっかり突っ張り棒の重心が乗れば確かに転倒防止になりそうです。

行政のHPでもこの方法を紹介していることがあります。

しかし、本物の地震はスイングだけではなくスライドします。

http://www.youtube.com/watch?v=XGcVP8QDZUs

数センチずれたらもうそこは紙と一緒。

数センチの桟に合わせれば突っ張り棒で本当にOKか、上の映像見れば誰でもわかります。

○パターン2　家具と平行に桟がある場合

家具と平行に桟がある場合です。

設置法Aの場合は先の現象と同じことが起きるはずです。

ボコ！　グニャ！　ビヨーン！　バタン！です。

２本目の桟は壁から30ｃｍのところにあります。

一般的に販売している家具転倒防止の突っ張り棒は20ｃｍくらいですので、

２本めには届きません。

ゆえに、設置法Aでは寧ろ危険です。

設置法Bだけはやや効果がありそうです。

これなら２本めの桟に反発して、

脆いとはいえしなりのある垂木がスイングする家具を壁側に押し戻しています。

スイングの幅が狭くなれば、一定時間稼げる可能性はあると思います。

とはいえ、繰り返しますが、3X4ｃｍの木材１本ですからね。

これでOKではないですよ。

うちには地震用突っ張り棒はないのですが、

説明書には壁にくっつけろと書いてあるものもあるそうです。

上記の図では設置法３です。

僕はこれは逆に危険だと思います。

実際のゆれは実験室よりスライドする揺れが強いです。

壁の石膏ボードの厚さにもよりますが、

突っ張り棒がひっかかっているのは壁からわずか2ｃｍです。

しかも重心の中央とは到底言えず、

棒がしなって反発力が貯まるはずです。

棒が飛ぶか、家具を押し倒す力になるはずです。

もともと倒れない程度の家具の揺れを抑えるのには効果的ですが、

「転倒防止」と名乗ってはいけません。

せめてパッケージに「要天井補強」「一般的な日本家屋では効果はありません」

といった注意書きを書かないといけないレベルです。

○じゃあどうするのよ？

先のブログでも書いたとおり、

揺れるバスでたて棒にしがみつくのと、天井を強く手で押して突っ張るのでは、

どっちがコケないかは誰でもわかります。

やっぱり家具は壁の柱に縫い付けるべきです。

一軒家の人は壁紙の穴を気にしないでバシバシ縫い付けてください。

まず大事なのは命です。

でも賃貸ではそれが実質的に禁じられています。

命のことだから、早急に法改正すべきでしょうけど、

なんの利権もないので、何人死んでも今の決まりは動かないでしょう。

ホント、なんど震災を体験すればまともになるんでしょうか。

とグチはさておき、

賃貸の方向けに２つの方法を紹介します。

1つは壁に穴を開けるけど、退去の際に大家に見つからないレベルに補修できる方法です。

この方法なら家具はまず転倒しません。

でもこれは準備出来てないのでまた後日。

もう一つはやや心配はあるものの突っ張り棒をできるだけ強くする方法です。

強度はあまりオススメできないのですが、

今突っ張り棒をしていて、どうしても敷金を戻したいならやむを得ない方法です。

30ｃｍ　X　（家具の幅：最小64ｃｍ）　の板を買ってきます。

図の薄ピンク部に仮置きします

家具の幅が90ｃｍなら　30ｘ90ｃｍの板。

家具の幅が64ｃｍ以下なら　30X64ｄｍの板となります。

厚さは12ｍｍ程度でいいでしょう。

上記はあくまで最小の板のサイズです。

本当は32ｃｍの板のほうがいいのですが、

32ｃｍになるととたんに値が上がるので、最小は30ｃｍとしておきました。

上の数値以上なら40ｃｍでも45ｃｍでもいいです。

突っ張り棒は家具の手前側。

壁側につけてはいけません。

図に矢印イラストがあるので参照ください。

板は壁にピッタリつけてください。

この位置で板と棒を接着します。（赤波線部）

両面テープの強力なもの、

使えるならネジも使ってしっかり板と突っ張り棒を固定します。

接着しないとこの板だけ滑り落ちます。

ヘタすると　板落ちる→当たって痛いor逃げ場狭くなる→家具倒れてくるの連続コンボになります。

さらに、家具と突っ張り棒も固定したほうがいいでしょう。

家具に固定できない場合は板と家具をヒモで結んで落下しても途中で止まるようにしておきましょう。

市役所などのHPでも板を使っていますが、接着はしていません。

論外です。

東京消防庁のHPでは棒は壁側につけるように書いてあります。

まずまずと思いますが、

僕は接着（できればネジ止め）プラス棒にするなら、
棒は壁側ではなく家具の手前にするべきと確信しています。

理由を書くと長くなるのですが、
要は、ボコ！　グニャ！　ビヨーン！　バタン！で棒が折れる
または突っ張り棒の「エ」の形がゆがむと思うからです。
壁に近い垂木は強力にネジ止めされています。
一方、壁から２番めの遠さの垂木はしなりが効きます。

消防庁の考えはおそらくこの一番近い垂木が堅強だからこれを使えという考えです。
でも、震災の実験室で行うスイングだけの震災と異なり、
スライドしながらスイングするような実際の震災では壁から３０ｃｍ離れた垂木の反発力を利用すべきです。
縦・横いずれのケースであっても壁から離れた位置のほうが有効なはずです。
まあブログの知らないおっさんのいうことは信用できないと思いますので、
上記の図を見てよく考えてみてください。

最後に、地震の第一波が縦揺れの場合は天井に大きなダメージが出て、

効果もかなり薄くなるはずです。

頭でっかちになった突っ張り棒は天井ともはやつっぱってないので、そのまま落下する危険があります。

また棒がしなって折れる可能性も高いです。

それを防ぐために、ヒモで吊るすか、家具と突っ張り棒を接着しておきたいところです。

あとこれに併せて、家具の底に敷いて滑らないようにする防災グッズを併用してください。

震災の防犯カメラ映像などをみればわかりますが、

地震のゆれで家具がスライドすることもあるんです。

だから底面で摩擦を増やしたいのですが、

やっぱ本当なら壁の柱に縫い付けないとダメです。

繰り返しますが、

ビフォアアフターが好きな人なら、

天井がバサーっとカンタンに落ちるのはご存知のはずです。

それだけ天井は脆いんです。

だからこれはあくまで暫定的な手段です。

おそらくただ突っ張り棒を置くのに比べれば何倍も効果があるでしょう。

だから地震が起きたら即その家具からは逃げてください。

これはあくまで時間稼ぎの方法です。

以上、専門的な話とだれでもわかる話がごっちゃになってしまいました。
すいません。
ようするに、
板でもかませない限り突っ張り棒なんかで家具の転倒防止はできないよ
って話でした。

長文失礼しました。