1回の講義で全範囲が終わって歯科医師国試で7割がとれるエンドの講義「歯性Per感染症(炎症)」 | 天上界 Great Materia University 総合医学部 総合医学科学科 医師養成コース(※歯科医師も併合)

これは口腔外科で書いた講義だが、前段階又は併発して密接に関連している歯内炎症についての診断(分類)・治療法の講義も途中でしたら、エンドの全範囲が終わったので、過去問で練習問題もつけているし、予備校に行ってもこんないい講義はなかったし、1回1回の講義が冬期講習の1~2週間分の講義(10万円くらい)を遥かに超えているので、コピーしたやつをエンドのテーマに収録するために、もう1回コピーして掲載する。歯科医にとっては一生携帯していく大事な情報なので繰り返し演習して忘れないようにすればいい。

ポイントは検査で生活歯髄→一部性なら生切、全部性なら抜髄、急性の場合も慢性の場合も。

検査で失活歯髄→全部「感染根幹治療」。これは外科の創傷治療でうるさく教えて習慣化した、「洗浄」→「消毒」→「抗菌薬投与」(急性症状時)のガイドラインと一緒で、これは口外の炎症でもそうだから、上顎洞炎も同じだし、骨髄炎もこの応用だから、蜂窩織炎だったら軟組織だから切開排膿も来るが、原理(目指す目標)は一緒だから、それぞれのケースにおいてちょっとしたモディファイが入るだけで、そこまで細かく考えて覚えなくても状況によって当たり前の処理ができるから、この「洗浄」→「消毒」→「抗菌薬投与」(急性症状時)の外科の不滅のガイドラインを覚えておけば、全症例に対処できる。未知なる病変でも全部これでいい。「異物除去」→「洗浄・消毒・抗菌」この考え方は、全部異物を排除して、ホメオスタシスを維持する考え方で、免疫細胞がいつもやってることだから、科学が発展していってこれをミクロで応用しても、やってることは全部一緒で外科の考え方だから、俺は医学全般をシンプルな外科を通じて体系を実践医学に書き換えてやった必読の書だ。時代と共に変わらない医学を書いてやりたかったし、それでいて今後の時代の医師・歯科医師国家試験でも同じ内容で8割とれるようにしてやった。これがコアだから、あとは過去問をやって、直前問題を予備校から獲得して演習するだけで自習でいつの時代のどこの国の医師国試でも合格できるから。大事なことは最後まであきらめないこと。滑ったら来年も再来年も何回も受けたらいいだけで、諦めたら負けだし、諦めなかったら絶対不合格にはなってないから、そういう意味で合格率100%にする奇跡の講義。この講義の凄さは何万年も経ってからわかるぞ。ずっと使ってるもんな。バイブルとして。アップデートの医学世界においていつまでも俺の理論体系で医学を使っていってるからな。1回の講義で炎症総論も各論も重要なことからあらかた教えてやったから(ここまでの著:神YHVH ここからは大天使ミカエルの講義)。

 

「口腔外科学-歯性感染症(炎症)とその治療法」

医師も口腔外科の治療はできるので、進んで口腔外科の診断・治療ができることは医師の責任である。
しかし、医学部において十分な口腔外科学教育がなされていないことを残念に思い
俺が講義録をここに残しておく。


疾病を観察し、
その本質をつかむには原理を捉えることが必要であり、
その特徴(解剖学・生理学と比較した正常との違い)が鑑別診断のポイントとなっており、
その病因(病理学的原因)を除去することが(根治的)治療法となっている。
これに汚染部を除去する外科の技術は密接に関連している。
むろん、治療法確立には薬理学・生化学も機能していることは踏まえなければならない。

この原点に立ち返り
俺の講義では、解剖・生理・病理・薬理・外科に重点を置いた
コアカリキュラムで本質的医学の講義をしていく。

さて、ここまでをさらいした上で、
本日の講義テーマを
病理学的見地から見ると
感染が起きれば
生体はそれを知らせるために
炎症を起こす。

では、
何を見て炎症と捉えればよいのか。

ここでテスト問題を解くキーワードが登場する。
・CRP上昇
・白血球数の増加→核の左方移動(幼弱白血球の増加)
・ESR(赤沈)亢進

ESRが亢進する理由は
丸暗記に頼らず、なぜなのかと考えてほしいが
炎症が起きると、異物排除のために、免疫を担当するγグロブリンが血中に増加する。
そして、炎症によって血管壁が破壊されると血管壁を修復するためにフィブリノーゲンが血中に増加する。
グロブリンは異物排除を促進するため異物と結合する。この分、血液はスカスカになるといっていい。
フィブリノーゲンも結合する作用があるが、これはのりのようなものであり、赤血球同士も結合し、スカスカの血中の中を赤血球が落ちていくスピードが亢進するということになる。
よって、炎症下においては、赤沈が亢進するというデータが見られる。

これを以下の各状態で同じように適用できるかを考えると
この考え方によれば恐らくこうなのだろうと推理ができる。

     血中γグロブリン   血中フィブリノーゲン 血中赤血球    ESR
炎症   増加         増加         少し減少に見える 亢進
貧血   フラット       フラット       減少       亢進
自己免疫疾患 増加       増加         減少       亢進
妊娠   増加         増加         低下       亢進
多血症  フラット       フラット       増加       遅延
低ガンマグロブリン血症 低下  フラット       フラット     遅延
DIC    低下          低下         低下       遅延

ここまでであまり覚えなくても問題が解けそうだということが分かる。

・抗菌薬の選択

では、歯科口腔外科においては、炎症の原因を感染と同定した場合、
この原因を除去するために、どのような抗菌薬を選択するのかという論点において
選択のルールが存在する。

まず、細菌感染であることは投薬において必要になるが、二次感染の予防のためにも投薬はする。
だが、歯性感染症においては、多くが細菌であることに留意して、
例えば、う蝕の原因菌が血中に運ばれて熱が出るとか、歯周病から熱が出るとか、そういったものが典型だが、
この全身症状を見た口腔外科医は
抗菌薬の選択順序として、
生体に及ぼす侵襲の順番に
1.ペニシリン系
2.セフェム系
3.マクロライド系
4.ニューキノロン系
と選択していくセオリーに従っている。

これは医の倫理として、
患者のベネフィットを考えているためである。

1と2は、βラクタム系という
同じグループの抗菌薬である。

ここで、問題を解くときのコツとしては
禁忌を踏まないという防御から固めていくことである。

①薬物アレルギー(薬疹)に注意
「ペニシリンにアレルギーがある」という問題文の記載を見た場合、
同じグループである「セフェム系」も選択から外すことである。

②併用禁忌
そして、もう1つは、ニューキノロン系の抗菌薬には、
非ステロイド鎮痛剤の併用が禁忌となっている(痙攣発作が起きる)ことに注意したい。
この理由としては、
・GABA受容体の阻害
ニューキノロン系は、
中枢の神経伝達物質の1つガンマ-アミノ酪酸(GABA)の受容体への結合を阻害する。
これによって、中枢神経の興奮を増大させ(中枢神経は興奮状態になる)痙攣発作を起こしやすい状態になる。
これへの薬理学的相乗作用(シナジー効果)として
・NSAIDsの影響
NSAIDsは炎症を抑制するために使用される薬剤で、プロスタグランジン合成酵素(COX)を阻害する。
COXはプロスタグランジンの合成に関与しており、プロスタグランジンは中枢神経系でGABAの放出を促進する役割を果たしている。
NSAIDsの使用により、GABAの放出が減少し、GABA受容体の阻害作用が増強され、痙攣の発生閾値が低下する。
この相乗作用(シナジー効果)によって、
痙攣発作が起きることが報告されているため、
併用は禁忌として考えるべきであるが、
患者は他院で処方されている場合があるので、結果的に、併用になっている場合にも注意をして、問診を怠らないように医師として注意したい。

この論点は、医師国家試験や薬剤師国家試験で「禁忌肢」問題に設定されているものであるため
こういった論点からも作問される可能性がある。

③感染症時の投薬にステロイドは禁忌になる。

ステロイドは免疫抑制作用があるため、
感染症時の投薬には従来より禁忌となっている。

では、薬物からステロイドを見抜くポイントは、どこにあるかというと
命名規則として、ステロイド系は禁忌として危険なものであるため、ステロイドだと分かるように
語尾に「one」がついているため、
日本語だと「ゾロン」や「ノロン」となっている。
よって、「~オン」という発音を見れば、ステロイドを疑えばよい。

例:「コルチゾン(cortisone)」「デキサメタゾン (Dexamethasone) 」「アフタゾロン(Aphthazolone)」「プレドニゾロン (Prednisolone)」「トリアムシノロン(Triamcinolone)」
「アルフルタゾン (Alclometasone)」「ヒドロコルチゾン (Hydrocortisone)」「フルオシノロン (Fluocinolone)」

なぜ、ステロイド系薬剤の語尾に「-one」をつけるようになったかというと、
その構造に共通した特性を持っているためだ。
ステロイド骨格=3つのイス型六員環+1つの五員環
という1つの構造を示すためである。
よって、これらの薬剤のぶるーぷは「-one」で終わるようになったのである。

このステロイド骨格は、脂溶性(疎水性)を示すことにも注意は必要である(→薬物の蓄積)。
しかし、C-3位がヒドロキシル化されたり、カルボニル基となったステロール類やステロイドホルモンは水溶性となる。

付言することは
こういったものは、特定の場面(例:熱傷や末期がんの悪液質による炎症や湿疹などの炎症、膠原病、関節リウマチ、肺炎、気管支喘息などのアレルギーや臓器移植後など免疫を抑える必要のある疾患、ステロイドショックの予防、原因不明時)で使う薬剤であり、
それ以外においては禁忌になりやすいため注意する。

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では、ここまでの理解と知識で
実際の国家試験問題がどれだけ解けるのか
確認してみよう。

歯科医師
84C-37
25歳の男性。下顎右側大臼歯部の深在性激痛と悪寒戦慄を伴う間欠性高熱とを主訴として来院した。
下顎右側87は、深在性う蝕で下顎右側8-4の著名な打診通と右側オトガイ部の知覚異常とを認め、
右側顎下リンパ節の腫脹と圧痛を認める。
予想される検査結果はどれか。

(1)核右方移動
(2)白血球の減少
(3)赤沈の亢進
(4)CRPの上昇
(5)BUNの上昇

a (1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5)


解説
「高熱」と「リンパ節腫脹」から感染症を疑う。
よって、3・4が〇になる。

よって、答えはd。

1は幼弱白血球の増加は「左」方移動になるから×。
2は白血球は「増」加するから×。


歯科医師国家試験問題
92E34
55歳の男性。左側咽頭部の疼痛を主訴として来院した。
3日前に上顎左側大臼歯部の疼痛を自覚したが放置していた。
1日前には左側咽頭部まで疼痛が拡大し、嚥下痛も生じたという。
初診時に同部に結節を触れたが、中心部には軽度の波動を触れ、圧痛を認めた。
体温37.5℃。左側顎下リンパ節は母指頭大で可動性で圧痛を認めた。
上顎左側6には打診痛を認め、動揺度は2度であった。
初診時の顔貌写真、口腔内写真およびエックス線写真を別に示す。
病状の診断に重要な検査項目はどれか。2つ選べ。

a 赤血球
b 白血球
c 出血時間
d C反応性タンパク
e ベンス・ジョーンズ蛋白(Bence Jones protein)


解説
この問題文は急性炎症が疑われる場合であるから
講義した通り
dbが〇になる。

ベンス・ジョーンズ蛋白(Bence Jones protein)は、尿中に含まれる分子量22-24 kDaのモノクローナルな免疫グロブリン軽鎖を指す。このタンパク質は、多発性骨髄腫などの腫瘍性形質細胞によって産生される。
ベンス・ジョーンズ蛋白は、尿検査で陰性なら正常とされているが、異常な構造の免疫グロブリンであるため、腫瘍性疾患の診断に有用。

検査方法として、以下の方法がある。
免疫電気泳動法(IEP): 尿を濃縮した後に、蛋白質を分離させて判定。
免疫固定電気泳動法: 原液を用いて、蛋白質を分離させて判定。IEPよりも高感度。
毛細管電気泳動法: 抗κ(カッパ)またはλ(ラムダ)抗体を添付して、蛋白質を分離させて判定。

ベンス・ジョーンズ蛋白を認める疾患には、多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、悪性リンパ腫などが含まれる。
ただし、ベンス・ジョーンズ蛋白が検出されたからといって、他の疾患でも検出されることがあるため、必ずしも腫瘍性疾患があるといえるわけではない。
また、感度と特異度は限られているため、ベンス・ジョーンズ蛋白が陽性である場合、腫瘍性疾患がある可能性が高いが、陰性であっても腫瘍性疾患が完全に除外されるわけではない。

病態を把握する上で重要な検査であり、臨床的な意義は今も研究されている。

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ちなみに感度と特異度とは

内科専門医の試験でもこの前出題されていたが、
感度と特異度とは、疫学や公衆衛生学の分野で使用される指標だ。
感度と特異度は、検査の性能を評価し、疾患の診断やスクリーニングにおける信頼性を判断するため重要だ。

感度(Sensitivity):
感度は、疾患が存在する場合に正しく陽性と判定される割合を示す。つまり、疾患がある患者のうち、どれだけの割合が検査で陽性と判定されるかを示す。

数式で表すと、感度は以下:
感度=真陽性+偽陰性真陽性​

真陽性は疾患が存在する患者で正しく陽性と判定された数、偽陰性は疾患が存在する患者で誤って陰性と判定された数。

特異度(Specificity):
特異度は、疾患が存在しない場合に正しく陰性と判定される割合を示す。つまり、疾患がない患者のうち、どれだけの割合が検査で陰性と判定されるかを示す。

数式で表すと、特異度は以下のようになる:
特異度=真陰性+偽陽性真陰性​

真陰性は疾患が存在しない患者で正しく陰性と判定された数、偽陽性は疾患が存在しない患者で誤って陽性と判定された数。

感度と特異度は、検査の信頼性や有用性を評価する指標として重要だ。感度が高いほど、疾患を見逃すリスクが低くなる。一方で、特異度が高いほど、偽陽性のリスクが低くなる。

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歯科医師国家試験 過去問題
82B31

妊娠6か月の女性。5日前から顎下部に疼痛と腫脹を生じ、症状は次第に激化。
口底全域にわたりびまん性の腫脹と発赤が広がり、顎下痛と開口障害も伴っている。
体温は38℃、白血球数9000/mm3、軽度の核左方移動を認める。
穿刺により得た膿から化膿性レンサ球菌を証明した。
第一選択抗生物質として適切なのはどれか。

a テトラサイクリン
b アミノグリコシド系
c クロラムフェニコール系
d マクロライド系
e ポリぺプタイド系


解説
上述の講義の通り、侵襲の順に
1.ペニシリン系
2.セフェム系
3.マクロライド系
4.ニューキノロン系
の順に選択していく。

選択肢の中からでは、3のマクロライドがこれにあたるため、
選択肢の中から第一選択薬を選べという問題にも読めるから
dが答えになる。

マクロライドは細菌の増殖を阻害する抗生物質であり、化膿性レンサ球菌に対して効果的だ。
1・2(βラクタム系)も有効であるが、選択肢の中からは、dというのが、この試験の出題の傾向と解き方なのだ。

歯科医師
83D-35
49歳の男性。右側頬部腫脹および開口障害を主訴として来院した。
約6週間前から右側頬部に軽度の腫脹を伴う硬い板状の腫脹に気づいた。
約2週間前から疼痛は消失したが開口障害が出現した。
顔貌写真および最大開口時の写真を別に示す。
本症例の治療に用いられる適切な抗生物質はどれか。

1 アンピシリン
2 カルベニシリン
3 リファンピシン
4 セファレキシン
5 セファクロール

a 1・2・3
b 1・2・5
c 1・4・5
d 2・3・4
e 3・4・5


解説
1・4・5のcが答えになる。
ペニシリンの「リン」がついている1・2
セフ・セフの4・5から選べばいい。

緑膿菌感染症のときに使うが、他には問題が多い抗菌薬
コリスチン
カルベンシリン
ゲンタマイシン

コリスチン (Colistin):
コリスチンはグラム陰性菌に対して効果的だが、他の抗菌薬が無効である場合に使用される。第一選択薬ではない。
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)などの多剤耐性菌に対して有効だ。
ただし、腎毒性や神経毒性のリスクがあるため、使用には慎重を要す。第一選択薬ではない。

カルベンシリン (Carbenicillin):
カルベンシリンはペニシリン系の抗菌薬で、緑膿菌に対して効果的ではあるが、
多くの緑膿菌がβラクタマーゼを産生するため、耐性が問題となり、回答の優先度からいって低くなってくる。

ゲンタマイシン (Gentamicin):
ゲンタマイシンはアミノグリコシド系の抗菌薬で、広範な細菌に対して効果がある。
緑膿菌にも有効であり、感受性が確認されている場合に使用される。

緑膿菌感染時に使う抗生物質として
「緑の木陰(コカゲ)」という語呂合わせがある。
コリスチン
カルベンシリン
ゲンタマイシン
は通常は選択薬から外した方が安全だが、
緑膿菌の場合は、第一選択薬になる確率が高い。


歯科医師
83C-38
30歳の女性。下顎左側智歯周囲に発赤、腫脹、疼痛があり、体温37.1℃で開口障害がある。
ペニシリンにより薬疹が出現したことがある。
適切な抗菌剤はどれか。

1 βラクタム系
2 マクロライド系
3 ピリドンカルボン酸系
4 クロラムフェニコール系
5 アミノグリコシド系

a 1・2
b 1・5
c 2・3
d 3・4
e 4・5


解説
講義で教えたチャートの通りに解いていく。
まず、禁忌から除外していく守りの作戦により
「ペニシリンにより薬疹が出現した」
とあるから、1は禁忌になる。

次に、他の禁忌には抵触しなさそうだから、
3.マクロライド系(選択肢2)
4.ニューキノロン系(選択肢3)
の順に選択していく。

よって、答えはc。


ここでニューキノロン系の論点を追加すると
ニューキノロン系抗菌薬は、ピリドンカルボン酸と呼ばれる基本構造を持つ抗菌剤なのだ。

薬物名の接尾辞として、ニューキノロン系抗菌薬の薬物名「-サシン」に注目するといい。

例:
ノルフロキサシン(商品名:バクシダール)
オフロキサシン(商品名:タリビッド)
シプロフロキサシン
エノキサシン(商品名:フルマーク)

併用薬に注意するものとしては、ニューキノロン系抗菌薬は、金属製剤と併用すると吸収が阻害される可能性があるため、併用には注意が必要になる。


このように同じルールで禁忌を外していき
同じルールで選択していく問題が頻出である。
例:87B49
84C52
86D44
90B33
96D36等
余裕があれば書いていってもいいが、時間と紙幅は有限なので、今回は問題番号例を掲載しておく。

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口腔外科で頻出の疾患は
炎症・感染症(嚢胞・ウイルス性疾患)
腫瘍・皮膚粘膜疾患(鑑別は病理学で、皮膚科との関連性が高い)
血液疾患(出血性素因)
外傷(創傷・骨折)
奇形(唇顎口蓋裂)
顎変形症(手術法)
といった大きなカテゴリーがある。

外傷は緊急性が高いため、
救急科と同時に講義をした。
歯学生にとっては麻酔科の講義にもなったろう。

ウイルス性疾患は、ヘルパンギーナや水痘・帯状疱疹等を扱うため、
その診断や治療は医師と変わらないものである。
皮膚粘膜疾患は、皮膚科アトラスに出てくる疾患から頚部から上の範囲で出てくる
頭頚部顎顔面口腔領域についての重複範囲となっている。
このように、医学の一分野としての要素が強く、外科の一分野となっているものが口腔外科学である。

ここで講義する内容は、大学4~6年で講義している口腔外科学の内容と
同一であることを事前に伝えておく。

今回の講義では、
細菌感染で起きた歯科の炎症は、どのように波及していくのかを追っていく。

歯性感染症というカテゴリーは、う蝕と歯周病という二大分野からの感染症の波及のことをいう。
口内の雑菌は非常に多いため、広域スペクトルの抗菌薬を用い、
かつ侵襲の低い1→2→3→4の順で抗菌薬を選択していく手順法があったから、前回の講義で復習しておきたい。

では、歯性感染症とは、
どのようなルートで波及していくのか。
医師とは、病魔との戦いであるから、
その疾病を起こしている原因菌が用いる戦略を予め把握しておくことが事後予測に必須であるが
その進行ルートを4つ押さえる必要がある。

1.上顎洞(炎)
2.顎骨骨髄(炎)
3.顎骨周囲軟組織(炎)…智歯周囲炎などから、組織隙などの軟組織に波及して起こる
4.菌血症、敗血症

これらの論点が試験でも多く問われるものである。

1.歯性上顎洞炎の処置のルール

上顎の大臼歯は上顎洞に近いため、
大臼歯部に起きている細菌感染が、上顎洞に波及しやすい。
そこで、医師としては、鑑別と治療が必要になるが、
問題発生時は、焦っていて、頭脳が適切に判断・対処することにミスが生じやすい。焦りから来る動揺は間違いに誘因することが多い。よって、
予め定めておいた信頼できるガイドラインに従って、処理していく必要性が高い。

しかし、学説間には争いがあるため、
何を基準にして判断すればよいかは混迷している。
そこで、一定の基準として、ここで書いていく内容は、
大学教授達が考えてきた国家試験の解き方の共通ルールを
浮き彫りにするものである。

歯性上顎洞炎が疑われるときは、
まず、抜歯窩の穿孔を見てほしい。

a.穿孔径が5mm未満かつ排膿なしであれば、感染は無いと考え、
ガーゼによる圧迫またはスポンゼル、オキシセルを挿入し、自然閉鎖を待つ。

b.5mm以上又は排膿があるのであれば、細菌感染が疑われるため、創傷治療で習った通り、洗浄・消毒が必要になる。
具体的には次の順序になる。

①細菌検査…薬剤を選択するために、まず行う手順となる場合が多い。
②次に菌を排除するために、
 (a)投薬(抗菌薬)
 (b)洗浄
 (c)ドレナージ(排膿)…この時注意すべき選択肢は、排膿のために上顎洞に切開をするはずがないから、「切開・排膿」という選択肢については×になるということである。抜歯窩があるのであるからドレナージ(排膿)は抜歯窩から行うを優先するが、難しい場合は近年は鼻内から内視鏡下で行うことも多い。
③保護床を装着し改善を待つ
④症状の改善後、瘻孔閉鎖術
⑤それでも問題が改善しない場合、上顎洞根治術
                 ・Caldwell-Luc法
                 ・和辻-Denker法

Caldwell-Luc法:この手術では、上顎の歯肉移行部に横切開を加え、犬歯窩を開削する。その開窓部から洞内の病的粘膜を除去し、中鼻道と下鼻道への交通路(対孔)を形成する。

和辻-Denker法:Caldwell-Luc法とほぼ同様だが、対孔形成時に梨状口縁の骨壁を切除する手法。

これらの手術は、上顎洞炎の治療に用いられるが、術後5~10年後に術後性上顎嚢胞という病気が起きることがあるため、最近は以前ほど頻繁には行われていない。


では、どういう問題が解けるようになるのか、
過去問題で試してみよ。

歯科医師
91D54
25歳の男性。歯冠崩壊が高度のため上顎右側6を抜歯した。
その際、同歯の口蓋根の抜歯窩底面に
直径約2mmの小孔を認め、含嗽させると液体が鼻腔から流出した。
適切な処置はどれか。

a 上顎洞根治術
b 口腔・上顎洞瘻孔閉鎖術
c 嚢胞摘出術
d ガーゼによる圧迫
e 上顎洞洗浄療法


解説
上述したフローチャートの通りに
選択肢を選んでいけばよい。

すると「直径2mm」とあり
「液体が流出」したと書いてあっても、膿汁とは書いておらず、2mmの小孔だから恐らく出たものは消毒薬のことなのだろうから、
まずはガーゼによる圧迫という
軽微な処置が適切となる。

いきなり上顎洞根治術というのは、禁忌にも該当するだろう。eは×。
上顎洞洗浄もこの場合では早すぎる。洗浄はいい線だとは思うがeも×。ガーゼ圧迫に勝るものではない。


歯科医師
88B53
上顎第一大臼歯を抜歯したところ上顎洞へ穿孔し、排膿を認めた。
まず行うべき処置はどれか。

1 穿孔部の閉鎖術
2 上顎洞根治術
3 穿孔部にオキシセルを挿入
4 抗生物質の投与
5 穿孔部からのドレナージ

a 1・2
b 1・5
c 2・3
d 3・4
e 4・5

解説
最近の子らを観察していると
親もいい加減だし、甘やかされて育ったために、何事もどう処置していいかが分からない子らが多い。
そういう子らの私生活は乱れていて、問題に満ち溢れている。問題が発生したとき、対処ができない。
ここで教えている医学は、
人類の最高峰ともいえる秀逸な知者(大学教授・医学博士・歯学博士・医師・歯科医師ら)の功績の積み重ねによって構築されてきた
原因特定(調査)→治療法考察(戦略思考)→治療(注意・確認)
といった人類普遍の問題対処の流れになるので、
是非医学を通じて、自らの生活の問題点発見とそれらの律しに活かしてほしい。

上顎6番を抜歯して、穿孔を認め、
「排膿」しているということであるから、
上記のチャートに従って、
・抗菌薬(肢4)
・洗浄
・ドレナージ(肢5)
ということになる。

よって、eが答えになる。


歯科医師
84C48
35歳の男性。慢性根尖性歯周炎の診断で上顎左側6を抜歯したところ抜歯窩から上顎洞内に多量の膿汁を排出した。
最初の処置で適切なのはどれか。

a 歯肉頬移行部の切開
b 穿孔閉鎖手術
c 上顎洞根治術
d 上顎洞内の洗浄
e 上顎洞内の生検


解説
「多量」の「膿汁」を排出したと問題文に書いてあるから、感染を疑う。
それが分かれば、洗浄というdは、創傷治療でも説いた基本だから、すぐに解けたのではないだろうか。

ただ、いつもいつも正常な思考が思考ができるとは限らないから、
一応チャート式で暗記した知識を持っていくことも保険になる。
これもチャート通りに解いていった場合は、
細菌検査

抗菌薬
洗浄
ドレナージ

保護床

瘻孔閉鎖

上顎洞根治術

というステージごとの処置になってくる。
現段階が、どのステージかというと、排膿が出たことが分かった段階であるので、
このチャートに現状をあてはめると
現段階で為すべきことは、細菌検査ということになるが、選択肢にないから、
それも飛ばして洗浄のaということになる。


歯科医師
85C51
上顎右側第一大臼歯を抜歯したところ、抜歯窩から多量の排膿が認められた。
抜歯窩から歯科用ゾンデを挿入したところ内部との交通を認めた。
患者は抜歯窩から右側眼窩下部の重圧感、圧痛を自覚していたという。
抜歯窩から洗浄したが鼻腔への洗浄液の漏出はわずかであった。
まず行うべき処置はどれか。

1 穿孔部からのドレナージ
2 抗菌剤の投与
3 瘻孔閉鎖手術
4 開窓療法
5 上顎洞根治手術

a 1・2
b 1・5
c 2・3
d 3・4
e 4・5


解説
冷静にチャート通り処理したい。

問題文では、「排膿」とあるから、
感染を疑い、細菌検査で同定し、
抗菌薬投薬・洗浄・ドレナージを行う。

選択肢の中で、これらに言及しているものは、
1・2になるので
aが答えになる。

よって、答えはa。



同じチャートで解ける問題は
91E46
83D34
89D33
96D32
97D33
等多数あるが、今回は時間と紙幅の都合上割愛する。


2.顎骨骨髄炎について

顎骨骨髄炎についての論点として

種類 ・急性顎骨骨髄炎
   ・慢性顎骨骨髄炎
   ・Garreの骨髄炎
の3つを押さえる必要がある。

病期 ・Ⅰ期
   ・Ⅱ期…進行期…前半は弓倉症状、後半はVinscent症状
   ・Ⅲ期…腐骨形成期
   ・Ⅳ期…腐骨分離期

弓倉症状は、下顎管(下顎神経)にまでは及んでいない場合をいい、
Vinscent症状は、下顎管(下顎神経)にまでは及んでいる場合をいう。

顎骨骨髄炎の治療チャート(経過順に相応した治療法を上から並べる)
 急性…投薬(抗菌薬+鎮痛剤)
    消炎手術(根管からの排膿、
         皮質骨穿孔)
 慢性…根管治療
    皮質骨除去術
    腐骨除去術
    持続灌流療法

俺もやったことがあるが、口腔外科の場合、
基本的に、この辺りは、歯科医院に置いてあるようなエアータービンを使って、感染歯の下に位置して膿瘍を作っている膿瘍部のコツを削っていく。5分か10分くらいで終わる処置だが、
皮質骨除去術
腐骨除去術
持続灌流療法
の辺りの違いは、切削範囲の大きさだと思えばいい。灌流は更に洗い流すということ。持続と書いてあるのは、持続的に腐っている表面を洗い続けること。

経過は上から順に並べているから、経過にふさわしい治療法を選択するように。
まず、基本は、病因になっている感染根管を治療するということであり、これによる経過を待つことだ。
いきなり感染部位の骨組織を削ることは侵襲が大きいため、
やはり、趣旨としては、医学の基本通り、侵襲の少ない順に挑戦していき、経過を観察しながら、それでも症状が軽快しない場合、腐敗している所を除去するということだ。
この考え方が理解できていれば、細かい暗記の知識がこぼれ落ちたとしても、実際の臨床現場あるいは試験問題で正解することはできるし、大きく間違えること(禁忌肢を選ぶこと)はないだろう。


では、ここまでのチャートでどれだけ過去問が解けるのかを
確認していこう。


歯科医師
87D36
57歳の女性。左側下顎部の腫脹と疼痛とを主訴として来院した。
約4年前から自発痛と腫脹とを再三繰り返していた。
左側下顎歯槽部に瘻孔が認められる。
パノラマエックス線写真と病理組織増とを別に示す。
適切な治療法はどれか。

1 抗生物質の全身投与
2 腐骨除去
3 抗がん剤の局所動注
4 開窓療法
5 骨皮質除去術

a 1・2・3
b 1・2・5
c 1・4・5
d 2・3・4
e 3・4・5


解説
チャート通り処理したい。

写真を見なければいけないが、
俺が渡された本にはついていない。
そういうものに回答はしてはいけないのだが、
「自発痛」と「腫脹」を繰り返しているし
「左側下顎」とあるので、
写真では恐らく歯科治療の痕跡があるのだろう。
ここから細菌が、下顎骨に侵入し、急性炎症を起こしているのだろうと推測する。

ステージを判断するためには、
写真を見る必要があるのだが、
阿呆な歯科医は問題集を販売するときにそれをつけていなかった。

それでも推理をして解いていくが
下顎左側の急性炎症が繰り返し起きていて
瘻孔があるのであるから
急性骨髄炎が診断名になるのだろう。

そうなると、
1・2・5が答えになる。

よって、答えはbだが、
写真を見ていないから、よくない答え方だ。



歯科医師
91D38
13歳の男子。下顎右側臼歯部に骨様硬の膨隆を主訴として来院した。
約6か月前から徐々に大きくなったという。
現在、同部に軽い圧痛を伴う母指頭大のびまん性の腫脹が蝕知される。
下顎右側第一大臼歯は齲蝕度3度である。
エックス線写真で同部の円形の骨透過像と同側下顎骨臼歯部頬側の玉ねぎ状の骨添加とがみられる。
最初に行うべき処置はどれか。

a 腐骨除去術
b 皮質骨除去術
c 皮質穿孔術
d 区域切除術
e 根管治療


解説
急性炎は骨が溶かされる。
拍動したりかなりシビアな痛みだそうだ。
この問題文のニュアンスでは、そういった急性症状の言及がない。
急性の拍動痛(自発痛)も記載がなく特徴として拾っていない。
「骨様硬の膨隆」とあるので、慢性症状だろうと思える。
下まで読んでいくと
「玉ねぎ状の骨添加」ともあるので、やはり慢性炎症と診断させたいのだと分かる。
「玉ねぎ状の骨添加」とはガレ骨髄炎の特徴だからだ。
慢性症状の場合は、生体が雑菌との戦いにおいて盛り返してきている症状であり、骨添加が起きているから、
病変部の膨隆は骨添加によるものなのだろう。

では、慢性炎症の場合、まずどの治療から選択するべきなのかという問題だが、
受験生にとっては、いささか複雑であったのではないかと思う。

まず、区域切除というのは論外の発想だから除外する。
穿孔することは急性炎症をやわらげるため(浸出液の圧を外に逃がす、消毒のため)に行うものであるから、
急性症状がない以上選択する価値はない。

では、慢性症状に移行した場合は、まず何からするかというと
原因歯の根管治療を最初に選択したい。

なぜかというと
これは予備校で習ったのだが、
原因を除去することが解答として一番尊重されるため、
原因は齲蝕歯から波及している細菌だから、原因歯の根管治療が「まず」行う治療として優先する。

う蝕度Ⅲ度とは、
保存修復学で習う概念なので、
外科医である俺は、そういう言葉が口外で登場すると驚くのだが、
口外は歯科医だけがするものではなく医師も治療にあたれるものなので。

齲蝕のステージのⅢ度のことだ。
0度…白斑ができて再形成が起きているエナメル質の実質欠損。
Ⅰ度…エナメル質に齲蝕が到達している欠損。
Ⅱ度…象牙質に齲蝕が到達している欠損。
Ⅲ度…神経に齲蝕が到達している欠損。
Ⅳ度…細菌感染が根管に到達し、歯髄は死んでいる状態。

ここまでくるとチャートが間違っているのではないかと疑問に思うかもしれないが
実は、何でもチャート分類通りに行く訳ではなく、
歯髄が生きていながら、ガレ骨髄炎に移行する場合がある。
なぜなら骨髄炎とは、根管から根尖部に到達した細菌が、骨髄内に侵入していくことで
その慢性的な刺激によって起きるものであるから、
まれに歯髄が生きている場合があるということを教える問題なのだろう。

Ⅲ度というのは、保存修復学の概念であるから
口腔外科領域としては、概念的にそちらを優先するのではなく、
口腔外科の症状から診断して治療したい。

今回の問題としては、
感染根管治療以外は、骨除去しか選択肢になかったから、
齲蝕進行度はC3で歯髄は生きていると書いてあるから、
そういう場合においては感染根管治療しか答えにならないということだ。

口腔外科医が、感染根管治療を
答えとして選ぶ問題があるというのは
驚く領域であるが、
口腔外科医も根管治療をやらないといけないと教えているような問題かもしれないし
だとすると医師としても感染根管治療の方法を知っておくべきだ。

俺は10万以上したが、
根管長を自動で測りながら根管清掃をしてくれる機械を購入したのだが、
リーマーかファイルかをつけて、スイッチをつけていると
勝手に患者の歯の中の感染根管治療を進めていく機械なのだ。
それを何回か上下上下に動かすだけで、治療が終わるので、
医師は歯科医の手技に自信がない訳だから、ロボットなりを利用するといい。


では、次は解剖学と関連して、症状から、どこまで炎症が進行しているかを診断し、
その診断に対応した治療法を選択できるかの練習問題を過去問から出題する。
古い過去問は近似では大変手に入りにくくなっているが、昔の代表問題ほど本当の基本を問うている良問が多いので、
その良問から極力出題していくようにしている。

歯科医師
82E14
下顎前歯に起因する急性歯槽骨髄炎の症状について誤っているのはどれか。
1.開口障害
2.原因歯の打診痛
3.嚥下障害
4.下唇の麻痺

a 1・3・4のみ
b 1・2のみ
c 2・3のみ
d 4のみ
e 1~4のすべて


解説
問題文に「歯槽」と書いてあるので、
急性炎症が歯槽部に現局している症状を探すという解き方が、応用性が高い。

暗記で解くなら、これは、エンド(歯内療法学)の問題になってしまうので
医師は、困ってしまう。
エンドドンティックスだと、ギリシア語で「歯の内側」を意味する言葉だが、
この辺りは本当にエンドとかぶっている分野なので、俺はエンドの講義もしているから医師(外科医)・口腔外科医も復習してほしいが、まだ全部はしていないかもしれないから、再びここで書いてやろう。

保存修復学では、細菌が歯質に限局したC2くらいまでの領域を扱うと思うのだが、
エンドでは、C3からの疾患(~C4)を扱う。
恐らくここからは口腔外科と重複する分野になるのだろう。

そこで歯質に細菌が定着すると
その後に何を起こしていくのか。

生活歯髄と
失活歯髄の場合で
チャート表にまとめられる。

「生活」歯髄の場合
 →これは、「歯髄炎」という疾患になる。
 ここを病期によって分類し、何が違うのかに着目していくと、それぞれの病理学的理解が深まる。
 1.知覚過敏・歯髄充血…C0・C1の状態であろう。象牙細管までは細菌の歯質溶解は到達していない。よって、冷たいものに敏感に冷たさを感じる。これは歯質の厚みが薄くなっているため刺激に敏感になっている状態である。
よって、治療法は、修復(ボンディング含む)や鎮静になる。
 2.急性歯髄炎…実は、昔は
        (1)急性一部性単純性歯髄炎
        (2)急性全部性単純性歯髄炎
        という昔の呼称をするので、教えていた子(現在はエンドの大学講師)に指摘されるのだが、分かっていて俺は、この通りに書いていくので。最近は、単純性を漿液性と書くのかな。病理学的に漿液が出ていることを化膿性と区分けしている特徴としているのだろうな。

何を漿液性とか単純性と呼んでいるのかというと(1)と(2)の共通事項としては、
齲蝕が象牙質にまで入ってきたのだろう。そうすると実質欠損が、象牙質内に及んでいるため、象牙細管というものが外部にむきだしになる。この象牙細管は、歯髄内に刺激を伝導したり、細菌の歯髄への移動を助けるものだから、急性症状として炎症が起きる。
この急性炎の特徴は、「ズキズキ」痛むという言葉に表されるように「自発痛」と特徴としているのが、(1)(2)の急性歯髄炎の特徴である。病理学的に「急性」炎症だから「自発痛」がある。これがうっとうしいので、皆歯医者に来るのはこの後からが多い。

実質欠損は、知覚過敏症と同様なので、閾値が低下するために、冷水痛も(+)という初見になる。


全部性になると「打診痛」「咬合痛」が認められる所見になる。これは、歯根部歯髄にまで細菌の炎症が及んでいるということを示しているから「全部性」という名称にそぐうものである。
よって、(1)と(2)では治療法が異なる。
(1)の場合は、一部にしか感染が及んでいないため、
歯髄を一部だけ切断するという「生活歯髄切断」が適応になる。加えて、急性炎が起きているのだから、抗菌薬と鎮痛薬も処方する必要がある。
細菌は象牙管内を移動しているだけで、恐らくそんなには細菌は侵入していないだろうと考えられるから、まずは生活歯髄切断を試す保存療法を選択することになる。
(2)の場合は、歯髄の全部に炎症が広がている。この場合は、どの程度歯髄にまで細菌が侵入しているのかは予測がつかないから、残念ながら、抜髄(歯髄の全部摘出)が必要になる。歯髄とは管内の神経・血管等の組織の全てをいう。髄というと中に入っているものだと思うのだが。
治療法で(1)との違いは歯髄切除の範囲(抜髄になる)だけで、投薬の内容は同じ(抗菌薬+鎮痛剤)になる。

(1)も(2)も歯髄内に細菌が侵入したと考える訳だから、それは不可逆的な反応になる。
よって、歯髄を切除するわけだが、(1)と(2)でその範囲が違うことに注意するように。
患者のために保存を試すステージが1つあるということを忘れないように。

では、治療をせずに放置していると
どうなるのか。

次は、化膿性炎への移行期となる。
この場合、間欠性の持続痛から
「持続性」の自発痛へと切り替わる。

そして、閾値が正常になり、冷温痛を感じるようになる。

温痛を感じるのは、なぜかというと、持続性の自発痛と関連している。
歯髄内の空間は閉鎖された空間であるため、持続的細菌刺激が免疫反応を呼び血流量の増大を起こして
歯髄内が血液で膨張するため、神経が圧迫される。
このとき、温かい温度に対しては更に血管が膨張し血液によって歯髄内圧が上がるために神経の痛みが更に増すためである。

では、その後も放置していると
化膿性炎になる。
これは「急性全部性化膿性歯髄炎」という診断名になる。
打診痛や咬合痛はもちろん全部性から引き継いであるのだが、
特徴的な違いは痛みが「拍動性」の自発痛になる点である。
また、歯に冷水を当てると温度が下がってこの炎症による常時の拍動と内圧が軽快するために、冷水痛は消失し、
逆に、温水痛だけになる。もう1つの理由は、神経が、すでに細菌によってボロボロに殺されている状態であるから、痛みも感じにくくなっているし、刺激に反応しづらくなってきている点である。

この段階の治療は、先の全部性と変わらず
全部なのだから、全部を取ると覚えて
「抜髄」ということになり、投薬(抗菌薬+鎮痛薬)も忘れてはいけない。

次いで更に放置しておくと
髄腔内は開放され、露髄の状態(潰瘍状態)を示すため、
歯髄腔内圧が解放され、
自発痛・温痛は消失する。
しかし、まだ、歯髄は生きて戦っている状態であるから、「炎」とついている。炎とは、この場合、生体が戦っている現象につけた名称である。
この状態は、完全に露髄しているために、潰瘍性歯髄炎という。急性症状は終わり炎症は慢性期であるから、自発痛はなく、慢性潰瘍性歯髄炎という。
この状態でも病期によって2つのグレートに分類される。
(1)慢性一部性潰瘍性歯髄炎
解放が一部である場合、食片圧入という問題が起きることがあり、この場合また歯髄の内圧が上がるために「急性転化」してしまう。
(2)慢性全部性潰瘍性歯髄炎
これは開放が歯髄全域に渡るため、食片圧入の問題にはならないようだ。

これは写真があるので
【写真 歯科医師110B1
この黒く大きなう窩が歯髄腔内に到達していることが特徴的な所見になっている。

露髄の表面積で一部性と全部性を分けているようである。

一部性になると打診痛・咬合痛がまた消えてしまう。
しかし、全部性になるとまた
打診痛・咬合痛が現れるから
一部と全部の違いは、打診と咬合痛の違いだと
覚えておいたほうがいいのではないか。

これを説明する俺の推理はこうである。
慢性期になると拮抗状態になっていて、
細菌に勝っているような盛り返しを生体は行っている。
そこで、打診痛と咬合痛も消えているのだが、
再び細菌が根尖部歯髄にまで到達すると
打診痛や咬合痛という根尖部に負担がかかる圧で痛みが生じるのではないか
と俺は推理しているが、
アメリカなんかでは神経変性を理由にしている理論を唱える学者もいるが、
それでは論理に矛盾があり説明がつかないので、俺に論破されない説明を受けるまでは俺は俺の説を維持している。

こういうときは神ヤーウェに聞いてみよう。
あまりこの力は使いたくなかったし、神には聞きたくなかったが。
人間のスペックでゆるされた力だけで対処したかったが、仕方ない。

神ヤーウェ
「これは現在においてはまだ研究で明らかにされていないことだが
慢性炎では潰瘍が生じるために、歯髄内圧が軽減される。
これによって一時的に歯髄は活性化するために
一過性ではあるが、咬合痛や打診痛の刺激に対応する
神経周域の増殖活動を行うためである。
よって、ミカエルの方が真理に近いことを言っていたし、ほぼ正解といえる。」

加圧トレーニングみたいなものか。きつい環境でやってた分、負荷が軽減されると生きていた神経は少し強くなるということか。
その分を細菌との戦いに注力できる分、パワーバランスに一時的に逆転が生じるのか。

神ヤーウェ「密集型から粗配列になると血液からの栄養供給もうまくいくし、再生力がやや高くなる。免疫細胞も活性化されて戦えるようになっている。放っておけばまた全部性に進行するが、この段階なら生切で神経を生かせるなら、賢いやり方だといえる。エンドの研究者は少ないし、研究者を助ける科学もまだあまり発展してないし、こんな状況になって実験に使える患者も少ないし、それもよくないことだから、この辺りはまだ分かってなかったことだ。」

慢性一部性潰瘍性では
もはや食事痛や食片圧入くらいでないと、痛みは起きない。
咬合痛も打診痛も起きなくなっている。



ここまでは歯髄は生きていた「生活」歯髄の病期の話だった。

次は失活してしまった歯髄の病期。

ここからは、
まずは、根尖病巣ができていないかできているかで区分けする。

根尖病巣がないのであれば、
失活しているだけなので
(1)「歯髄壊死」
(2)腐敗して臭かったら「歯髄壊疽」が診断名になる。


次に、根尖病巣ができていた場合
ここからは根尖部の病気になるので、
神経の後は、根尖下組織との神経などの戦いになる。

これも間欠的自発痛か
拍動性自発痛か
自発痛がないのかで区別する。

(3)間欠的であれば、急性「単純性(漿液性)」根尖性歯周炎
(4)拍動性であれば、急性「化膿性」根尖性歯周炎
(5)自発痛がなくなれば、瘻孔もできて、排膿もしていて、根尖部繰り返し腫脹が起きる。この場合を慢性根尖性歯周炎という。

治療法は
これら全部に感染根管治療をする。(1)~(5)は感染根管治療。これはエンド病変においては汎用的に治療法だ。

加えて、急性炎が起きている(3)(4)に関しては、炎症を緩解させるため投薬(抗菌薬+消炎鎮痛剤)という従来通りのセオリーだ。

加えて、拍動性の自発痛がある化膿性炎(4)に関しては、根管開放による「排膿」も追加の答えになる。

加えて、(5)の慢性根尖性歯周炎になてくると、根尖部にいささか操作を行う根管通過法や歯根尖切除術も追加される。これは抜歯の直前という所なのだろう。逆根充というのも答えに浮上してくる。逆根充とは、普通は歯冠部から新たな感染を防ぐために何かの素材を詰めるのだが、それを根尖部の瘻孔から充填するということなのだろう。


それでは過去問で練習をやってみろ。

俺の講義だと過去問は中々手に入らない古い良問(基礎問題)を探してくるから
歯科医師
92C23
45歳の男性。下顎右側第一小臼歯の冷水痛を主訴として来院した。
冷水痛は一過性で温熱には反応しない。
この問題に添付されている初診時の口腔内写真は俺は持っていない。
適切な処置はどれか。

(1)ブラッシング指導
(2)歯周パック
(3)フッ化物の歯面塗布
(4)抜髄法
(5)コンポジットレジン修復

a(1)(2)
b(1)(5)
c(2)(3)
d(3)(4)
e(4)(5)


解説
3は、保存修復学の試験で出る内容なので、口腔外科からは遠すぎる。
口腔外科が関連している歯科範囲は、矯正・歯周病・歯内療法だけなのだ。
矯正は阿呆が顎関節症とか根尖部吸収とか褥瘡性潰瘍とか外傷を作ってくるから、頻繁に患者が来るし、外科矯正のときもコラボするときはある。
エンド・ペリオ病変に関しては、どちらも進行するとこちらの領域(敗血症、顎骨嚢胞、口腔内粘膜病変、癌)になってくるので
口腔外科委は、エン-ペリだけは、こいつら(歯科医)より勉強してないとダメなのだ。
こいつらより勉強する方法は、こいつらよりも長い年月分の過去問題を解いていくことなのだが、
最新の過去問題を解いていくことは非常に有用であるものの
昔の問題が解けないと最新の問題は解けないから
まずは昔の良問を使って基礎固めをすることだ。本来は、昔の問題だけで十分なのだが、最近の歯科医師の国家試験が激難化傾向なので、合格してからもまた合格できる挑戦してみるのも悪くないだろうし、それをしていた人は俺以外にもいた。

解説は
冷水痛があると書いてあるから、生活歯髄のチャートに従わないといけない。
生活歯髄で、冷水痛にしか反応しないと書いてあるから
一番初期の病期で「知覚過敏」が診断名になる。
よって、その治療は、修復・鎮静であるから、
選択肢で相当しているものは、
1・5のbになる。

恐らくは写真では実質欠損があるのだろう。

知覚過敏は、
ブラッシング圧が問題で起きていることがある。
これを「摩耗症」というのかな?

俺が、歯科医師国家試験に合格したのは、
これを読んでいる読者の多くが
生まれる前のことなのだ。今の成人よりも昔に受かったのだ。まだ研修義務化もなかった頃だから。

そして、普段は外科医・内科医・一般医師をしている
俺が、昔昔に習った
摩耗症の定義を
ここで自信満々で言えると思うのか?
あっていても、あっている自信はなく「?」をつけている。

写真もついてないような
劣悪な問題集を使っている。
これはダメなことなのだが、マネするなと書いておけば、それでもいいかなと。

よって、答えはb


歯科医師
85B23
歯髄電気診で閾値が低下し、
温度診で冷刺激に敏感な場合、
疑われる疾患はどれか。


解説
もうこれは選択肢いらないだろ。

歯髄充血と
急性単純性(漿液性)歯髄炎の2つだ。



歯科医師
86D6

問題文が長いから
問題文が長文だと思って
俺が拾ったキーワードを抜いていくのが解き方だと思えよ。

チョコレートを食べると
一過性に痛みを感じ、
冷刺激あり。
前日から持続性の自発性と
咬合痛あり。

電気歯髄診で生活反応を示すが、
反対側の同名歯と比べ、しきい値は低下していた。

考えられる病名はどれか。


解説
冷水痛+咬合痛というだけで
急性全部性単純性歯髄炎と出てくる。

問題文ではbで急性単純性歯髄炎だったのだが、
この改変問題だと更に難易度の高い
バリエーションに対応できるようになってるだろ。

それが、俺の天才的教え方なのだ。

こういうふうにあてはめていって
過去問を解いていけばいいし
毎年頻出だし、
エンドはこういう問題ばかりだから、
いつの年度の過去問でもやっていけば
この解き方で解ける。


だから、省略する
問題番号は
生活歯髄の問題としては
88B9
85D6
93C19
88D13
91C15
83D2
94C18
92C27
83D3
85D7
89D4
87D14
92C30
失活歯髄の問題としては
87B30
82C4
87B19
90D3
答えだけ書いておくとこの辺りは
答えが、根管開放(排膿)と投薬(抗生物質投与)
感染根管治療
という失活歯髄でありながら細菌感染に対しての処置なのだ。
もう感染根管治療、感染根管治療、もうずっと感染根管治療が答えになっている。
93E3答えは、慢性根尖性歯周炎の急性化 そういうこともある。
91B36 答えは根管治療
89D5 答えは補綴物除去+感染根管治療 感染根管治療をするためには歯冠部の補綴物(かぶせもの)を除去しないとファイルもリーマー(清掃するための器具)も入れれないから。
94C17 答えは根管通過法と感染根管治療 慢性根尖性歯周炎の場合は、根管通過法も使うときがある。どちらも同じようなものなので。根管から洗っていこうという方法で、創傷治療のところで教えていた洗浄と理論は変わらないのだ。名前が分かりにくくモディファイされているだけで、本質をつかめば、「洗浄→消毒(抗菌薬投薬も同じ意味合い)」というこのスタイルで全部解いていけるわけだな。だから創傷治療を緊急や口外でうるさいくらい繰り返し演習させてきたのだ。
88D4 答えは「慢性根尖性歯周炎の場合は、歯髄は壊死している」
96B51 答えは失活歯髄なら、慢性根尖性歯周炎だろうが、何だろうが「感染根管治療」が答えになる。
★ポイント:「エンドでは、(歯髄が)失活していたら感染根管治療」
これを覚えさせただけでも快挙。
●ポイント:「生活していたら、一部性なら生活歯髄切断。全部性なら抜髄。」
これはどうなのかと言われたら、今の歯学の話だから。俺は全部抗菌薬を流して消毒もして、DNA活性化とかヘルパーTリンパ球活性とか繰り返しやってたら、こんなことしなくても雑菌を除去できて保存できると思うぞ。
こういうルール(早見表)は覚えておけ。そうすると命綱になる。暗記が多いほど時間が経つとあやふやになるものだからな。
俺も、最近、昔付き合っていた女とまた出会って喋ったことがあるのだが、もう別れたら会社の社長になっていた女だったが
「いつ出会ったっけ?」「何て呼んでたっけ?」とか、そういう話をされても思い出せないのだよな。大切な人なのに、いつかが思い出せないくらいだからな。歯科医になったら、医師ならまた勉強する奴が多いが、歯科医なら受かってからは二度と勉強しないものなのだから、20年・30年・40年耐久する知識の覚え方か理解の仕方で関連した知識をつなぎ合わせていく心理学にヒグビーの法則という7つの記憶術があるのだが、そういうのも分かっていて講義の予定と内容を作ってここで開示している訳だ。
97B72 答えは感染根管治療。理由は「失活歯だから」。
97B71 答えは感染根管治療。「ということは問題文は失活歯髄だということ」だな。「生活歯は元気なら抜髄しない」がもう1つの答えになっていた。総合問題だな。
97B70 答えは「感染根管治療」。もう1つは口腔前庭部の根尖部に波動を触れそうな膿瘍があったので「切開・排膿」も答えになっていた。
96B55 答えは「感染根管治療」。
96B57 答えは「感染根管治療」。瘻孔(排膿)あり。よって慢性ということになる。化膿性だったら、まだ瘻孔はできていないから組織内圧がパンパンに上がっていて「拍動性自発痛」をきたすのだぞ。
96B60 答えは「感染根管治療」。
86D7 答えは、根尖病巣があり(根尖性歯周炎)、慢性症状だったため(慢性)、その名前を組み合わせて診断名は「慢性根尖性歯周炎」と答える問題。
あとも同じノリの解き方だから、問題番号だけ記していく。
92C25
87D15
85D5
89B3
91C11
96B55
96B58
95B62
96B72

これで、1日でエンドの全講義を終了した。
後は、国家試験でも予備校の予想問題でも何でも解きまくればいい。どんどん得意になっていくだけだ。

で、俺が講義したかったのは、エンドの話じゃなくて、
エンドから波及してきた
歯性感染症の炎症各論だ。

4つ重大論点がある中で
上顎洞炎をやって、顎骨骨髄炎をやってたのだ。

歯科医師
90B54
30歳の男性で、慢性の骨髄炎だから、治療法を問われて、選択肢を見ると骨皮質を除去するしか答えがないから、骨皮質除去を答える問題だったのだ。

84D39
1年前に下顎右側の歯を抜歯して、直後から頬部の腫脹と疼痛が生じた。
抗生物質を投与したが、消失を繰り返していた。
3日前から特に激しい自発痛と腫脹があり、来院した。
開口度10mm。
抜歯窩は閉鎖し、健全な粘膜で覆われていた。
臨床検査所見;赤血球427×104/mm3、血色素量12.5g/dl、白血球数9500/mm3、CRP(+)。
消炎後、骨内の掻把と生検を行った。

正しい診断名はどれか。

a 下顎骨髄炎
b 骨好酸球肉芽腫
c 繊維性骨異形成症
d エナメル上脾腫
e 骨肉腫


解説
この選択肢からは
aしかない。この症状に合うものは。

よって、aが答え。


歯科医師
82B14
88B38
96D1 この問題は放射性骨髄炎の問題だった。癌の治療で放射線を当てるのだが、照射後に骨が弱くなるのだ。組織の再生修復できなくなってくるので易感染性となるために、細菌感染しやすくなってくる。よって、これは細菌感染によって起きると選ばせたい問題だった。易感染性に歯性感染が波及することで起きる骨髄炎だが、通常より広範囲に広がるので注意が必要だ。問題では間違いの選択肢で照射後2週間以内に起きると書いてあったが、骨が弱くなって起きるものだから、その期間中起きるリスクがある。
96D29 慢性骨髄炎を選ばせる問題だった。



次の論点は、
3つめの顎骨周囲軟組織炎

顎骨周囲には、
いくつかの組織隙がある。
その組織隙に細菌は逃げてコロニーを作りやすい。
免疫応答から逃れるために、空間的な所にホームを作りたい訳だ。

そこで、波及しやすい隙として
A 側咽頭隙
B 翼突下顎隙
C 咀嚼筋隙
D 顎下隙
E 舌下隙
F オトガイ下隙
がある。

【画像 顎骨周囲軟組織炎 隙咀嚼筋隙はこちら

このサイトの医師も医師と歯科医師の両方のライセンスを持ってるのだが
やはりそういう人の書いた教科書は分かりやすい。
解剖学はここで勉強するといい。
俺が書かなくてもここの人がやってくれてるから↓
https://dualdegree.jimdofree.com/%E6%AD%AF%E7%A7%91-%E5%9B%BD%E8%A9%A6/%E2%91%A7-%E8%A7%A3%E5%89%96/

これらは細菌にとっての都市部であって
例えば、東京や大阪のようなものであり
旅をする細菌達は
この隙を行き来するルートを構築しようとして
炎症は広範囲に広がろうとする。

これは解剖学を分かってないと
部位がイメージできないと思うが、
名称から大体の箇所を把握することだ。

そうすると
Aに波及した場合、何が起きるかというと咽頭部の炎症により
「嚥下痛」「呼吸困難」が起きる。

これが広範囲に広がると
ルートビッヒ口狭炎(Ludwig’s angina(ルートヴィッヒズ・アンジャイナ))。
症状には舌下部、顎下部、オトガイ下部のびまん性腫脹、発赤、疼痛、二重舌、開口障害、嚥下障害など。
治療には抗生物質の投与や切開排膿などの外科療法。

BやCに炎症が波及すると
咀嚼筋の炎症により「開口障害」が起きる。
この組織隙の中には、舌神経や頬神経が存在するものの、知覚麻痺を生じることはほとんどない。
なぜかというと組織隙に入っている神経は、ほとんどが運動神経であって、知覚神経はほぼ入っていないので、
麻痺はほとんどない。
歯の知覚麻痺は顎骨骨髄炎で起きやすいとマークしておいた方がいい。下顎内には、下顎管の中を下歯槽神経が走行していて
それが顎骨骨髄炎によって障害を受けると、歯の知覚鈍麻が起きる。

D~Fあたりまで炎症が波及してくると
「嚥下痛」「呼吸困難」「開口障害」に加えて
「二重舌」も認めるようになる。
これらD~Fの2つ以上の隙に炎症が波及することを「口底蜂窩織炎」という。

Bから波及すると

 →A

 →C→D→E→F

と波及していくし

Cから波及すると

 →B→A

 →D→E→F

と波及していく。

「二重舌」も認める頃には全体的に広がっている。


顎骨周囲軟組織炎の処置のガイドラインは
1.まず切開排膿(消炎手術)
2.つづいて抗菌薬投薬(経口だけでなく点滴静注も〇にしろ。)

1で切開を入れる理由は、軟組織だから、この処置ができる。排膿によって、消炎し、雑菌を減らして治癒を早める。
それに、呼吸障害が起きている訳だから、早期に切開しないと命が危険だからだ。
開口障害くらいだったら何か飲んでおけばいいのだがな。
炎症が消失すれば、開口障害も消失するため、「開口訓練は必要ない」というのが解答のセオリーになっている。軟組織炎で、そういう変な障害が起きているのだから、そのときに開口訓練をやっても余計に病状を悪くする。もし仮に、開口訓練を答えにしたいという人がいても(万が一、そういう話はないともいえないので)、炎症が消失するまではそういう話にならない。

予防のため齲蝕・歯周病の治療も入ってくるかもしれないが、優先度は1・2の順。


では、過去問で練習しろ。
ここだと
歯科医師
90D38
過去問を用意するのに時間を要するから
後でアップロードする予定だ。



四つ目の論点は
菌血症・敗血症になる。

菌血症とは
観血的処置に伴って、血中に細菌が入ったとしても、血中の免疫細胞によって、30分程度で除去されるために、血中で菌が増殖するということは、この概念ではあまり考えていない。

敗血症とは
菌血症に引き続き、血中の免疫力が低下していたり、菌の抵抗力が勝ったときに、菌の増殖が起こり、症状が全身に広がって、悪化して、体温、呼吸数、心拍数といったバイタルに影響する。非常に危険であるので、軽微な菌血症のうちに対処しておきたい。



これも過去問は
後でアップロードする予定だ。

紙幅も足りないし、今回はまぁいいわ。

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