小豆島へ渡らなければならないとばかり思っていた俺は力が抜けた。
「いやいや、それならそうと言ってくれよ・・・・」
「そうですよねえ、私もそう思いました」
・・・・あかん、こいつKYやわ・・・・。
「どうすればいい?」
「フェリー乗り場へ来てくれるそうなので、荷物をわざとらしく持って待っていて下さい」
「わざとらしく・・・・・」
俺は段ボールの荷物をわざとらしく抱え、フェリー乗り場の入り口に立った。入り口には観光客であろう団体のおじちゃんおばちゃんがたむろしていた。その中でスーツで段ボールをわざとらしく抱え立つ俺・・・・。
社長ってどんな人やろ?酒屋の社長だからいかついオッサンやろうなあ。怒られるんかなあ。みんなのマエで怒られるんいややなあ・・・・。
15分ほど立っただろうか、横浜ナンバーの車が目の前に止まった。
ドアが空いて出てきたのは、上品な女性だった。
「すいません、遅くなりました」
「あ、いえいえ、この度は・・・・」
「荷物を!!」
「あ、はい」
「ありがとうございます。助かりました」
「あ、はあ」
拍子抜けした。同時に安堵感が一気に押し寄せてきた。
「うっ」その時、すっかり忘れていたあの感覚が俺の股間を直撃した。
「・・・・・オシッコ・・・・・」
(完)