シンデレラⅢ 戻された時計の針 | 映画物語(栄華物語のもじり)

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「映画好き」ではない人間が綴る映画ブログ。
読書の方が好き。
満点は★5。
茶平工業製記念メダルの図鑑完成を目指す果てしなき旅路。




★★★★☆

 パン屋の主人はどこいった? という話。



 これは非常にオススメである。★5つでも良いくらいであるが、『Ⅰ』と『Ⅱ』があっての本作なので、このような評価に留めておいた。

 話としては、シンデレラの結婚は魔法使いによって成されたものだと知った義姉アナスタシアが魔法使いの杖を奪い母親に報告したら、母親が魔法でガラスの靴を試し履きする日まで時間を巻き戻し、ガラスの靴を義姉アナスタシアの足にぴったり合うように魔法で大きさを変える、というような話である。

 魔法って、魔法使いじゃなくても魔法の杖さえあれば特にペナルティもなく誰でも使えるのね~ということにびっくりなのだが、それ以上にびっくりなのが継母の極悪非道ぶりである。かつて『眠れる森の美女』(「眠れる」の「る」って存続の助動詞「り」の連体形だねー「眠れ」がラ行四段活用已然形で。初めて気づいた。というどうでもよい挿話)のマレフィセントが「悪の力を受けてみよ~」と自らを悪と称する潔さに感動したものだが、かのマレフィセント嬢に勝るとも劣らない見事な極悪非道ぶりであった。魔法の杖はすぐに義姉アナスタシアから継母の手に渡るのだが、この継母は魔法を悪いことに使うのに何らためらいがない。最終的にはその悪の手を実の娘にまで伸ばすのだから、こうなると「シンデレラの実父はなぜこんな女と再婚したのか」という根本的な疑問が湧き上がる。いくらなんでも人を見る目がなさすぎである。逆に、ここまで極悪非道な女を見つけ出してきたことがすごいともいえる。だって、目的達成のためなら、最終的には実娘のアナスタシアをシンデレラの姿に変えるんだよ? そしてそのアナスタシアを「この親不孝物がっ!」といてまおうとするんだよ!? 私はこの継母に「最凶」の勲章を贈りたい。実に天晴れな悪役ぶりであった。このお方が2度結婚できて、私が1度も結婚できないのはなぜなのだろう(唐突な自爆)。

 このように、本作は各キャラの成長が著しい。シンデレラのしたたかさは美しくレベルアップされ「王子様に直に会えば全てが解決するわ」というみなぎる自信へと繋がっていた。そして、使用人に変装してお城や継母の部屋に忍び込んだり王子様に猛烈アタックをしたり、とにかく逞しい。私はやはりシンデレラのしたたかさが好きである。継母の連れ子二人はより一層愚かさに磨きがかかり、王宮でケーキやパイを投げ合って罵りあう姿は「愚鈍」の二文字ではとても片付けられない悲壮さすら帯びていた。王子様はかつてないほどの大活躍を見せ、おとぼけ具合と爽やか具合が100倍になり、非常にキャラが立っていた。ついでにダサさも100倍になり、どう見ても赤いジャージのズボンに白いポロシャツをインしんているという昨今の体育教師でもしないような格好で縦横無尽に飛び回っていた。王様はお馬鹿なのとお優しいのを足して2で割ったようなキャラで、愛くるしい人柄ではあるが治世を任せるのは少しいただけないような存在であった。そして「最凶」の継母の最大の過ちは、全てを過去に戻したり娘を別人に変えたりする力を手に入れならが、「王子様と娘を結婚させる」ということに固執してしまったことであろう。そこまでの力ならば、単純に「私をこの世の王にしろ~ビビディバビディブゥ」と唱えれば全てが済んだ話ではないかとごく初期から思っていた次第。しかしそれは、「魔法使いのおばあさんが凄いんじゃなくてその魔法の杖が凄かったのね」というツッコミくらいやってはいけない指摘なのである。

 『2』で登場した継母の連れ子アナスタシアの想い人であるパン屋の主人は、おまけのようにエンドロールにちょこっと登場する。この二人をシンデレラがくっつける話は、時系列的にいつの話なんだろうね~



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