「スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件」 山本ゆり | 映画物語(栄華物語のもじり)

映画物語(栄華物語のもじり)

「映画好き」ではない人間が綴る映画ブログ。
読書の方が好き。
満点は★5。
茶平工業製記念メダルの図鑑完成を目指す果てしなき旅路。

★★★★★

 わたくし、確かにキャラメルフラペチーノしか頼んだことがありません、という話。しかも「Tall」とかじゃなくて、「M」って頼んじゃうよね。

 

 「ユーチューバー」という言葉がすっかり定着した昨今。言葉の定着に相反して、「何をもってユーチューバーと呼ぶのか(あるいは呼べるのか)」ということが問題となっている(問題と呼ぶほど問題ではないが。隣の家の人の晩御飯が何かという程度の問題)。
 YouTubeの収益だけで生活をしていたらユーチューバーなのか、生活ができないまでも「副業」と呼べる程度には収益があがり動画編集機材もだんだん良くなっていくのが目に見えてわかり、チャンネル登録者数5万人以上(「銀の再生ボタン」がグーグルから貰える)くらいの人をそう呼ぶのか、あるいはYouTubeに動画投稿をしてさえいればユーチューバーなのか――
 最近よく話題に上るのが、小学生の「将来なりたいものランキング」でユーチューバーがランクインしたということである。で、それを嘆く世間の風潮があり、「子供が世の中をなめている。それもこれもユーチューバーなんていう胡散臭いものが生まれたからだ」と日本の将来を悲観する声がある。一方でネット界隈では「普通の職業よりよっぽど難しいんだ!」と、これは嘆く世間に対する反論なのか、はたまた気安くユーチューバーになりたいなどとうそぶく小学生に対する非難なのか、とにかく「ユーチューバーなめるな」の風が強い。確かに、日本のユーチューバーのトップに君臨し続ける「ヒカキン」は毎日動画を投稿しいて、ヒカキン自身がトップユーチューバーのそうした傾向を危険視して「毎日投稿をやめよう!」と呼びかける動画をアップしたことで話題になったことがある(「小説が書けない」という小説を書いた太宰治のようだ)。毎日投稿するということは、いわば一週間休みなく働いている――無休で働いているということに他ならない。そんな生活をずっと続けているヒカキンは、自身がインフルエンザに罹ったときも、「インフルエンザにかかりました」という動画をアップしたことでこれも話題となった。そこまで休めないものなのかユーチューバーは、という驚きが世間をざわつかせた。

 毎日、休みなく働いているというだけで、一労働者としてとてもすごいことである(それが良いことだとは思わないが)。つまり、ヒカキンは人より働き、人より努力をしていて、身を削るような毎日を送っているおかげで、現在の成功を維持しているのである。そんなすごい人に「憧れを抱くなんてけしからん」という話は、本来はちゃんちゃらおかしい話である。「ユーチューバーは楽して儲けている」という誤解をしているだけという話なのだ。
 また、最近ではだいぶ認識されるようになったが、「動画編集」というのは大変時間の掛かる作業である。10分程度の動画を5、6時間かけて編集するなんていうことはザラで、動画のネタとなるものを撮影する時間も含めれば、十分立派な労働時間となる。「ちょっと動画撮影してアップする」なんてことではこづかいも稼げない。「子供が世の中をなめている」という非難は、この辺のことを理解せず「お手軽」だと思っている人によるものか、真に理解しているからこそ「なめるな」と言っているのか、いまいち判然としない。
 真に理解されていたとしても「ユーチューバー」が不遇であるのは、例えば「野球をやっているから将来はプロ野球選手になりたい」と言っても全く非難されないのに、「動画が好きだからユーチューバーになりたい」はほぼ確実に非難されるということである。私の価値観でいえばプロ野球選手になりたいというのもなれる可能性を考えれば十分とんでもない発言であると思うのだが、その夢は、少なくても小さいうちはとりあえず応援されがちである。が、ユーチューバーへの夢は小さい時から全力で否定される。なめるなと言われ、そうした夢を持たせる世の風潮すら嘆かれてしまう。
 しかし、最初に述べたように、プロ野球選手と違って、「ユーチューバー」の定義は曖昧である。プロ野球選手はセパ12球団のうちのどれかに所属できなければ全くプロ野球選手とは名乗れないが(独立リーグ所属で胸を張ってプロを名乗っている人は見たことがない)、ユーチューバーになりたい! は「週一回投稿でチャンネル登録者数5万人※本業あり」みたいな感じでも、ユーチューバーとみなされる。この例では余裕でユーチューバーだろう。

 だから、小学生がもし「ユーチューバーになりたい」と言っていたら、それを聞いた大人は落ち着いてまずは「それはどの程度の割合で動画が生活に影響のあるユーチューバーの話ですか?」と訊いてみなければならない。もしかしたら「プロ野球選手になりたい」と比べて100倍くらいなりやすい&安定的なユーチューバーのことかもしれない。月2、3回投稿のチャンネル登録者数目指せ1万人、みたいな。←目標としてえらく現実的な数字。

 それぐらいなら認めてあげても良いじゃない。エロ系でなければ。トヨタ自動車本社への入社を目指すより500倍くらいハードルは低い(当社比)。

 で。
 「ユーチューバー」と似た職業(続柄?)に、「ブロガー」がある。「ブロガー」も、ブログの収益で生活している者を指すのか、ブログで収入を得てさえすれば良いのか、はたまたただブログを書いてさえいればよいのか――何をもって「ブロガー」と呼ぶのか。「ブロガー」という言葉がすっかり定着した今でも、非常に曖昧である。「名乗るのは自由」ならば、なんならブログを一切書いたことがなくても「ブロガー」と名乗ってもよいかもしれない(そうなのか?)。

 ブロガーもちょこちょこっと記事を書いて広告を貼り付ければアフィリエイトの収益がガンガン上がる、ということはほとんどなく、ほとんどの場合、夜間のパチンコ屋の清掃を2時間する方がよほど収入は高いし時間もかからないだろう。私は一つの記事を書くのに2、3時間はかかる上に、後述するが収入などゼロに近い。「思っているよりも手間ひまかかって割に合わない人の方が圧倒的に多い」という点では、ユーチューバーとブロガーは似ているといえる(ネットという点も)。自分の私生活の一部を切り売りするのは安易に金を稼ぐ手段に見えるのかもしれないが、普通の収入を得るよりよほど難しいといえる。

 ただ、ユーチューバーと違って、「将来はブロガーになりたい」という言葉は、あまり聞いたことがない(もちろんどこかにはいるかもしれないが)。「ブログのアフィリエイト収益で何もしなくてもウッハウハ」みたいな広告・宣伝が世に溢れかえっているのに、その「おいしい話」に飛びつく小学生というのは聞いたことも見たこともない。ブロガーはあこがれの職業ではないのである。

 この違いは何なのか。

 「映像」か否かである。「映像」というコンテンツがもつ魅力は、いつの時代も圧倒的なのではなかろうか。

 小学生の「ユーチューバーになりたい」は、「世に出たい」「有名になりたい」という願望の現れでしかないのである。大人がやいのやいの収益の面を議論したり諭したりするのはまったくの蛇足で、「女優になりたい」みたいな昔から存在する願望の延長上のものなのではないだろうか。そういう意味では、いくら稼げるかより、知名度をあげられるかどうかという話の方がまだ小学生の胸には響くことだろう。AKBグループのみなさんだってその大半は涙の出るような薄給で(あるいは無給で)頑張っているのに、それでもなりたいという人が後を絶たないのだから。

 かたやブロガーは、稼いでいても小学生があこがれを抱くような形では世に出ない。非常に地味~な存在である。

 で、何が言いたかったかというと、私はブログを書いてはいるがブロガーなのか? というどうでもいい話ね、これ。前振りが長すぎて書いている私が本題に入れないかと危惧したぐらいである。

 とりあえず、このブログを書いていて収入はまったくといって良いほどない。かれこれ6年以上書いているが、今までにブログを書くことによって得た収入はせいぜいAmazonポイント300円分くらいである(実話)。というか、アフィリエイト目的であるならば、アメブロは全く選択肢に入らないだろう。SEOにも超弱いし。芸能人・有名人でもない限り、アフィリエイターは自分でレンタルサーバを借りてWordPressで書くべきである。

 ではなぜ巷でいろいろと文句の多いアメブロなんかで執筆するかといえば、ただ一つだからである。アメブロのエディターは本当に使いやすい。私の感覚としては「windowsよりもMacの方が好き」「AndroidよりもiPhoneが好き」という人はアメブロがぴったりであると思う。一言でいえば、「できることは少ないけど簡単」である。AMPが崩壊しがちだけど

 で、全く収入に結びつかないブログサービスで全然読まれないブログをなぜ書き続けているかというと、文章を書くのが好きだからという他ない(これを「人生でやることがない」ともいう)。好きなことを好きなように好きで書いているだけなので、この記事のようにいつまでたっても本の内容にたどり着かない文章を垂れ流すハメになるのである。つまりそれは、「期待に添えない文章」だということである。仮に、本著のタイトルでグーグル先生で検索をしてすこぶる運悪くこのブログに行き着いた方がいるとしたら、本当に不幸なことだろう。ここまで読んでも、いまだ本著の内容に関係ないのだから。そして、恐らく笑いもないことだろう。これは本当に不幸なことである。ネット記事において、「タメになる」か「笑える」か、そのどちらもない記事を読むというのは写経に等しい苦行であるといえる。

 その点、本著の作者が書くブログ記事を元に編集した本著は、笑いの塊であるといえる。ブログを書き続けて7年目「そうか、ブログというのはこのように書くものなのか!?」と開眼にも似た気持ちであった。

 作者の肩書きは「料理コラムニスト」というものだそうなのだが、料理の話でなくてもとにかく面白い。文章が面白い。「面白いことを書くのではなく、面白く書く」を実践している。

 面白くなくても一応毎日のように文章を書いている身なので僭越ながら述べさせていただきたいのだが、「笑いのある文章」というのは意識しなければ書けないものである。気の向くままにさらさら書いているだけでは、もしかしたら「興味深い文章」は書けるかもしれないが、笑いのある文章はなかなか書けないものである。「笑い」という要素はそれだけ余計な労力を必要とするものであり、平たく言えば、疲れているとなかなか書けない。「笑い」は、面白い人がただ書けば自然と生まれるというものではなく、笑わせたいという気持ちから生まれるものなのである。たぶん。よく知らんけど(唐突な無責任さ)。

 作者はとても熱心に文章と向き合っているといえる。本業ではないのに。料理も文章もうまいのは、どちらも手間ひま掛けているからだろう(うまいことを言ったつもり)。何が言いたいかというと、作者の肩書きは「料理コラムニスト」ではあるが、多くの人を惹きつけるブログを書くという点で「ブロガー」であると考えているということである。

 つまり、「何を以てユーチューバーと呼ぶのか(何を以てブロガーと呼ぶのか)問題」の私なりの結論としては、面白いかどうかであると考える。その動画が面白くなければユーチューバーではないし、そのブログが面白くなければブロガーではないのである。収入云々というよりも、表現したものが人から認められるものであるか否かにその肩書きを名乗る資格が左右されるのではなかろうか。そのように考えると、私はブロガーではないということになる。別に自分を卑下しているわけではなくて、日々のアクセス解析結果からそう判断するのである。そして何より私はブロガーと名乗りたいと常々思っているので、そこに謙遜はない。1ミリもない。SEOの勉強も多少なりともしてアクセス数アップを日々目指している野心家でもある。しかしながら、アクセス数アップは全くといって良いほどしない。だってSEO対策ってめんどいんだもん。「人から求められていることを記事にしましょう」とかって全然書いてて楽しくないじゃん、とアフィリエイターとは根本的にブログを書く動機が違い、SEO対策はちょっと断念している。

 「役立つ情報」ではなく「文章の面白さ」で読者を惹きつける作者には本当に尊敬を惜しまない(もちろん役立つ料理の情報も載っているけど)。目の付け所も面白いし、言葉のチョイス、ツッコミ、そして決して攻撃的にならないような配慮が、文章としてとてもレベルの高いものにしている。だから読んでいてい笑いが起こるのである。

 これが「読み手を意識した文章」というものだろう。

 本当に面白い。「ブログで無料で読めるのに、わざわざお金を出して本で読む必要があるのか?」という問いに、「ある」と即答できるほど面白い。一冊の本として、とても面白い。

 夏休みの読書感想文なども、こういう本で書かせれば良いのにね〜読書感想文の定番「自分の体験と重ね合わせて」という要求にものせやすいだろうし。しかし、学校の先生ーー特に国語の先生に、こうした本をチョイスするセンスというかユーモアがある人が少ないのが現実であるので、難しい。そもそも国語の先生で読書感想文の賞を獲ったことがあるという人に出会ったことがない。もちろん中にはいるんでしょうがね〜。「賞を獲らせたことがある」という自慢をする人は腐るほど会ったことがあるが、それはあなたがすごいんじゃなくて賞を獲ったその生徒がすごいんじゃないの? と毎回思う。別にあなたが担当しなくたって賞を獲れたんじゃないの、と。

 そういった方々が指導と称することをして、あまつさえ審査までするのだから(支部予選は特に基準なくテキトーに集められた学校の先生たちで行う)、なかなか歪んだ賞レースであるといえる。国語の先生が目くじら立てて指摘するのはいつだって原稿用紙の使い方(カギカッコの位置だとか)や細かい言葉の使い方などで、ユーモアとか笑いとか、人を惹きつける魅力ある文章にするのに必要なことは何も教えてくれないものである(大抵「読み手を意識して!」というアンニュイな指導で終わる。わからないからだろうけど)。その辺のことについてはまたいずれ書くかもしれないし、書かないかもしれない。

 だらだら書くブログなので最後まで脱線しまくったが、要するに笑いたきゃ読め! というブログ本でおすすめということである。ちゃんちゃん。

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