豪遊亭 吉田無道日記 -46ページ目

豪遊亭 吉田無道日記

漢、メタル道。

小豆島へ渡らなければならないとばかり思っていた俺は力が抜けた。

「いやいや、それならそうと言ってくれよ・・・・」
「そうですよねえ、私もそう思いました」


・・・・あかん、こいつKYやわ・・・・。

「どうすればいい?」
「フェリー乗り場へ来てくれるそうなので、荷物をわざとらしく持って待っていて下さい」
「わざとらしく・・・・・」


俺は段ボールの荷物をわざとらしく抱え、フェリー乗り場の入り口に立った。入り口には観光客であろう団体のおじちゃんおばちゃんがたむろしていた。その中でスーツで段ボールをわざとらしく抱え立つ俺・・・・。

社長ってどんな人やろ?酒屋の社長だからいかついオッサンやろうなあ。怒られるんかなあ。みんなのマエで怒られるんいややなあ・・・・。


15分ほど立っただろうか、横浜ナンバーの車が目の前に止まった。
ドアが空いて出てきたのは、上品な女性だった。

「すいません、遅くなりました」
「あ、いえいえ、この度は・・・・」
「荷物を!!」
「あ、はい」
「ありがとうございます。助かりました」
「あ、はあ」




拍子抜けした。同時に安堵感が一気に押し寄せてきた。



「うっ」その時、すっかり忘れていたあの感覚が俺の股間を直撃した。



「・・・・・オシッコ・・・・・」









(完)
「このままでは間に合わない・・・・・」

そう悟った俺はフルスピードでかっ飛ばした。

刻々と迫る時間・・・・。

「むぐう」

既にBGMは全く耳に入っていなかった。

そして高速を降り、ナビの指示に従ってフェリー乗り場へ・・・・・。



・・・・・平日なのにすごい渋滞だ!!!!




「終わった・・・・・・」


俺は小さくつぶやくとしばらく吸っていなかったタバコに手を伸ばした。

営業に連絡を取った。

「ごめん、間に合わんわ・・・」
「そうですか・・・・・わかりました。連絡とってまた連絡します」
「とりあえずフェリー乗り場まではいくわ」
「分かりました」



数分後、電話が鳴った。

「先方の社長が今高松に来ているので、引き取りにきてくれるそうです」











えっ?

しばらく走っていると、ぐんぐんガソリンのメーターが減っていく。

しまった、このままではガス欠だ。

次のPAで給油を・・・・・

ない。PAにガソリンスタンドがない。

「ぐふう」

何故か胃液を吐きそうになりながら、発狂寸前の頭で考えた。

「途中で降りるしかないな・・・・・」

意を決して白鳥インターを降りることにした。インターの近くにはガソスタがあって当たり前と思っていた。





・・・・・・・ない。ナンボ走っても見当たらない。

「きええええええ!!!」

イライラとおしっこを我慢しているため、既に奇声を発しながら走らないと正気を保てない状況に陥っていた。
そうこうする間にも到着予定時刻が10時30分になっていた・・・。

「あった!!!」

やっと見つけたSOLATOの看板は、俺に向かって微笑んでいるように見えた。

「いらっしゃいませ~」

店員が天使に見えた。

無事給油を済ませ、高速へ戻るがこのときすでに到着予定時刻が10時35分。

冷静に考えれば、目的地についてから、駐車場へ車を止める時間、フェリーの切符を買う時間などを考えればこの時点で間に合わないと気づくべきだった。

しかし今の俺には前に向かって走ることしか出来なかった。
かみさんに泣きついた。

「かあちゃん金くれ・・・・」

ローソンから電話して急いで振込みしてもらい、即引き出した。

「ガソリンは高速に乗ってからでも間に合うか・・・・」

一刻も早く出発したかったので、そう考え高速に乗った・・・・・。

その考えが大きな誤算となろうとは、そのときは思ってもみなかった・・・・・・。

高速艇の出発時刻が10時40分。
高速に乗った時点での到着予想時刻は10時20分。何とか間に合いそうだ!!!いや間に合うに違いない!!!

大音量で2/WORKERSのデモを聞きながら俺は車を飛ばした・・・・。