3年ぶりに海幸彦に会えて嬉しかったのに・・・

相変わらずな上から態度をとられちゃって。

 

海幸彦へ針を返すまえにクルリと後ろをむき。

 

 

この針は、ふせぎ針、せっかち針、貧乏針、愚か針。

 

 

とワダツミに教わった呪文を唱え、目も合わせぬまま後ろ手に針を渡したのよ。

はぁ・・・愚かな、人を思いやる心のない人は酷い目にあうんだねぇ。

 

 

おう!確かに俺の針だけど・・・

何だよ今の怪しげな呪文は。

 

 

え?別になんでもないよ。

 

 

しかし、それからの海幸彦は災難続き。

海幸彦が低い土地へ田畑をつくると土地は干上がり。

兄と離れた高台へ田畑を作った山幸彦は大豊作。

 

翌年、それを見た海幸彦が高台へ田畑をつくり。

山幸彦を低い土地へと追いやったのよ。

すると・・・もう結果は分かりますよねぇ。

 

そして、その犯人はワダツミ。

海の神であるワダツミは水を操る力を持っているので海幸彦の田畑へ水を送らなかったんだよね。

3年も経つとワダツミの言った通り、海幸彦は貧乏のドン底になっちゃってたのよ。

 

 

おまっ!

やっぱ、あの呪文は何か意味があったんだろう!!

ふざけんなっ!!

 

 

ついにガマンできなくなった海幸彦は十拳の剣を抜き山幸彦へ襲い掛かったんだよねぇ。


いきなりの暴挙に驚いた山幸彦はワダツミにもらった潮満珠を目のまえへ。


すると魔法の方に珠から水が飛び出し、海幸彦をスッポリと覆ってしまったの。

 


そうなると。。。

分かるよねぇ水の中だもん。


息ができなくなって慌てる海幸彦。

バタバタと暴れたものだから、あっと言う間に息が切れてしまって顔面むらさき~。

 

 

 

兄貴、観念して俺に遣えるんだな?

えっ?なんて言ってるのか分かんないよ。

OKって事??

 

 

ぶくっ・・・ぶくぶく・・ぶんぶん!!

 

 


顔面蒼白で首をブンブン縦にふってるので多分うなづいてるんだろうと。


潮干珠をを掲げたの。


するとア~ラ不思議♬

珠がすべての水を吸い取ってしまったのよ。

 

こうして海幸彦は不承不承ながらも。

孫子の代まで山幸彦に隼人として遣える事を約束したの。

 

ちなみに隼人って九州地方の部族で。

今でも血を受け継ぐ人たちがのこってるとか?


海幸彦が山幸彦にやられた苦しみを舞として残してるそうよ。


でもさ~。

自分が苦しめられた事実を子孫代々まで残すって(笑)

ホントは海幸彦、イイヤツだったのかもしれないねぇ。

 

こうして兄を従えた山幸彦は日向を治める事になったのよ。