【エッセイ】”はじめまして”をいう前に… | ディスノイズー魔法使い育成ブログー

ディスノイズー魔法使い育成ブログー

ノイズの少ない生活を目指して
魔法の研究を進めています。
個性的なキャラクターと物語
そして現代魔法の世界をお楽しみください♪

 

今、ここをご覧になってる読者の方は、

何歳まで、不思議の世界の存在を信じていただろうか?

 

――子供の頃、

私の将来の夢は『魔法使い』だった。

 

なぜなら、当時「魔法使い●リー」が放映されていたからだ。

私が今の時代の子供であるなら、

間違いなく、将来の夢は『プリキュ●』だったのだろう。

 

当時の私が

「私は大人になったら魔法使い●リーちゃんになりたい」

と言えば、別の女児から

「ダメ!●リーちゃんになるのは私よ!あなたは秘密のアッ●ちゃんにして!」

と要求され

「それでもいいよ」

と妥協したのは、良い思い出だ。

 

今思えば、あれが人生で初めて他人にマウントをとられた瞬間だった。

 

…ここまでの話なら、

女性なら誰もが通る道だろうし、珍しくもないだろう。

 

大半の場合、中学生になる前には、

魔法というものは現実に存在しないことを知り、

もっと実現可能な夢をもつようになる。

 

しかし、私は何歳になっても、その夢を諦めなかった。

 

「魔法なんて実在しない」

その事実を知ってもなお、私は魔法にまつわるものを探し続けていた。

 

幸い、私の家は、親の教育方針から、

沢山の書籍があったし、本を買うためのお金は自由に与えられていた。

 

インターネットなど存在していない時代だったから、

私はお小遣いを片手に、本屋に行っては

魔法にまつわる文献はないか探していた。

 

そこでみつけたのが、

 

子供向けの占いや、おまじないの本である。

 

この本との出会いがなければ今の私はいなかっただろう。

 

魔法使いの夢を追いかけていた私は、

むさぼるように占いやおまじないの知識を頭に詰め込んでいった。

 

私がもっとも心を惹かれたのは

本の付録についていたタロットカードだ。

 

カラー印刷が一般的でなかった時代なので、

今のような鮮やかなカードは流通しておらず、

白黒の、エジプシャンタロットという特殊な絵柄のカードを私は使っていた。

 

このタロットデッキは、かなり昔から、格安で本屋に陳列されていたので、

私の母親の蔵書にも存在していたのだが、

「他人の使ったタロットを扱ってはいけない」というルールがあったため、

私は自分用に別個に購入していた。

 

白黒の絵で78枚の意味を暗記するというのは、なかなかに骨の折れる作業なのだが、

子供の記憶力というのはたいしたもので、

二日程度ですべてのカードを頭に叩き込み、

その翌日には、学校の教室でクラスメイト相手に実演したものだ。

 

ただ、最初の頃は一緒に夢中になっていた同級生も、

成長していくにつれ、オカルト離れをしていくようになった。

 

気が付けば占いを趣味にしているのは、周りを見ても私しかいなくて、

恥ずかしくなったので、そのことを隠すようになっていった。

 

その代わり、私は中学生以降は美術に熱心になった。

 

高校も美術系に進学し、アート系の専門学校に進んだ。

 

社会に出てみれば、文系でも理系でもない私は、

変わり者扱いをされたが、

オカルト趣味があることがバレるよりはマシだっただろう。

 

社会人になるころの私は、

誰にも言えないまま、占い中毒に陥っていた。

地域的に占いの文化がなかったので、

あくまでも自分で自分を占っていただけなのだが、

暇さえあればタロットをとりだし、

些細な不安すらカードに投げかけていた。

 

当時は当たるも八卦当たらぬも八卦だったが、

あることを繰り返しているうちに、

この占いの精度が恐ろしいほどに上がってしまったのだ。

 

気が付けば自分で自分を占うのであれば100%当たるレベルに到達していた。

 

私が行っていたあることとは、

同人漫画の執筆である。

 

二年ほど、人気のジャンルで活動し、

私の漫画のファンだと言ってくれる人たちに励まされながら

毎日楽しく絵を描いていた。

 

ずっと隠していた占いの趣味を、表に出したきっかけは、

私の漫画のファンだと懐いてくれていた女の子が、

恋の悩みを抱えていて、放っておけなかったからだ。

 

もともと、自分より若い人が困っているのをみると、

世話を焼きたくなるおせっかい人間だったので、

片思いという、出口の見えない精神世界をさまよっている少女をみて、

何か力になりたいと考えたとき、

「占いましょうか?」

と、言葉がでたのだ。

 

その占いが的中し、喜ばれ、

私は本格的に占い師としての道を進みだした。

 

私はそれなりに苦労の多い生き方をしていて、

何をするにも障害がついてまわっていたのだが、

 

不思議と、占い師を志した瞬間から、すべてが順調に進んでいった。

 

占い師の知り合いもいなければ、

技術も独学で習得した人間が、

 

決意した三か月後には、プロとしてイベントで対面鑑定を実施していたのだから、

猛烈な勢いで何もかもが展開したのだと思っていただきたい。

その後も占い師という肩書が、私にあらゆる縁を招き入れてきた。

 

私の場合は占い師になることは、

宿命だったのだろうと思うし、

その後知り合ったとある魔法使いの方にも、

私の考えは肯定された。

 

「だってあなた、心から占いを楽しんでいるでしょう。

 それが最大の素質なんだよ」

 

占い師として活動するうちに、

私は霊感がより強くなり、心霊現象の被害にもあいやすくなった。

そこから、死霊に対抗するための研究と実践を繰り返している。

 

私の占いや研究成果が、

誰かの役に立ち、時にその人の人生を変えることもある。

 

私が動くのは、そこに創作意欲と好奇心があるからだが、

気が付けば、他人の需要がそこに発生するようになっていった。

 

「魔法」なんてものは実在しない。

子供の頃はそう思っていたのに、

大人になった今の私は、普通に魔法の存在を信じている。

 

これから私が描く物語は

魔法を本当に信じている人間が執筆する

現代ファンタジーだ。

 

――だからこれは、

私の物語でもあり、

これから神秘学の世界を探求する

あなたのための物語でもある。

 

作り話として読み進めてもいいし、

本気で信じてみてもいい。

 

その采配は、読者の皆様にお任せしたい。

 

それでは皆様どうぞ、楽しんで!

 

作品名:ディスノイズ

著者:ノイジィ・マダーレッド