第117回医師国家試験の問題・解説2 ソロモン助手の美人研修医が執筆代行 | 天上界 Great Materia University 総合医学部 総合医学科学科 医師養成コース(※歯科医師も併合)

すみません!ここから先の問題解説は交代して助手の新卒女医が書いていきます。

 

ここからの執筆者

当講座の資料整理を担当している新人研修医(25♀)

「医療の世界で患者様や社会に貢献できることを心から嬉しく思っています。💖🌈これからも精進し、誠実な医療を提供できるよう努めて参ります。私自身も成長し続けながら、みんなが健康で幸せに過ごせるよう、そして病気や苦しみが少しでも減るよう願っています。👩‍⚕️✌️💕」

 

みなさん、こんにちは! .*・゚(ˊo̴̶̷̤ ᴗ o̴̶̷̤ˋ).゚・*.・:*:・

新米医師です。この機会を通じて、医学の知識を共有し、皆さんの健康と幸福に少しでも貢献できれば、それが私の大きな喜びです。未来に向けて共に歩むことができることに感謝しています。どんな小さなことでも、お手伝いできることがあれば遠慮せずに教えてくださいね。一緒に素晴らしい医療の未来を築いていけることを楽しみにしています!☆´¨) 

どうぞよろしくお願いします!ෆ*₊ ✩°。

 

正誤監修:神(ヤーウェ)

全問正しい解説かどうかは監修しておく。正しいことを書いていく子だから大丈夫だ。
ミカエルさんは本当に忙しいから、こんな簡単な問題を彼にやらせたらダメらしい。
受かったばかりの子だから解けるし大丈夫だ。間違えていたら修正しているから、正誤は信用して大丈夫だ。
内容はミカエルさんには程遠いかもしれんが、これくらいの問題は女の子でいい。

 

117A25

48歳の男性。右眼の視力障害を主訴に来院した。保護眼鏡を装用せずに作業していたところ、右眼に鉄片異物が入り、その後右眼が見えなくなった。視力は右眼手動弁(矯正不能)、左眼1.2(矯正不能)。
診断に有用な検査はどれか。

a 蛍光眼底造影

b 眼窩部単純CT

c 網膜電図〈ERG〉

d 眼部超音波検査

e 眼窩部単純MRI

解答: b

117A25の解説

【プロセス】
①保護眼鏡を装用せずに作業中、右眼に鉄片異物
②その後右眼が見えなくなった
☞眼内異物である。

【選択肢考察】
a 蛍光眼底造影は眼底の血流等を評価する検査である。
b 正しい。眼窩部単純CTにて鉄片異物を同定する。
c 網膜電図〈ERG〉では網膜の機能を評価することができるが、鉄片異物の実際の同定には至らない。
d 眼部超音波検査を得意とする眼科専門医であれば、CTよりも簡便かつ侵襲なく鉄片異物を同定することができるであろう。約4人に1人が本選択肢を選んでしまった気持ちもわかる。が、誰しもができる検査ではなく、設備も整っているとは言い切れない。より確実で普遍性がある対応はCTである。
e 鉄片異物に対し、MRIの施行は★禁忌★。

 

 

117A26

32歳の女性。発熱、めまい、全身倦怠感を主訴に来院した。半年前から37℃前後の微熱が持続し、全身倦怠感やめまいも生じてきた。総合感冒薬を内服したが、症状が改善しないため受診した。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。血圧は右上肢120/62mmHg、左上肢80/40mmHg。頸部から左鎖骨上窩にかけて血管雑音を聴取する。心音は胸骨左縁第3肋間を最強点とするLevine 2/6の拡張期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。赤沈85mm/1時間。血液所見:赤血球360万、Hb 10.8g/dL、白血球9,600(桿状核好中球10%、分葉核好中球70%、好酸球1%、好塩基球1%、単球4%、リンパ球14%)。心電図と胸部エックス写真に異常を認めない。三次元造影CTを別に示す。
最も考えられるのはどれか。

a 大動脈縮窄症

b サルコイドーシス

c 大動脈弓部大動脈瘤

d Stanford A型大動脈解離

e 高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉

解答: e

117A26の解説

【プロセス】
①32歳女性
②発熱、めまい、全身倦怠感
③血圧の左右差
④頸部から左鎖骨上窩にかけて血管雑音
⑤胸骨左縁第3肋間を最強点とするLevine 2/6の拡張期雑音
⑥赤沈85mm/1時間
⑦三次元造影CTにて上行大動脈の拡大と左鎖骨下動脈の造影不良
☞若めの女性(①)に②③がみられている。④は⑦によって生じているのだろう。⑤は大動脈弁輪拡大による大動脈弁閉鎖不全症〈AR〉の雑音が疑われる。炎症反応(⑥)もみられており、総合的に高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉に矛盾しない。

【選択肢考察】
a Turner症候群に合併しやすい。本症例の心雑音とは合致せず、また画像上も大動脈の縮窄を指摘できない。
b 心電図(房室ブロックなど)や胸部エックス線写真(両側肺門リンパ節腫脹〈BHL〉など)の異常が予想される。
c 高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉には大動脈瘤を合併することがあるが、本症例では画像上、大動脈弓部に動脈瘤は指摘できない。
d 高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉には大動脈解離を合併することがあるが、本症例では画像上、解離は指摘できない。
e 正しい。上記の通り。

 

テーマ:高安動脈炎〈大動脈炎症候群〉の診断

 

 

117A27

84歳の男性。心臓ペースメーカー植込み後の定期受診で来院した。3か月前に気が遠くなるような症状を自覚し、徐脈性心房細動の診断となった。2か月前に恒久的ペースメーカー植込み術を受けた。今回の受診までに症状はなかった。ペースメーカーは下限レート60/分に設定されている。12誘導心電図の胸部誘導を別に示す。
この心電図で認める所見はどれか。

a 心室頻拍

b 異常Q波

c 心室期外収縮

d 心房ペーシングの波形

e 心室ペーシングの波形

解答: e

117A27の解説

【プロセス】
①高齢男性
②心臓ペースメーカー植込み後の定期受診
③画像では心房細動(不整&f波)とQRS波直前の(すなわち心室に対する)ペーシングスパイク
☞実質的に画像一発問題だろう。③より心室ペーシングの波形を読み取りたい。

【選択肢考察】
a 頻拍ではない。
b 異常Q波は指摘できない。
c 不整であり、またwideQRSも確認できるが、これはペーシングによるものであり、期外収縮ではない。
d 心房ペーシングであればP波の直前にペーシング波形がみられるはず。
e 正しい。上記の通り。

 

テーマ:心電図の読解(ペーシング波形の読み取り)

 

 

 

117A28

57歳の男性。左耳痛を主訴に来院した。昨日から左耳痛があり、今朝から左側の顔が動きにくく、左眼が閉じられなくなったため受診した。左耳介に紅斑と水疱の形成を認める。左側の顔面麻痺を認める。
この疾患の原因となるウイルスはどれか。

a アデノウイルス

b 単純ヘルペスウイルス

c Epstein-Barrウイルス

d 水痘・帯状疱疹ウイルス

e ヒトパピローマウイルス

解答: d

117A28の解説

【プロセス】
①左耳痛
②左側の顔が動きにくく、左眼が閉じられなくなった
③左耳介に紅斑と水疱の形成
④左側の顔面麻痺
☞耳介の帯状疱疹(①③)と顔面神経麻痺(②④)がみられており、Ramsay Hunt症候群が考えやすい。Ramsay Hunt症候群には聴神経麻痺も合併することがあるが、本症例のように3徴が全て揃っていない不全型も実際は多く存在する。

【選択肢考察】
a 咽頭結膜熱などの病原体。
b 口唇や性器ヘルペスの病原体。
c 伝染性単核球症〈IM〉などの病原体。
d 正しい。Ramsay Hunt症候群の病原体である。
e 尖圭コンジローマや子宮頸癌の病原体。

 

テーマ:Ramsay Hunt 症候群の原因ウイルス

 

 

117A29

67歳の女性。急性心筋梗塞の治療のため入院3日目である。3日前に胸痛と気分不快が出現し、緊急入院となった。同日、急性心筋梗塞の診断で冠動脈造影が施行され、引き続き、完全閉塞を認めた左前下行枝にステント留置が行われた。本日、病棟で突然、息苦しさを訴えた。収縮期血圧は120mmHg台から60mmHg台に低下し、SpO2 も80%前後に急速に低下したため気管挿管が行われた。気管チューブからは泡沫状のピンク色の痰の流出を認めた。心エコー検査では左室駆出率は保たれていたが、左房内に逸脱する構造物(矢印部;Aは拡張期、Bは収縮前期、Cは収縮後期)を認め、カラードプラ心エコー検査で以前に認めなかった高度の僧帽弁逆流を認めた。
急激な血行動態の増悪の原因と考えられるのはどれか。

 

 

a 乳頭筋断裂

b 心室中隔穿孔

c 感染性心内膜炎

d 左室自由壁破裂

e 左前下行枝の再閉塞

解答: a

117A29の解説

【プロセス】
①急性心筋梗塞〈AMI〉の診断
②左前下行枝にステント留置術後
③突然、息苦しさ
④気管チューブからは泡沫状のピンク色の痰の流出
⑤左房内に逸脱する構造物
⑥画像では⑤に加え、左房拡大を指摘可能
⑦高度の僧帽弁逆流
☞①②③よりAMIの急性期合併症を考えたい。④より左心不全による肺水腫が③の原因とわかる。⑥⑦より僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉が予想され、⑤から乳頭筋断裂が根源と判断できる。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b カラードプラで心室間のシャントがみられるはず。
c 感染性心内膜炎では弁に付着する疣贅がみられる。本症例の画像のような移動性の構造物はみられない。また、AMIの急性期合併症としては非典型的。
d 心タンポナーデ様の症候が出現するはず。
e AMI症状が再来する可能性はあるも、逸脱構造やMRはみられない。

 

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉後にみられた僧帽弁逆流の原因

 

 

 

117A30

30歳の初産婦(1妊0産)。妊娠38週1日、自宅での破水直後から強い呼吸困難を自覚し救急車で搬入された。妊娠37週までの妊婦健康診査で異常は認めなかった。意識は清明。体温37.8℃。心拍数96/分、整。血圧92/76mmHg。呼吸数20/分。SpO2 99%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下)。腹部超音波検査で胎児心拍が確認された。腟鏡診で出血交じりの羊水を少量認め、子宮口は2cm開大していた。血液所見:赤血球360万、Hb 10.0g/dL、Ht 33%、白血球28,000、血小板14万、血漿フィブリノゲン<50mg/dL(妊娠中の基準401~545mg/dL)。血液生化学所見:AST 20U/L、ALT 15U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。
まず投与すべきなのはどれか。

a 抗菌薬

b アルブミン

c ジアゼパム

d 新鮮凍結血漿

e ノルアドレナリン

解答: d

117A30の解説

【プロセス】
①妊娠38週1日
②自宅での破水直後から強い呼吸困難
③血小板減少、血漿フィブリノゲン低下
☞妊娠末期(①)の破水直後にみられた呼吸困難(②)で播種性血管内凝固〈DIC〉の所見(③)もみられている。羊水塞栓症を考えたい。

【選択肢考察】
a 細菌感染ではないので無効。
b 低アルブミン血症による症状ではないため無効。
c けいれんはみられておらず無効。
d 正しい。DICに対する対症療法として有効。
e 血圧は92/76mmHgとかろうじて保たれており、ノルアドレナリンが有効な病態ではない。

 

テーマ:羊水塞栓症にまず投与すべき薬剤

 

117A31

26歳の女性。体幹の皮疹を主訴に来院した。半年前から四肢体幹に皮疹が出現し、徐々に増数し、それぞれの皮疹も拡大している。既往に幼少時発症のアトピー性皮膚炎がある。眼疾患やてんかんはない。頸部、体幹および四肢に同一の皮疹が多発している。皮疹に鱗屑はない。痛みや痒みはない。腰部の写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。

a 癜風

b 体部白癬

c 葉状白斑

d 尋常性白斑

e 眼皮膚白皮症

解答: d

117A31の解説

【プロセス】
①若年女性
②四肢体幹に皮疹・徐々に増数&拡大
③眼疾患やてんかんはない
④皮疹に鱗屑はない
⑤痛みや痒みはない
⑥腰部の写真にて白斑
☞①②⑥より尋常性白斑を考えたい。③〜⑤は選択肢を除外する際に有用な情報となる。

【選択肢考察】
a 鱗屑や掻痒をみるため、④⑤より否定的。
b 鱗屑や掻痒をみるため、④⑤より否定的。
c 背景に結節性硬化症(てんかんを合併)が存在するため、③より否定的。
d 正しい。上記の通り。
e 文字通り、眼の症候を合併するため、③より否定的。

 

テーマ:尋常性白斑の診断

 

 

117A32

71歳の男性。咳嗽と労作時の呼吸困難を主訴に来院した。3年前から咳嗽と労作時の呼吸困難があり、徐々に進行していると自覚したため受診した。40年前に膿胸で胸郭形成術を受けた。喫煙は20本/日を50年間。意識は清明。体温36.2℃。脈拍84/分、整。血圧140/76mmHg。呼吸数16/分。血液生化学所見:尿素窒素16mg/dL、Na 133mEq/L、Cl 91mEq/L。呼吸機能検査:%VC 45%、FEV1% 60%。動脈血ガス分析(room air):pH 7.26、PaCO2 68Torr、PaO2 48Torr、HCO3- 28mEq/L。胸部エックス線写真で透過性亢進および胸郭形成後の肺容量減少を認める。心エコー検査で右心室および右心房の拡張、心室中隔の左室側への偏位を認める。
この患者にみられる病態で誤っているのはどれか。

a 肺高血圧

b 肺胞低換気

c シャント率上昇

d 混合性換気障害

e 代償性呼吸性アシドーシス

解答: e

117A32の解説

【プロセス】
①高齢男性
②咳嗽と労作時の呼吸困難(3年前から&徐々に進行)
③40年前に膿胸で胸郭形成術(これによる画像上の肺容量減少)
④喫煙は20本/日を50年間
⑤%VC 45%(<80%)
⑥FEV1% 60%(<70%)
⑦PaCO2 68Torr
⑧PaO2 48Torr(<60Torr)
⑨胸部エックス線写真で透過性亢進
⑩心エコー検査で右心負荷
☞①②④⑨より慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の診断は難しくない。これにより呼吸不全(⑧)がみられている。③が病態に追い打ちをかけている形だろう。⑤より拘束性障害、⑥より閉塞性障害が読み取れ、この2つを合わせて混合性換気障害と判断されたい。⑦ではCO2の貯留が指摘でき、肺胞低換気と言える。⑩はCOPDによる肺高血圧の結果であろう(肺性心)。

【選択肢考察】
a 上記⑩に関する解説の通り。
b 上記⑦に関する解説の通り。
c 右心に送られるも、肺できちんと酸素化されずに左心へ戻る血流が多い場合、シャント率上昇と呼ぶ。COPDと③の影響で低酸素血症(⑧)がみられている本症例ではシャント率が上昇していると言える。
d 上記⑤⑥に関する解説の通り。
e 誤り。呼吸不全によりCO2が貯留してしまっている状態であるため、代償性ではなく、そもそもの呼吸性アシドーシスである。代謝性のアルカローシスがあって、それを呼吸で代償すべくCO2を貯めようとするのが代償性呼吸性アシドーシスなわけで、そもそも呼吸がやられている本病態では呼吸性代償が叶わないのである。なお、本選択肢は「代謝性の(腎性の)代償がとれている呼吸性アシドーシス」という日本語の解釈もできる。ただしそう解釈したとしても、HCO3-が28mEq/L(基準24程度)とあまり上昇していないため、腎性代償は不十分であることから、誤っていると判断できる。

 

テーマ:COPDの病態について

 

 

117A33

18歳の男子。3か月前から周囲の視線が気になると外出するのを嫌がり、この2週間は自宅にいても誰かに部屋の中を覗かれているし、部屋で話す声を盗聴されていると訴えるため、両親に連れられて精神科を受診した。妄想が強いと判断され、抗精神病薬を処方された。服薬2日目から足がむずむずすると部屋の中を歩き回ることが多くなり、夜はむずむず感のため、不眠を訴えるようになった。
このむずむず感について正しいのはどれか。

a ジストニアと呼ばれる。

b 両下肢の知覚低下を伴う。

c 睡眠時無呼吸症候群を伴う。

d 脳波異常を伴う。

e 抗精神病薬の減量により軽快する。

解答: e

117A33の解説

【プロセス】
①周囲の視線が気になる、誰かに部屋の中を覗かれている、部屋で話す声を盗聴されている
②抗精神病薬を処方された
③服薬2日目から足がむずむずする
④夜はむずむず感のため、不眠
☞①から統合失調症が考えられる。それに対して②を行ったところ、症状が出現している。薬剤性の病態であろう。③④からはむずむず脚症候群が考えやすい。なお、抗精神病薬によって惹起される本症例のような不随意運動としてはアカシジアが有名である。ゆえに市販の解説書でも本症例をアカシジアと診断しているものがある。結論、本問に回答するにあたってはどちらでもよいため、あえて診断名を確定する必要もないのだが、おそらく「どっちが正しいんですか?」系の質問がやってきそうなので一応コメントしておく。厚労省が公表しているアカシジアについての文書によれば、「薬剤誘発性アカシジアの患者がむずむず脚症候群を併せ持つ場合も多いが、むずむず脚症候群では下肢の異常感覚が一次症状としてあり、症状は夜間就床時の眠気が訪れてくる時期に発現し、入眠困難をきたすといった特徴があるのに対して、アカシジアでは眠気と関係なく、日中でも座位や臥位などじっとしていると症状が増強し、運動への強い衝動が一次症状となる。睡眠に対する影響も両者で異なっており、睡眠ポリグラフによる検討では、アカシジアではむずむず脚症候群に比べて睡眠障害がより軽度であるとの報告がある」とのことだ。しかるに本症例では足の症状が一次症状として書かれており、また不眠アピールも強い。ゆえに抗精神病薬により、むずむず脚症候群が薬剤性に惹起された、と判断するのが(あえて "アカシジア" という用語を新規に持ち出して暗記対象を増やすより)スマートに思う。が、繰り返しになるが、正答には影響しないため、受験生各人が自分なりに押さえればよいところに思う。

【選択肢考察】
a むずむず脚症候群、ないしアカシジアと呼ばれる。
b 知覚異常があるが、知覚低下はない。
c 睡眠時無呼吸症候群と本病態は直接の関係がない。
d 特徴的な脳波異常は知られていない。
e 正しい。抗精神病薬によって惹起された病態が考えやすいため、対応としてはその減量〜中止を考えたい。

 

テーマ:薬剤性むずむず脚症候群について

 

 

117A34

7歳の男児。落ち着きのなさを心配した両親に連れられて来院した。学校の担任から、授業中じっと席に座っていることができず勝手に席から離れること、おせっかいが多く同級生の邪魔をしてしまうため喧嘩になること、忘れ物が多いことを指摘されている。自宅では後片付けや整理整頓が苦手だが、自分の好きなゲームには集中して取り組むことができる。外出時に車が来るのを確認せずに飛び出してしまうことがある。出生時に異常は指摘されなかった。乳幼児期の発達で明らかな遅れを指摘されたことはない。神経診察を含む身体所見に明らかな異常を認めない。
現時点で考えられる疾患について正しいのはどれか。

a 知的障害を伴う。

b 有効な薬物療法がある。

c 成人になると症状は消失する。

d 出生後の養育が発症要因である。

e 好ましい行動を褒めるよりも好ましくない行動を注意する。

解答: b

117A34の解説

【プロセス】
①7歳の男児
②落ち着きのなさ
③授業中じっと席に座っていることができず勝手に席から離れる
④おせっかいが多く同級生の邪魔をしてしまうため喧嘩になる
⑤忘れ物が多い
⑥後片付けや整理整頓が苦手
⑦自分の好きなゲームには集中して取り組む
⑧外出時に車が来るのを確認せずに飛び出してしまう
☞年齢と性別(①)、多動性・衝動性(②③④)、不注意(⑤⑥⑧)、すべて典型的な注意欠如多動性障害〈ADHD〉の所見だ。ADHDでは知能低下はみられず、⑦のように好きなことには集中することができる。

【選択肢考察】
a 知的障害は伴わない。
b 正しい。メチルフェニデートなど、有効な薬物療法がある。
c 成長とともに多動症状は分かりにくくなるも、多くの例で成人期にも症状は残存する。
d 出生後の養育とは関係ない。
e 好ましい行動を褒めるほうがよい。

 

テーマ:注意欠陥多動性障害〈ADHD〉について

 

 

117A35

67歳の男性。臨床病期IA期の原発性肺腺癌の診断で、右肺葉切除術およびリンパ節郭清術を施行した。手術翌日の昼に食事を開始した。昼食2時間後から胸腔ドレーンの排液が急に増加し、夕食後、さらに排液が増え2Lを超えたため、ドレーン排液のバッグを新しく交換した。胸腔ドレーンからの空気漏れは認めなかった。体温36.2℃。心拍数64/分、整。血圧104/60mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。同日夜の胸腔ドレーンの排液の写真を別に示す。
対応として適切なのはどれか。

a 胸膜癒着術

b 利尿薬投与

c 中心静脈栄養

d カテコラミン投与

e ガンマグロブリン投与

解答: c

117A35の解説

【プロセス】
①右肺葉切除術およびリンパ節郭清術の施行後
②手術翌日の昼食2時間後から胸腔ドレーンの排液が急に増加
③胸腔ドレーンからの空気漏れは認めなかった
④胸腔ドレーンの排液の写真では乳白色の液体貯留
☞①②④より乳び胸の診断。③より気胸は否定的。

【選択肢考察】
a 気胸やがん性胸膜炎による反復性胸水への対応に有効。
b 心不全などで体内に水分が過剰貯留した際に有効。
c 正しい。絶食とし、栄養補充のため中心静脈栄養を行う。
d 昇圧したい際に有効。
e 免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉など一部の病態に有効。

 

テーマ:乳び胸への対応